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2014年10月29日 (水)

十月大歌舞伎座夜の部

1025日 十月大歌舞伎千穐楽夜の部(歌舞伎座)
141029kabukiza 「寺子屋」

座席の関係で源蔵の戻りはほとんど見られなかったが、小太郎が挨拶している間の源蔵がうんうんと頷きながらも心ここになしの感じで、考えあぐねている様子がわかった。勘九郎さんの源蔵は動きが義太夫によく合っていてわかりやすかった。
仁左様の松王丸は常に小太郎を意識しているように見えた。とくに首実検での「でかした」は小太郎の首に言っていたと思うし、2組の夫婦だけになって小太郎を褒める時、松王丸と千代の間に座る小太郎が見えるかのようだった。こんな感覚を覚えたのは初めてだ。千代の玉三郎さんは控えめながら、前夜にさんざん泣いたのに悲しみを抑えきれない母親の心情、どんな思いで小太郎を寺子屋に預けて別れたかと千代の気持ちを推しはかって泣けた。
七之助さんの戸浪で一番印象的だったのは、首実検が終わり春藤玄蕃らが帰った後、菅秀才を押し入れから出して「もし」と夫に無事な姿を見せるところ。万感の思いが感じられた。
源蔵夫婦は2人だけでいると若いと思うが、松王丸・千代と一緒にいると決してひけをとらない堂々たるものがあった。
「道行」
浅葱幕が振り落されると、藤十郎さん(静)が板付きで立っていた。なんてきれい!! 美しいだけでなく色香が漂い、存在感の大きな静である。
対する梅玉さんがまたいい。鼓への思いがとても強く感じられたし、静を敬い守っている感じに胸打たれた(2人の間に微妙な感情があるとされるけれど、梅玉さんの忠信はあくまでこういう感じだった)。梅玉さんがスッポンから出る少し前、後見の梅乃さんが下手袖に現れ、花道での梅玉さんの踊りが終わると引っこみ、黒御簾の裏をまわって、清元の山台の裏に控えていた。梅乃さんの後見は、かつてブログでも自戒を込めて書かれていたように、目立たず無駄のない動きでてきぱきと仕事をこなしていた。ただ、ラスト近く、再び草鞋を穿くときに妙に手間取っているなと思ったら、草鞋の紐がうまく結べなかったようで、左右で結び方が違っていた。あとで筋書きを見ると、私がうまく結べなかったんじゃないかと思った方が正しい結び方だったみたい。
梅玉さんは忠信の投げた笠はきれいに飛んで早見藤太(橋之助)が見事にキャッチ。投げる距離が多少短く見えたのと、かなり狙っていたようだったけれど、それにしてもお手本みたいにきれいな飛び方だった。

「鰯賣戀曳網」
2005
年(勘三郎襲名公演)、2009年に続く3回目。先の2回はもちろん18世勘三郎の猿源氏で、蛍火は2回とも玉三郎さん。今回は勘九郎×七之助の猿源氏、蛍火である。先に全体的な感想を言えば、天国の勘三郎さん、安心してください、兄弟2人仲良く切磋琢磨して中村屋の芸を継承し、盛り立てています、という言葉が出てくる。それくらい2人の息が合って(「寺子屋」もだけどね)、面白い芝居になっていた。ラスト、幕外、花道七三で「観音様にお礼をいわなくちゃ」と2人で手を合わせる姿には泣きそうになった。そして花道両側にお辞儀をして手と手を取り合い、嬉しそうに引っこむ2人。これを見て「十七・十八お2人の勘三郎さん、安心してください」、いや「安心だね」という気持ちになったのである。良い追善で。
勘九郎さんは勘三郎さんにそっくりながら、楷書の喜劇性といおうか、勘九郎さんらしい真面目さの中にコミカルな部分があってとてもよかった。父子は似ているが同じではない。勘九郎さんは勘九郎さんの個性を大事にしていってほしい、と心から思った。蛸入道のところの身体能力には思わず拍手を送った(めちゃくちゃ面白くて笑った笑った)。
七之助さんはきれいで、傾城のしたたかさと元お姫さまのおっとりさがほどよくマッチして楽しかった。鰯売りの口上の練習で、蛍火が自分でやってみせた後、みんなにもやらせる。その時のニセ郎党たちがすっごく嬉しそうだったのは、彼ら実は鰯売りだからだろうか。私には、そうではなくて勘九郎・七之助の演じる猿源氏・蛍火を祝福しているように感じられて暖かい気持になった。
傾城は若手が勢揃い。
博労(獅童)と猿源氏との絡みでは博労の指導を受ける猿源氏と博労のギャップが可笑しかった。獅童さんはギリギリのところで抑えていたんじゃないかな。
傾城に巳之助、新悟、児太郎、虎之助、鶴松と若手が勢揃い。虎ちゃん、扇雀さんに似てる(と初めて思った)。
彌十郎さんのなあみだぶつ、市蔵さんの庭男実は…、家橘さんの亭主、みんな芝居を盛り上げた。
恋煩いは紫でなくピンクの鉢巻。これがこの喜劇の雰囲気に合っていて印象的だった。
<上演時間>「寺子屋」82分(16301752)、幕間35分、「道行」45分(18271912)、幕間20分、「鰯賣」67分(19322039

                                                        

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