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2014年10月23日 (木)

ぜひ東京公演も:「GOEMON」②

1019日 十月花形歌舞伎「GOEMON」夜の部(松竹座)
<父子で踊るフラメンコ>

2部はフラメンコで始まる。場所はスペインのとある酒場。息子が恋しいカルデロン(今井翼)は寂しさを酒に紛らわしながらフラメンコを踊る。すると、スッポンから7歳の友市が現れ、父とフラメンコを踊る。やがて友市はくるくるまわりながら再びスッポンに消えてしまう。絶望と悲痛のカルデロン。フラメンコのカンテが悲し過ぎて切なすぎて泣けた。
翼クンのフラメンコはもちろんかっこいいが、①でも触れたように、子役ちゃん(菊田千瑛)のフラメンコがうまい‼
<世界地図?>
時々背景に浮かび上がる模様が、当時の世界地図のようでもあり、でもではどこがイスパニアでどこが日本かってわからなかったから、違ったのかな。
<さやあて>

盆が回るとここは桜の日本。両花道ならぬ両通路から編笠の2人が舞台に上がる。五右衛門が名古屋山三の刀のこじりをつかみ、「さやあて」が始まる。山三は吉弥さん2役目。吉弥さんの立役って初めて見たかも。とてもきれいで、柔らかさの中に男っぽさもある。「水もしたたる」というのがぴったりの山三である。そういえば、五右衛門⇔石田局⇔吉弥⇔山三ってことで、山三と五右衛門は母と子(な~んてね)。さやあてを止めに入るのは阿国である。山三と五右衛門は互いの刀から、ともに明智の家臣の家柄であり、共通の敵が秀吉であることを知り、仲良くなる。
<京の都でフラメンコ>
最近、女猿楽一座の人気が高くなり、阿国一座の人気は下火。悩む阿国に五右衛門は、自分の父親の国にはフラメンコという魂の踊りがある、と教える。「見たい」と阿国。「俺にはできぬ」。「では、形だけでも」との阿国の無茶振りに、それじゃあという感じで五右衛門が形に入ろうとする。その時「たっぷり」の大向こう。愛之助さんはそちらに向けてかすかに頷く。そして阿国に形を見せていると、スッポンからカルデロンが上がってくる。「父上」と五右衛門(ここはちょっと笑った)。
五右衛門がフラメンコのリズムを手拍子で教えていると客席もそれに合わせて手拍子を打つ。場内盛り上がるうちにカルデロン、五右衛門、阿国の3人でフラメンコを踊る。壱太郎クンは足袋でタップを踊っていた。新しい踊りに目覚めた阿国、その一座が踊る。大薩摩とフラメンコ音楽の共演・競演である。三味線とギターに合わせたカンテはただただすごい。まさに魂の叫びだ。大薩摩も負けじといい声を合せて、楽しかったぁ。
壱太郎クンのフラメンコは面白いことに、女形の役者が踊るフラメンコであると思った。つまり男性でもない、女性でもない、あくまで女形の役者が踊っている。そう見えた。
<楼門~父の国へ>
メタリック楼門で「絶景かな」とご満悦の五右衛門のところに鷹が飛んでくる。鷹が咥えていた手紙には「これよりすぐにイスパニアに参れ」との父の言葉が。こういう設定の石川五右衛門で、手紙には何が書いてあるのかと興味津々だったが、「え?」という感じだった。でも、最後まで見ていくうちに、なるほどそこが落としどころだよねと納得。「五三桐」と同様、楼門が上がり、下から山三がセリ上がる。山三は五右衛門を落ち延びさせるために来たのだ。「落ち行く先は堺の港」。
山三と追手の立ち回り。吉弥さんの珍しい立ち回りが見られるなんて。吉弥さん、絶対立役もイケる。
舞台より近いところでなんとなく何かが起きている気がしてふと右側を見ると、五右衛門に扮した阿国の壱太郎クンが、なななんと2階右側席にいるではないか。この席のあるスペースはとても狭い。そこで壱太郎クンと捕手が立ち回りを始め、やがて姿は見えなくなるも客の歓声が聞こえる。どうやら右側席→中央席→左側席へと移動していたらしい。私の席からは中央席は見えないので雰囲気だけで想像。ニセ五右衛門の壱太郎クンが左側へ移ったと思ったら、今度は右側に本物五右衛門の愛之助さんがいた。捕手側の加藤虎之助の種之助クンも2階席にやってきた。壱太郎クンと種之助クンが舞台に戻る。舞台にはメタリック戸板(レフ板みたいなもの)が4枚運ばれていて、壱太郎クンと種之助クンがそれぞれ1枚ずつに乗り、その上で立ち回り。2人とも若いパンチのきいた立ち回りで客席も大喜び。メタリック戸板1枚につき支える捕手の6人、大変だなあ。

