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2014年12月26日 (金)

12月歌舞伎座昼の部

1224日 十二月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
今月は20日の国立が私の歌舞伎初日で、次がこの歌舞伎座。歌舞伎座としては約1カ月ぶりである。3階は空席が目立たない割には混雑感がほとんどなかった。
「義賢最期」
愛之助さんの義賢は今年の1月に浅草で、そして12月には歌舞伎座へと躍進。浅草でも見応え十分だったが、歌舞伎座でも非常に見応えあって、芝居の世界に入り込めた。
葵御前、最初誰だかわからなくて、筋書きで名前確認しちゃった。今回は東側の席で見たのでほとんど横顔しか見えなかったし、声も低く抑えていていつもの笑也さんの透明な声とはちょっと違って聞こえたから。でも途中、軽く頷きながらセリフを言う姿に「ああ、笑也さんだ」と納得した。
右近クンの待宵姫が可憐で、折平に妻がいることを知って嘆き嫉妬を折平にぶつける心持もさもありなん、待宵姫に肩入れしたくなってしまった。
折平が実は多田行綱であることを見抜いた義賢が松の小枝で手水鉢を割って、平家打倒の意志を見せる場面は、よく意味がわからないといつも思う。何となくわかるんだけど、やっぱりよくわからない(松が源氏の象徴で石が平家の象徴なの?)。
行綱と義賢の遣り取りは、2人とも声がいいしセリフがうまいから聞き心地がよかった。あ、行綱は亀三郎さんね。
九郎助の家橘さんに歌舞伎を引き立てる味わいがあった。
愛之助さんはもうすっかり持ち役で、安心して見ていられたが、兄・義朝の髑髏の場面での怒りが私にはやや薄く感じられたのが唯一残念であった。浅草でもそう感じていたから、私の見方の問題なのかもしれない。
見どころの立ち回りは豪快で、戸板倒しも美しく決まった。敵の進野次郎を背後に組みつかせたまま、進野ごと自らの腹を刺し貫く勇猛さは感動的だった。進野はあの道行さん‼ 体も大きく華もあり、やはりこの人は歌舞伎に必要だと思わざるを得なかった。
早見藤太みたいないでたちの矢走兵内が猿弥さんらしい可笑し味を発揮していた。
梅枝クンのうまさには舌を巻いた。ちゃんと母親になっているし、立ち回りでの貫録がすごい。瀕死の義賢を発見して駆けつけ「おいたわしゅうございます」と声をかける。この言葉に義賢と自分たちが置かれた状況がすべて凝縮されていて、涙が出そうになった。死を前にした義賢の身なりを整える仕草にも、義賢に対する敬意と哀感が籠っていてよかった。
愛之助さんの仏倒れ、だん、だんっと実に壮絶であった。
「幻武蔵」
新作だし、獅童さん主演なので大いに期待していた。でも…全編場内暗く、観念的なセリフ劇であるために、時々睡魔に襲われた(今、眠気の副作用がある薬を飲んでいるので用心のため、この日は一切飲み食いしなかったにもかかわらず)。ではつまらなかったかと言われると、そうじゃない。ちゃんと見て聞いていた部分は、わかりにくくもなかったし、かなり面白かった。でも、睡魔のためところどころ場面が切れているから、内容や感想がとんちんかんなものになっているかも。そこはご容赦。

