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2014年10月22日 (水)

ぜひ東京公演も:「GOEMON」①

1019日 十月花形歌舞伎「GOEMON」夜の部(松竹座)
<見事な舞台美術>

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歌舞伎にしては珍しく、開演前から幕が開いていて、←な感じ。これも青色発光ダイオードのおかげ? 舞台写真入りの番付、嬉しかった。19日じゃまだ入ってないって最初から期待していなかったから。
以下、ネタバレ満載です。

赤いネオンの「GOEMON」がするすると上にあがって見えなくなると、ドライアイスの煙がもわ~っと出て場内暗くなる。チェロが流れる。室内楽の演奏になると、上手の御簾(と言っていいのかな)が透けて、そこにいる演奏者が見える(私の席からは角度的にあまりよく見えなかったけど)。
舞台に組まれた鉄骨が効果的に使われていて、まずは十字架となって浮かび上がり、ここが教会であることがわかる。上手・下手の御簾、舞台床に照明でステンドグラスが、そして格子窓が映し出されるのも美しく雰囲気を盛り上げる。
<お似合いカップルの翼・吉弥>
カルデロン神父(今井翼)と明智光秀の家臣・但馬守の娘石田局(吉弥)は愛し合う仲である。カルデロンは神職なのにそういうことになって悩み、石田局を遠ざけようとする。しかし石田局に子どもができたことを知ると、神職を離れ、1人の男として父として幸せな家庭を築くようになった。
見る前は、翼クンと吉弥さんのカップルってどう考えても「う~ん?」なイメージだったのに、これがどうしてなかなかお似合いなのである。吉弥さんはとてもきれいで、翼クンの妻として全然違和感がなかった。翼クンはそう言えば「ガブリエル・シャネル」でも大地真央さんのココを支える陰影と包容力に満ちたアーサー・カペルを見事に好演していたっけ。
<うますぎる子役>
さて、千壽さんの「ただ今のが発端。子ども友市が生まれ、7年経った」という口上が入り、一気に7年後の世界に。
その年、秀吉のキリシタン禁止令によりカルデロンは日本を追放されてしまう。2カ月ほど遡ってタイムリー(「官兵衛」でキリシタン禁止令が出たのは8月末?、「137億年の物語」で「ザビエルと戦国武将」をやったのは8月初旬)。そして石田局は秀吉に見初められて聚楽第へ召し出されることになる。
家族の別れの場は、それまでの3人がとても幸せそうで本当に悲しかった。子役が実にうまいのだ。友市の両親に対する敬愛と別れのが厳しさ切なさが強く感じられて、泣けた。何しろ、父カルデロンがイスパニアに帰らなくてはならないうえ、母石田局も秀吉に見初められて聚楽第に召し出されることになってしまったのだ。友市はたった1人になってしまう。友市クンは赤毛のためにいじめられているのでカルデロンはとても心配している(伴天連と日本人女性の間に生まれた子で赤毛と言えば、大好きだった眠狂四郎をまず思い出す)。
子役は若山耀人クン(やっぱりちょっと遡ってタイムリーだ。官兵衛の子供時代と松寿丸の子)と菊田千瑛クンのダブルキャストで、私が見た日は千瑛クン。知らない千瑛クンより知っている耀人クンを見たかったと思ったのもつかの間、千瑛クンのけなげさ可愛さうまさに魅入られた。この千瑛クン、ミュージカルに出演して(「ライオンキング」でヤングシンバなど)を演じたりして、歌も踊りも達者なそうだが、後にフラメンコまで巧みに踊ったので驚いた。松竹座では「荒川の佐吉」の卯之吉も演じたとのことで、もちろん芝居もうまい。子役ちゃん、恐るべし。
<狂言回しかフラメンコ>
フラメンコが狂言回しかというくらい、ポイントポイントでフラメンコが挿入される。これがとにかく素晴らしい。時に情熱的に時に悲しげに時に絶叫のように響くカンテとギターに合わせて踊るのは佐藤浩希さん。めちゃくちゃカッコよかった。その昔、大学受験の折にスペイン音楽/フラメンコに魅せられた私はスペイン語かスペイン文学をやりたいと思った。しかしスペイン語/文学を標榜する大学が少なかったので断念。その後新宿のフラメンコレストランに行って、またスペインへの憧憬が燃えたという過去がある。あの頃のテンションが甦って、興奮した。ところで、佐藤さん、必ず「松嶋屋っ」と大向こうをかけるそうだが、終盤だったろうか、それまで3階左右から聞こえてきた大向こうが私の真後ろからも聞こえるのに気づいた。後ろを振り返ろうと思いながら舞台に夢中で忘れちゃったが、その人がまさか? まさか、ね。

