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2015年4月27日 (月)

四月歌舞伎座昼の部

419日 四月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
もう1週間か…。というより、もう千穐楽過ぎちゃったのか。空席が目についた。平成中村座の空席なし、立ち見ありを目の当たりにすると、なんだかなあという気持ちにならざるを得ない。
「碁盤太平記」
見たことあるようなないような…と、題名だけで思ったのは、「碁盤忠信」とごっちゃになっていたから。「碁盤太平記」は前回の上演が40年前だから見たことがあるはずがない。
扇雀さんの意外な大石内蔵助が意外によかった。大きさ、肚を見せぬとぼけ方、その一方でちらと見せる鋭く厳しい表情、そして心の動き、どれもいい(原。ただ、セリフにもう一工夫ほしい(不安定なところがみられる)かなとも思った。扇雀さんの立役は好きで、これからも立役でいけばいいのにと思うけれど、成駒屋としてはそうもいかないのだろう。
亀鶴さんは久しぶりに見た感じ。実際は夜の部にも出ていたのだけどね(女伊達で‼ 私の席からは見えず、「八幡屋お鶴」とだけ聞こえた)。「碁盤太平記」では役に合っていて、とてもよかったけれど、最初にちょっと出ただけ。なんとかもっといい役を‼
寿治郎さんの玄伯で、趣向の華ファイナル「赤垣源蔵」の沢庵を思い出した。「赤垣源蔵」は春虹先生(壱太郎クン)作なので、この辺を参考にしたのかな(もともとの「赤垣源蔵」に吉良の間者でもある医師がいるのかどうか知らないので…)。
染五郎さんの岡平は、初めて見るのでこんな感じでいいのかどうかわからないが、私にはちょっと軽すぎるように思えた。下働きとしての軽さとはちょっと違う軽さが感じられて気になったのだ。でも、後半主税に刺されてからはよかった。壱太郎クンの主税は若い武士らしい真っ直ぐな気概の中に、母を恋う幼さが純粋で好感がもてた。孝太郎さん、東蔵さん、安定した女方陣であった。
夫婦の別れ、2組の母子の別れが悲しかった。
「六歌仙容彩」
これが一番の見どころなのに、だいぶ寝てしまった。
最近テレビで変な左團次さんを見過ぎていたから、遍照がこんなにいいとは思わなかった。高僧らしい気品があった。魁春さんの小町は決して美形ではないけれど、品格でそれを補って余りあると思った。仁左様の文屋はうっとりしている間に寝てしまった。梅玉さんの業平がとても素敵だった。まさに平安の貴人・色男である。喜撰は菊五郎さんや芝雀さんがどうこういう前に、三津五郎×時蔵が思い出されて、もうそれは見ることができないんだなと悲しくなってしまった。吉右衛門さんの黒主、実にカッコよかった。踊りがどうこうでなく大きな悪の魅力。

「廓文章」
仁左様とは違う個性が十分に活かされた伊左衛門だったと思う。「河庄」より丸っこさが目立たず、笠をかぶって紙衣を着た姿に哀愁が漂う。人間くささが素直に出ているところが新・鴈治郎さんの魅力なんだろうな。
藤十郎さんの夕霧はきれいで、一級の遊女としての貫録と儚げな風情が感じられた。あの年齢で、素のお顔からどうやってあんなふうになれるのだ。
昼の部は「吉田屋」に劇中口上があり、喜左衛門(毎度毎度、「い」と「き」の違いが聞き取りづらくて、ごっちゃになる)役の幸四郎さんが新・鴈治郎さんを紹介した。さすがに幸四郎さんに上方の空気は感じなかったが、めでたいからいいや。秀太郎さんがバツグンの安定感だった。
しょうもない、落ちぶれたぼんぼんを暖かく迎える、一晩にどれくらいの金が動くんだという世界の大らかさ、しょうもないぼんぼんのために千両箱をいくつ積み上げるんだというくらいの金で夕霧を身請けしてやる金持ちの世界、まあすべて目出度い、夢の世界ですなあ。
<上演時間>「碁盤太平記」80分(11001220)、幕間30分、「六歌仙」96分(12501426)、幕間20分、「廓文章」68

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

Fujisan様
おはようございます。連休で、天気も良くのんびりしています。
4月の歌舞伎座、昼の部、私も楽近くの観劇でした。
役者比べといった趣の「六歌仙」も悪くはなかったのですが(特に、梅玉の業平が傑作、花道の引っ込みの風情たるや・・)、「吉田屋」が襲名披露狂言として充実していて楽しめました。成駒家のやり方は、松嶋屋のやり方に比べ伊左衛門夫婦とのやりとりも少なく、幇間も出ず、地味ですがその分しっとりとした感じはありますね。今回の吉田屋何をおいてもまず、藤十郎の夕霧です。私は初見ですが、こんなに良かったのかとも思いました。私が見た藤十郎のこの芝居は、いつも伊左衛門でしたので。ぼってりとした感覚が歌舞伎座の広い舞台いっぱいに広がり圧巻でした。晩年の雀右衛門とは印象がかなり異なりますが、ともに最上級の歌舞伎の女形の演技でしょう(玉三郎の夕霧はまた、別格ですが)。

投稿: レオン・パパ | 2015年5月 3日 (日) 09時56分

レオン・パパ様
おはようございます。気持ちのいい日が続いていますね。
梅玉さんの業平、本当にステキでしたね。まさに業平ってこうだったろうという感じでした。
私は上方歌舞伎の男女のごちゃごちゃはあまり好みではないのですが、「吉田屋」も「廓文章」も思いのほか楽しめました。
たしかに、「吉田屋」は藤十郎さんの存在感が圧倒的でした(そういえば、いつも伊左衛門でしたね。私は断然夕霧のほうが好みだと思いました)。それぞれの年代の良さはあるけれど、歌舞伎はやっぱり年輪なのでしょうか。

投稿: SwingingFujisan | 2015年5月 3日 (日) 11時19分

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