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2015年4月28日 (火)

風俗画だからこその興味深い絵がいっぱい:ルーヴル美術館展

420日 ルーヴル美術館展(国立新美術館)
雨模様の午後3時ごろ。混んでる混んでると脅かされていた割にはすいていて、どの作品もじっくり見ることができた。展覧会のHPで混雑状況を確認したのも、天気も正解だったかな。
またか的なところもあるルーヴル展だけれど、今回は「日常を描く――風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」というテーマなのがなかなか興味深い。ルーヴルでは超有名画家や超有名絵画に興奮してしまってついつい見逃しがちな風俗画たち。これを目の前でじっくり見るためには混雑状況把握ですぞ。
風俗画といってもやはり宗教との縁は切れない。わたしたちの目にも明らかに宗教的寓意をもっているとわかるものもあれば、そうでないものもあるが、やっぱりあちらの生活は宗教に根差しているんだなと思いつつ、親しみやすさも覚える。
古代の展示品がいい。オストラコン(陶片)の絵画はどれも生活がいきいきと描かれていて、古代へと思いが飛ぶ。
「アモルを売る女」は面白い。アモルって要するにキューピッドのことなんだけど、西洋絵画って時々用語がわからないことがある。アモルは原題の「amour」と、描かれているのがまさにそうだったからわかった。でも後に出てくる「オダリスク」(今回はブーシェの作品)は散々見ているのにこのたび初めて意味を知ったという始末(トルコのハーレムに仕える女性)。さて、この絵では、アモル売りの女性がアモルの羽をつまんで客の女性に見せている。アモル売りの駕籠には眠っているアモル、様子を窺っているアモル2体がまだ残っている。アモルを売るってどういうことだろう。想像の域を超えた絵だった。後で知ったことだが、今まさに売られよう(買われよう)としているアモルの手が下品な形をしている。この絵が描かれた当時(1763年)から現代まで、その手が表す下品さは継続しているのも面白い。
「両替商とその妻」(クエンティン・マセウス)には色々な解釈があるようだ。そういう解釈を目にし耳にするたび、本当は画家自身はどういう意図を込めて描いたのだろうといつも思う。そうしてみると、結局絵画は見る人の想像や感性で解釈してもいいのかもしれない。でもそれにしても、何かしら説明がないと理解できないよなあ。「割れた水瓶」などもある程度想像はつくものの、やっぱり説明を見て納得というところ。
「鏡の前の女」(ティツィアーノ)は絵画と彫刻の<どっちが上>争いに関係しているのが面白い。当時、360度見られる彫刻のほうが上だという人々がいて、一方の画家は鏡によって、平板な絵画でも一度に正面と後ろを見せることができることを示したのだそうだ。その先駆的な存在がティツィアーノらしい。
風景画を見ていたら、突然、当時のこの画家の目にはこの風景がこういうふうに映っていたんだ、という意識がむくむくしてきた。その頂点はフラゴナールの「《嵐》、または《ぬかるみにはまった荷車》」で、あのフラゴナールもこういう絵を描くんだという思いから、そんな意識が湧いてきたのだった。フラゴナールの活躍したロココ時代――ロココは案外好きだと今回初めて意識した。
「《聖家族》、または《指物師の家族》」(レンブラント)は、比較的わかりやすい宗教暗示だ。この絵で私は初めて、イエス・キリストのおばあさんの存在を知った。
今回の超目玉はフェルメール「天文学者」。やっぱりフェルメールは格別にいい。一番心に無理なく深くしみこんでくる。ここですごいのは、机の上に広げられているのが「天文学・地理学案内」という当時実際に刊行されていた本で、しかもその第二版だということがこの絵からわかるそうなのだ。そんな細部まで描きこんでいるのもすごいし、それを「あ、第二版だ」とわかるのもすごい。
他にも「抜歯屋」、「物乞いの少年(蚤をとる少年)」等々、見ておくべき絵がいっぱい。
グッズの中に京都のお菓子屋さんのポルポローネがあって、翌日40年ぶりくらいに会う人がいたから手土産にしようと思ったけれど、一番あげたかった塩味のパッケージが「蚤をとる少年」で、躊躇したあげくやめてしまった。
ルーヴル美術館展もこのくらいの規模(作品数は83点)だと疲れない。
しかし、私、最大の失敗がひとつ!! 音声ガイドを借りなかったこと。いつも借りないので今回もスルーしたのだが、今回の音声ガイドは日テレ枡アナウンサーとコナン君の掛け合いで、とっても楽しいものだったんですって。すっごく残念。この音声ガイドを聞くためだけに、もう一度行っちゃおうかなあ…なんて。

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