<母の魂魄>
石田局は陰腹を切ったうえで父の敵と秀吉を襲うが、あえなく殺される。「我が意のままになれば栄耀栄華も手に入るのにバカな女だ」と嘲る秀吉。翫雀さんの黒い面が見えて、秀吉には腹が立つが翫雀さんは面白かった。
落命した石田局の身体と魂魄(人魂)はスッポンへ。そしてスッポンから白い鷹が出てきて、いずこへか飛び去る。この鷹を覚えておきましょう。
<五右衛門登場~葛籠抜け>
暗い舞台が一転明るくなる。阿国の一行が踊っている。壱太郎クン(阿国)がとてもきれい。秀吉がまた阿国を見初め、聚楽第へ連れ去ったところへ、いよいよ五右衛門が登場。今回は千壽さんの口上がなかったから、10年経って友市が五右衛門になったことはわかりづらいかも。
聚楽第で秀吉が阿国に舞わせていると、北の方(萬次郎)がやってくる。慌てて阿国を葛籠に隠す秀吉。北の方に怒られて尾張弁でしどろもどろに弁解するのが翫雀さんらしい騒々しさで可笑しい。萬次郎さんの存在感はさすがで、出番が短いのはちょっともったいない。去り際「来年1月、鴈治郎襲名公演が松竹座であるから、みんなで見に行きましょう」と<夫>の宣伝も忘れない。
頭のあがらない北の方がいなくなって、さあ阿国としっぽりというところへ五右衛門が忍び込んできて、石田三成(吉太朗)、加藤虎之助(種之助)や捕り手と立ち回りを見せる。種之助クンのスピンやジャンプ座り(?)にキレがあって見事。種ちゃんが1人でスピンしている間に五右衛門葛籠抜けの準備が始まる。宙に浮いた五右衛門に虎之助、「取り逃がしたか~」と男之助風に悔しがり、上では五右衛門が「バカめ~」と高笑い。
タンゴの流れる中、愛之助さんが悠々たる宙乗りを見せる。GOEMONの赤いネオンが下手側壁の上方で踊り、ニナガワの世界みたい。宙乗り小屋に近づくと、金色の紙吹雪が勢いよく飛び出してきらきらときれいだった。
<脇にも注目>
寿治郎さん、小早川隆景だったのかぁ。秀吉に忠実だから、カルデロン一家や阿国に思い入れる側としては憎らしい。千石権平の又之助さん、笹野才蔵の蝶十郎さん、第2部で出てくる猿楽一座の當十郎さん、渋い役者さんが揃っていて、その存在感は見応えある。

ここまでが第
1部。長くなるので、第2部は後ほど(簡潔にまとめられない私…)。

 

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コメント

SwingingFujisan様も松竹座にいらっしゃったとのショートレポがあったので、感想があがるのを楽しみにしておりました!
私もヤングシンバの菊田クンでした。御顔立ちも麗しくて、お上手でしたよね~。幻想のなかで魅せるフラメンコはほんと、涙が出そうでした!
後半も楽しみにしてまっす!

投稿: はなみずき | 2014年10月23日 (木) 18時58分

はなみずき様
こんばんは。コメントありがとうございます。
はなみずき様が松竹座にいらしたこと、存じておりましたが、自分のレポを出してから拝読しようと思っていますので、後篇を書いたらお邪魔しますねhappy01
はなみずき様の時も友市は菊田クンだったんですね。あのフラメンコ、ステキでしたね~。何度でも見たいですわ~。

投稿: SwingingFujisan | 2014年10月23日 (木) 20時13分

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