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2015年1月30日 (金)

「南総里見八犬伝」千穐楽

127日 「南総里見八犬伝」千穐楽(国立劇場大劇場)
150130hakkenden 歌舞伎座夜の部が先なのだけど、もう日が経ちすぎたから先に記憶の新しいほうを。菊五郎劇団の初春公演はリピートするのが常で、今年も9日に3階の一番安い席を取っていたのに、仕事が終わりそうもなくてドタキャン。結局千穐楽たった1回の観劇になってしまった。
そういえば、「発端」「蟇六内」「円塚山」は3年前の浅草でも見たのだったっけ(芝居の構成に少し、違いはあったみたい)。写真は武田双雲さんの書。
「発端」では伏姫の右近クンが、きっぱりとした色気の中に哀れさがあってよかった。
序幕「蟇六内」は芸達者な萬次郎さん、團蔵さんの味わいが自然で面白かった。「あけみちゃん、いいじゃあないのぉ」「だめよだめだめ」は入れなくてもよかったと思ったけれど、どこかに流行りのギャグを入れなくちゃならないとすれば、やっぱりここか。
愛する犬塚信乃とは結ばれず、親の決めたイヤな祝言を逃れたと思ったら網乾左母二郎にだまされ命を奪われる浜路(梅枝)が一途で愛らしく哀れだった。色悪というのは、「ワルいヤツだし、本当に惚れているのは二枚目の色男(この場合、犬塚信乃)だけど、この人にならさらわれてもしょうがないか」と思わせる魅力がなくてはいけない、とつくづく思ったが、その点、松緑さんの色悪ぶりはとても素敵だった。菊之助さんの信乃は本当に美しいのだけど、ここでは松緑さんの勝ち(子供の頃読んだ「八犬伝」の信乃様は何人目かの初恋の人だったけど)。
「円塚山」で八剣士が揃い、だんまりを見せる。もう、目玉きょろきょろ、誰を見たらいいの状態。菊五郎さん(犬山道節)の貫録、時さま(犬坂毛野)の存在感、さっきまで悪役だった松緑さん(犬飼現八)、亀兄弟(亀三郎:犬田小文吾、亀寿:犬川荘助)、菊之助さん、萬太郎クン(犬村大角)…その中で注目だったのはやっぱり犬江親兵衛の左近クンか。可愛いだけでなく、しっかり八剣士の1人としての責任を果たしていた。
二幕目「成氏館」では村雨丸を巡って物語が進み(村雨丸は、さっきのだんまりで道節の手に渡っていたような…)、「芳流閣」では大屋根上での菊五郎劇団の立ち回りが楽しい。松緑さんと菊之助さんの大屋根での一騎打ち。国立劇場ならではのセットも相俟って、実に魅力的だった。でも、この場面は最前列ではなく上から見てみたかった。全体に菊五郎さん、時蔵さんは出番を抑え、世代交代を感じる構成になっていたが、松緑×菊之助はこれからも菊五郎劇団の中心としてもっと絡みを見たいと思った。
三幕目「古那屋裏手」は亀三郎、菊之助、松緑3人が義兄弟の固めの盃をかわす。三人吉三をこの3人で見たいぞと強く思った。
四幕目「馬加大記館対牛楼」(「馬加」は「ばか」ではなくて「まくわり」)では、前の場で信乃と現八を逃がした小文吾が囚われ、磔にされている。そこへやってきた女田楽師たち。中国風の衣裳をつけた時さま、梅枝クン、右近クン(発端の伏姫だけじゃもったいないと思っていたから、2度目の登場、よかった!!)が中国風の剣舞を披露する。この踊りがとてもよくて、松緑×菊之助のさらに次世代として梅枝×右近の絡みをもっと見たい、2人をもっと絡ませるべきと願った。女田楽師の時さまは実は犬坂毛野であるから、とても気持ちよさそうに品よく暴れていた(子供向けの「八犬伝」の毛野の挿絵、今でも覚えている。男装の女剣士を装った男子は素敵だったのだ)。若手と比べるとやはり大きさが違う。