薄暗くて幻想的なのはいかにも玉三郎さん好みかな。それに何より姫路城に富姫だし。
淀君(玉三郎)、坂崎出羽守(道行)、秀頼(弘太郎:好演!!)の千姫(児太郎)に対する恨み言が続く。そこへ武蔵が現れ、淀君に呪い殺されそうになっている千姫を助ける。千姫と武蔵の間に色々あって、その後小刑部明神が現れる。
小刑部明神と武蔵の間にも色々あって、最後は小刑部明神が武蔵に斬られ、それによって富姫を乗っ取っていた妖怪が死んで元の姫君に戻った。
武蔵(獅童)と小刑部明神実は富姫(松也)のセリフの応酬は聞きごたえがあり、この芝居を面白いと思わせた功績だろう。だけど、結局のところどんな内容だったか、心に残っていないのは、やっぱり集中力に欠けていたせい?(けっこう、一生懸命聞いていたんだけどな)。松也クンは体が大きくてもう女形には向かないかもと思ったけれど、この役には合っていたと思う。
児太郎クンはうまくなった。でも美しいと思わなかった。そもそもあの長く伸ばした王朝風髪型は歌舞伎の女形には似合わないんじゃないだろうか。「源氏物語」の菊之助さんもきれいに見えなかったし、今回の松也クンも児太郎クンもしかり。でも玉様はさすがにきれいだったな。
内容は恨み言だったり武蔵への罵りだったり、けっこうエグそうなのに、作者の清廉性のようなものがそれを感じさせなかった。嫌いじゃないけど苦手な芝居かも。そのくせ、今度は寝ないでちゃんと見てみたいと思わされた。
「二人椀久」
ほんとうはここの最初のほうで寝るつもりだった(いや、寝るだろうと思っていた)けど、先に寝ちゃったためにこっちは大丈夫だった。でも、全体に動きがゆるやかすぎて、途中で「二人椀久」ってこんなにテンポの速い踊りだったっけというワクワク感が普段は湧いてくるのに、今回はまったくそれがなかった。
玉三郎さんと海老蔵さんの間の空気が濃密。菊五郎×時蔵によく感じられるようなものとは違う。なんと表現していいのかわからない。「濃密」って言っていいのかどうかもわからない。「空気」というのも違うかもしれない。表現できないけど、なんか特別な何かを感じた「二人椀久」だった。
<上演時間>「義賢最期」83分(11001223)、幕間35分、「幻武蔵」50分(12581348)、幕間25分、「二人椀久」33分(14131446

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コメント

こんばんは。
「義賢最期」に全精力を注いだがために他に何も見なかった者です(笑)
本当は国立も行きたかったんですけどね…。

どの座組で見ても比較的心揺さぶられてしまう演目ですが、
今回は本当にもう、全身全霊で見て毎回疲労困憊でした…。
日を追うごとに舞台から伝わる悲壮感が強くなり、
最後の何回かはもう中盤から泣きっぱなしでした。
どの座組で見てもグッとくる演目ですが、
今回は義賢はもちろん、小万に完全にやられてしまいました。
わたくし的には小万にも毎回かなり涙腺揺さぶられていますが、
梅枝くん、本当にうまかったと思います。
あまりにも私がぎゃーぎゃー騒ぐので、歌舞伎に興味のなかった知人が歌舞伎に興味津々のようで、今度一緒に観劇の予定です。
この演目で一年の観劇を締めくくれて、本当によかったです!

義賢をビデオで見つつ、酔っぱらいながら涙しているあねごでしたcrying

投稿: あねご | 2014年12月30日 (火) 20時19分

あねご様
こんばんは。コメントありがとうございます。
愛之助さん、義賢をすっかりご自分のものにされていましたね。体力的には大変でしょうが、これからも何度も演じていただきたいなと思う義賢でした。
あねご様は6回ご観劇でしたか‼ あねご様のようなファンがいらして愛之助さんは幸せな役者さんですね。そして歌舞伎ファンを1人増やすかもしれないあねご様の情熱は、最近ちょっとパッション後退気味の私にはまぶしいほどにステキですshine
梅枝クンの小万、よかったですね。趣向の華でも断トツだったし、今後がますます楽しみです。

愛之助さん、BABA嵐で抜けられてよかったですね。決勝戦でも最初にババが来た時には(こんなことってあるんだぁ)絶対愛之助さんが最弱王になると思ったから。でも次回必ず参戦という結果にならなかったのはちょっと残念だったりしてsmile

投稿: SwingingFujisan | 2014年12月30日 (火) 21時44分

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