立ち回りからいつのまにかスペイン女性たちのフラメンコになった。この女性たちは女形ではなく本物の女性。ドレスもステキだったし、みんなとてもきれいで踊りも盛り上がって楽しかった。
この賑やかな踊りをかき消すように場内が暗くなる。再び明るくなると、母の化身である鷹に乗った五右衛門がスッポンから上がってきた(フラメンコの時、五右衛門を吊るすバーみたいなのが宙乗り小屋からスッポンへとおりていった)。「老いぼれ(秀吉のこと)の首を取っても仕方ない。父のいるイスパニアへ」と五右衛門は考えを変えたのだった。「さらば」と阿国、山三、日本に別れを告げる五右衛門。すると「いってらっしゃい」の大向こうがかかり、場内笑いに包まれた。
言い忘れたが、カルデロン一家が離散の憂き目にあった時、母は明智の家宝である雄龍丸を友市に与え(「さやあて」につながる)、父は伴天連の秘術(これでイスパニアに行ける?)を授けたのだった。母と子の悠々たる飛行で、幕となった。
<みんなに大向こう>
歌舞伎の屋号だけでなく、「つばさ」「ちあき」「さとう」、女性出演者たちに大向こうがかかっていた。五右衛門が鷹の頭を撫でて「母上」と言うと、鷹にまで「美吉屋」。

松竹座での初演が好評で東京公演が実現した「染模様恩愛御書」のこともあるから、「GOEMON」が東京でもかかることを大いに期待しています。

<上演時間>195分(16001735)、幕間35分、第275分(18101925

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コメント

お久しぶりです。
実はSwing様がご覧になった次の日に「GOEMON」を見てきました。
「GOEMON」は去年二月以来、二度目の観劇でしたが、客席も巻き込んだ熱狂の舞台に大興奮!めちゃめちゃ楽しかったです。
三味線が奏でるフラメンコに合わせて足袋で踊る壱太郎阿国、圧巻でしたね!
大薩摩とフラメンコのコラボレーションもありましたが、単なる物珍しさだけではなく、舞台上の4人に一体感を感じました。

それにしても、この演目の振付・作曲、さらには三味線の録音演奏まで手掛けられている藤間勘十郎さんの才能のすごさには驚かされます。

投稿: ささ | 2014年10月24日 (金) 21時52分

後半レポも、相槌うちながら、時々思い出して吹き出しながら拝読させて頂きました!
最後、鷹に「ミヨシヤ」とかかりましたか!(私が見たときはなかったです!) さすがナニワ。ツッコミがいいですね!!
私は下で見ていたので、振り返って2階席を見たらいいのか、本舞台を見たらいいのか、キョロキョロしていました(笑)。
観終わったあと、大いに笑って興奮して…、「見て良かった!」と心から思えましたね~。

投稿: はなみずき | 2014年10月24日 (金) 22時19分

ささ様
こんばんは。コメントありがとうございます。ささ様は2度目でいらっしゃいましたか。私は今回初見でしたが、システィーナは無理にしても去年なぜ松竹座へ行かなかったのかしらと後悔しました。今回見ることができて、とっても嬉しく幸せでした。
「GOEMON」を見て、歌舞伎の懐の深さをあらためて感じました。
勘十郎さんは本当にスゴい方です!! 伝統を守りつつ新しいことにも挑戦する姿勢、そしておっしゃるように振付・作曲・演奏の才能--尊敬しています(勘十郎さんは三味線演奏が大好きだそうですよ。そして歌舞伎への愛が感じられます)。勘十郎さんのことには触れませんでしたが、ご指摘くださってありがとうございます。

投稿: SwingingFujisan | 2014年10月24日 (金) 22時24分

はなみずき様
こんばんは。後半にもコメントくださってありがとうございます。
そうなんですよ、さすがにナニワの大向こう、鷹への「美吉屋」には感心しました。
1階席の方は、そうですよね~、2階は見逃せないし、本舞台も気になるしですよね~。私は3階だったので本舞台も視野には入るのですが、やっぱり注意は2階へ向いてしまいます。それに見えずに音だけ聞こえてくるとよけいそこに意識がいってしまって…。客にとっては嬉しいサービスでしたね。
大いに笑って興奮して、見てよかったと思える芝居は人を幸福にしてくれますね。「GOEMON」に感謝です。

投稿: SwingingFujisan | 2014年10月24日 (金) 22時39分

こんばんは!

GOEMON,システィーナと松竹座×2回で熱狂していたころを思い出しました。
私が見に行ったときは鷹が梅枝くんだったので
鷹の人形?に萬屋!と声かかってましたよ!
熱狂するあまりに予定外の松竹座観劇をしてしまったころを懐かしく思い出しました。

愛之助さんは,東京でこれをぜひ上演したいとおっしゃっていたので,いつか東京でこれがかかることを願っています。

投稿: あねご | 2014年10月29日 (水) 20時49分

あねご様
こんばんは。コメントありがとうございます。
あねご様がシスティーナでご覧になった時の熱狂はよく覚えています。私も今回初めて見て大変興奮しましたが、システィーナの雰囲気の中での初公演の興奮はもっともっと大きなものだったでしょうね。
鷹に屋号がかかるのはシスティーナでもそうだったんですね。せっかく梅枝クンだったんだから見に行けばよかったなあと今さらながら思います。

愛之助さんも東京公演を考えていらっしゃるんですね。ぜひぜひ実現してほしいものです!!

投稿: SwingingFujisan | 2014年10月29日 (水) 21時10分

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