大詰「白井城下」では、花道をさくさく歩いてきた美剣士に目を奪われる。誰?と思ったら犬村大角の萬太郎クンであった。萬ちゃんは童顔だと思い込んでいたので、そのイイ男ぶりにちょっとびっくりした。さてここでは道節の「刀売り」が眼目だったけど、道節の火遁の術の衝撃が大きかったせいか、あんまりセリフを覚えていない。事前にすごいものが降ってくるから、カバンの口はあけておいてはいけないと聞いていたし、幕が開く前に「大きな音がします」と注意を受けていたからある程度心構えはできていたが、それにしてもよく火の粉(もちろん、本物なわけはなくて、赤い銀紙)が降り注いできた。最初に私の膝の上に落ちてきたのは、その火の粉が詰まっていたと思われる(多分)筒の蓋。それにびっくりしているうちにこれでもかこれでもかと降ってくる。最前列でよかったと思った。
「扇谷定正居城」で八剣士が大敵・扇谷定正を追い詰める。しかし討ち取るのは後日という道節の一言で、その場は納まる。その時、扇谷定正の向かって右隣りに並んだ菊五郎さんの口から、さりげなく、実にさりげなく、「ろうそく、たらたら」「ろうそく、たらたら」の言葉が…。一瞬あっけにとられた客席は次の瞬間大爆笑。もちろん、扇谷定正は左團次さんなのである。左團次さんが出てきた時、実は私、「最近、左團次さんバラエティに出まくっていて、しかもSM好き(左團次さんはSらしい)と吹聴しているなあ」と心の中で独り言を言っていたのだ。その心が通じたのか、見事なアドリブにやられたわ。菊五郎さんも左團次さんもすま~した顔していたが、亀三郎さんや菊之助さんは笑っていたらしい。
盛沢山で11場の掘り下げは深くないものの、見せ場もたくさんあったし、とても面白かった。各剣士のエピソードがもっとたくさん見られたらもっと面白かっただろうが(犬川荘助、犬村大角、犬江親兵衛をもっと見たかった)、時間の制限もあり、それは欲張りというものだろうか。
<上演時間>発端・序幕75分(12001315)、幕間35分、二幕目30分(13501420)、幕間10分、三幕目15分(14301445)、幕間15分、四幕目・大詰45分(15001545

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コメント

私も千穐楽、最前列(と言っても上手のお安い席ですが…)で拝見していました♪初日と比べて、ずっとずっとずっっっと良くなっていたので、楽にご覧になって正解だと思いますよー。ロウソクたらたらは大爆笑でした(*´∀`)♪
最後の手ぬぐい撒きでは松緑丈からいただけました!そして、手ぬぐいが乗っていた三方まで下さって今は家に飾ってあります。来年の鏡餅は特大を買わなくてはっ!

投稿: aki | 2015年1月31日 (土) 06時24分

aki様
おはようございます。コメントありがとうございます。
aki様もいらっしゃった、しかも同じ最前列にいらしたとは、全然気がつきませんでした。
復活狂言はやはり、日を追うごとに改善されていくのですね。比較もしてみたいところでしたが、1回のみの観劇になってしまったので千穐楽で正解だったわけですねhappy01 「ろうそくたらたら」も聞けたしbleah
手拭と三方(ステキ‼)、よかったですね。私はほしい気持2分、記念品は増やすまいという気持8分でいましたので飛んでこなかったのはいいのですが、三方付き手拭とはほんと羨ましい、最高の記念品ですものねhappy02

投稿: SwingingFujisan | 2015年1月31日 (土) 08時36分

千穐楽、無事にご覧になれてよかったですscissors
しかも最前列だなんて、火遁の術のところはさぞすごかったことでしょう。私は4列でしたが、びっくりするくらい降ってきて、髪や洋服は気をつけてたのに、夜になってハイネックの首もとにもぐりこんでるのを発見wobbly 何時間もたってからチクチクしたんですよ。
萬太郎くんのいい男ぶりには驚きました。いつのまに、って感じ。
akiさま、手拭いのみならず三方までとは、うらやましい。今年の運気up あやかりたいですよね。

投稿: きびだんご | 2015年1月31日 (土) 11時23分

きびだんご様
こんにちは。コメントありがとうございます。
この千穐楽にかけていたので、演舞場の千穐楽は断念してしまいました。でもその甲斐十分な面白さでした。
火の粉、あとで思いがけないところから出てくるんですよね~。ハイネックの首にもぐりこんで、夜までおとなしくしていたとは、火の粉もやるものですね~coldsweats01 
萬ちゃんが花道を歩いてきたときには、「よろずや」の掛け声がかかっているのにもかかわらず消去法で考えちゃいましたわ。声もいいし、これからが楽しみです。
ねっ、akiさんの三方、羨ましいですよね。ほんとあやかりたいっhappy02

投稿: SwingingFujisan | 2015年1月31日 (土) 14時15分

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