« 満月に | トップページ | ルパンにしてルパンにあらず? »

2014年9月12日 (金)

秀山祭九月大歌舞伎昼の部

910日 秀山祭九月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
今月は10日から始動。
改札を出て木挽町広場がやけにすいているなと思った時はそれ以上なにも考えなかったが、歌舞伎座内がいつもに比べて歩きやすく、なんとなく物足りない感じ(売店前のあの混雑が回避できるのはありがたいんだけど)。そこでふと思い出した。月曜日の「ヒルナンデス」でキッチー自ら色々サービスしていたなってこと(ヒルナンデスでは今度の月曜日も続きをやるみたいよ。次回は芝雀さんも登場らしい)。それを見て、今月入りが悪いのかしらと心配していたのだ。極め付けはめでたい焼き屋さん。ぜ~んぜん行列ができないの。「めでたい焼き、いかがですかぁ」なんて呼び込みまでしている始末。それでも、幕間が終わるころには完売して、こっちがほっとしちゃった。
他の階は見えないのでわからなかったが、3階の座席もやっぱりいつもに比べて空席が目立つ。
「菊畑」
ちゃんと見ればとても面白い演目だということはわかっているのだけど、反面眠くもなる演目で、今回は大半寝てしまった。明日は昼の部だからと前夜早寝を心がけてはいるのに、緊張するせいか逆に寝つけなかったり、途中で目が覚めたり。1週間くらい前から早寝のトレーニングをしておかないといけないのかも。
松緑さんの智恵内、かっこよかった。ごく最初のほうだけれど、唐突にお父さんの辰之助さんに重なって、我ながらびっくりした。染五郎さんはニンだと思ったが、出演場面はほとんど寝ていたのでごめんなさい。米吉クンは可憐だけれど、この中に入ると動きが硬く見えた。歌昇クンはとっても頑張っている様子が見てとれたが、やっぱり若いかも…それにニンとして湛海よりも智恵内じゃないかなぁ(もちろん今は無理としても)。
歌六さん、虎蔵を打てと智恵内に命令する怒りがすさまじく、怖いくらいの迫力があった。
「法界坊」
昼の部は通常前半に見ることが多いのだが、今回はとくに種之助クン(野分姫)狙い。その種ちゃん、初めて女方を見たが、可愛らしく小柄だから女方でもいけるかも。ただ声に顔に似合わぬ落ち着きがあって、何年か後にもう少し年が上の役をやったらさらにいいかも、と思った。
隼人クン(五百平)には獅童さんに似た華があり、野分姫を一生懸命守っている様子が丁寧に演じられていた。
しかし…「菊畑」も含め、全体としては年代による役者の差を見せつけられたような気がした。今月は若手修業の場の面もあるが、若手はどうしても教科書通りに丁寧に演じるだろうから、そこは大いに好感がもてるにしても、やはり余裕とか味わいが違う。そして染五郎・松緑の世代とまたその上の世代との差も…。つまり歌舞伎では年季が大事だってことなんだろうな。40、50は洟垂れ小僧とはよく言ったものだ。
でも玉太郎クンは役としてはまだ子役的だからだろうか、私の中ではそういう差とは別のところにいる。ちゃんと芝居の流れに合わせて目を動かしているのに感心した。鯉魚の一軸を手代・要助が開くときはちゃんと一軸を見ているし、法界坊が花道でわいわいやっている時は、そこに関係ないので目は正面を見て動かさない。「趣向の華」でも大活躍だったが、将来がますます楽しみだ。
橘三郎さん(大阪屋源右衛門)は役にとても合い、安定感があった。

番頭は亀蔵さんのキャラが強烈だから、真面目な印象の吉之助さんにそこまで求めるのは酷というもの。吉之助さんなりに面白味を出していたのではないだろうか。ちょっと気になったこと――手にした要助の証文が丁稚(玉太郎)の手で火をつけられ、「アツい、アツい」と騒ぎながら番頭自ら別のろうそくでそれを燃やしちゃったのは、最初の火だけでは消えそうだったからだろうか。
芝雀さんのおくみは見る前はどうかなと思ったけれど、きれいで要助にぞっこんなのがかわいかった。
錦之助さんの要助ははまり役。
吉右衛門さんの法界坊は2度目で、初見の時は吉右衛門という役者に対する私の思いとギャップがあり過ぎてあんまり好きになれなかったけれど、今回はさほど違和感はなかった。テレビで見る素顔の吉右衛門さんはそうそう立派な武士的なところばかりではなく、適度な可笑し味をにじませるが、そんな部分が法界坊にも表れていたように思う。やり過ぎず、愛敬たっぷり。それでもこういう汚れ役はニンがぴったりとは言い切れず、またその愛敬の裏で平然と人をだましたり殺したりという凄みは見えなかった(裏に返ったり表に戻ったりが自然すぎたのだろうか。あるいは微笑ましさが優先しちゃって凄みを感じなかったのか)。
勘三郎さんの時にはあんまり気にならなかったけど、法界坊ってとっても動きが多いのね。それなのに駕籠を縛る縄で縄跳びしちゃったりして、とっても頑張ってる。かなり疲労するんじゃないかとちょっと心配になった(ジムに行って鍛えている、ってヒルナンデスで言ってた)。
道具屋の仁左様のカッコいいこと‼ もうその一言に尽きる。
「菊畑」は自分が寝ちゃったからかもしれないが、「法界坊」では客席の盛り上がり方が「菊畑」と違うと実感した。まあ、そういうことでは困るんでしょうねえ…。
「双面水照月」
こちらもだいぶ眠かった。
種之助クンが「法界坊」で野分姫の女方なら又五郎さんも女船頭で女方。4月の靱猿以来2度目だが、きれいで、らしく見えた。又五郎さんのような役者が限られた役ではあろうが女方もできるっていうのは強い。種ちゃんと又さん、立役だと顔がそっくりなのに、女方だとあんまり似ていなかった。化粧のせいかな。
吉右衛門さんの女方は初めて見た‼ 遠目からは、意外と悪くない。顔は野分姫のままで、
2つの霊を演じ分ける。こっちの法界坊は凄みを見せていた。
<上演時間>「菊畑」67分(11001207)、幕間30分、「法界坊」120分(12371437)、幕間20分、「双面水照月」42分(14571539

 

 

|

« 満月に | トップページ | ルパンにしてルパンにあらず? »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

九月昼の部の観劇レポート、ありがとうございます!!
吉右衛門さんの法界坊、と目にしたときから「絶対行く!」と意気込んでいたのですが・・・週末の予定が立たずチケットを取れずにいるうちに日が過ぎてしまい、週末の三階席は売り切れ状態のようです。
種之助さんの野分姫、今日までですね。芝雀さんのおくみはちょっともったいないような配役…役不足気味かと思いましたが、やはり良かったのですね。
吉右衛門さん初役のときの法界坊を観劇した記憶があるのですが、その後の勘三郎さんの印象がとても強く…今回は中村屋との演じ方の違いなども楽しみのひとつなのです。
若手、中堅、上の世代の芸の差について書かれていますが、芸の継承ということではこの法界坊という役、吉右衛門さん以降の世代ではどなたが演じられるのかなということも考えさせられます。(勘九郎さんは当然として、松緑さんはどうでしょうか)
・・・では、長々と失礼しました。

投稿: ゆーまー | 2014年9月13日 (土) 00時57分

ゆーまー様
こんばんは。コメントありがとうございます。
全体にすいているようですが、週末はさすがに3階席は完売なんですね。2等席の下にもうワンランク作ってくれればいいのに…。

吉右衛門さん、失礼ながらかわいかったですよ。
芝雀さん、たまにはこういう役もいいのではないかと思いました。中村屋の時には扇雀さんがよく吹き出していましたが、この座組ではそういうことはありませんよね。

次世代の法界坊--松緑さんも案外真面目な気がするので染五郎さんなんかはいかが?(あ、でも「十二夜」で松緑さん弾けていましたっけね) う~ん、なかなか思いつかないものです…。

投稿: SwingingFujisan | 2014年9月13日 (土) 01時27分

こんにちは。
若い世代を抜擢して芸を学ばせ、責任はとる!って奮闘するベテランの気持ちがひしひしと感じられる今月ですね。
こんなに世代交代を目撃してる感がある時期に観客でいるっていうのも貴重な体験ですよね。

投稿: urasimaru | 2014年9月13日 (土) 23時40分

urasimaru様
こんにちは。コメントありがとうございます。
おっしゃるように、ベテランの心意気、そして一生懸命勉強している若手の頑張りが感じられました。何年後かにはこの役者でこの役を見たいと思うような若手がいっぱい。少しずつ進む世代交代の中で、いろいろな世代の活躍が見られるのも嬉しいですね。

投稿: SwingingFujisan | 2014年9月14日 (日) 11時30分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 満月に | トップページ | ルパンにしてルパンにあらず? »