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2015年5月 1日 (金)

鳥獣戯画だけじゃない、見どころいっぱい高山寺のお宝

428日 鳥獣戯画展(国立博物館平成館)
150501giga1 「インドの仏」のチケットをいただいたが51日までだということに気がついて(招待券には期限がある場合があり要注意です)、慌ててそれを見に行くついでにもう一度グエルチーノ(これ、絶対お勧めです。同じ地震の被災地から来ている作品だし、グエルチーノを日本でこれだけ見られることはもう2度とないかも)を見るつもりでいたら、今日から鳥獣戯画が始まるから、それなら同じトーハクだし(上野駅から遠くて何度も行きたくない)、初日ならそんなに混んでないだろうと踏んで出かけた。
ちょっと出遅れて開館の930には間に合わず10時くらいになってしまった。入り口前のテントに行列ができている。しばらくしたらトーハクの人が、「チケットをもぎる所での混雑による混乱を防ぐためで、入場制限ではありません」とメガホンで知らせにきた。そして「当館の学芸員によると、鳥獣戯画はおまけみたいなもので、高山寺(「こうさんじ」と発音していた。「こうざんじ」だとばかり思っていた)の至宝がたくさんありますからちゃんと見てください」「飲食は禁止だけど、必要がある場合は申し出てください」とか、高山寺の旧蔵品には「高山寺」の赤い印が押してあるとか、リスが描かれた絵があって、これはなかなか見つけにくいとか教えてくれて、退屈させない。
そうこうしているうちに中に入れるようになった。事前の説明のおかげで、赤い印もわかったし、リスも意識してみることができた。でも、リスは本当にちっちゃく描かれていて、拡大図の展示されているものしか見つけられなかった。それも何度も拡大図と本物を見比べて、「ああ、あれか」というくらい見つけづらい。リスが描かれた日本の絵画は珍しいんですって。
そうそう、この展覧会で面白かったのは、作品のタイトルとか所蔵者なんかが書いてあるパネルの上の部分。その作品を一言でまとめたキャッチフレーズのようなものが書かれているのだ。たとえば「伽耶城毘沙門天図像」(No.10)には「画面上部はさながら動物ワールド」、「仏涅槃図」(No.40)には「釈迦こそ我が父」(これは、高山寺の開祖明恵上人にとっての父という意味)、「仏眼仏母像」(No.49)には「あなたこそ我が母」(幼くして両親を失った上人にとって、釈尊は父、仏眼仏母は母そのものだったそうだ。そう知ると、なんだか切ない思いが湧いてくる)などなど。これだけ見ていても楽しくて、全部メモってきたかったよ。ほとんど全部の作品に解説がついているのもありがたい。先日のボッティチェリといい、学芸員さんの熱意がんばりが窺える。でも、このキャッチフレーズ、意外と見逃しやすいからご注意。私は数点見たところで気づいて、戻って見直した。
展示品の中には色あせが激しいものもあったが、当時はさぞ美しい色で塗られていただろうと想像するのもまた一興。とにかく展示品のすべてが明恵上人の信仰心、釈尊への憧憬を表している。凄まじいことに、求道のあまり若き日に我と我が右耳を切り落しているのだ。その場面が描かれた絵があったが、メモし忘れた。
明恵上人直筆の書は、比較的わかりやすい文字だと思った(と言ってもそうそう読めるわけではないけれど)。神鹿、馬、子犬の像がとてもいい。動物が多いのが高山寺の美術品の特徴だろうか


150501giga2 さて、ここまでは第一会場、わりとゆっくり見ることができた。しかし…
「鳥獣戯画」の第二会場へ急ぎ、他の展示物は後回しにしてとにかく「鳥獣戯画」へ。あ、意外とすいてる、と思ったのは「断簡」の前だった(断簡も面白かった)。先を見るとげげげっ‼ なんという行列。失敗した。第二会場から見るべきだった。待ち時間40分だって!!
仕方ない、とにかく並んで待つしかない。甲巻から丁巻まであるのだが、観る順番としては丁→丙→乙→甲となる。甲は別個に展示されていて、まずは丁→丙→乙。私は幸い、展示ケースに近い列に並んでいたため、並んでいる間に拡大図も本物も全部見えてしまった。だからよほど列を離れて甲へ行こうかとも思ったけれど、せっかくだからやっぱり間近で見ることにした。予想通り、<途中から立ち止まらないで流れながら見て>お願いが入った。丁巻にたどり着くまで20分。丁→乙まで見るのに5分弱。ふ~っ。私が気に入ったのは丁巻で、それは太く早い筆致で描かれているから。どの巻も大らかなれど、とくに丁巻の大らかさは気に入った。
さて甲巻へ。行列がハンパない。本来なら展示場となるスペースをしっかり行列用に確保してあり(最初からそれを見越してあったわけだ)、小腸のように折り返して並ばされる。退屈しないように上部に拡大図のビデオが流れるが、解説の声が流されないのが残念。小さい画面のビデオもあって、そのうちの1つでは、料紙の表裏に人物戯画と動物戯画が描かれていたという丙巻の料紙の表裏をはがす作業を見せていた。なかなか興味深い作業だったが、拡大図のビデオにしても、長時間に同じ画面が繰り返し流されるとさすがに飽きる。甲巻はみんなゆっくり眺めるせいか、とにかく進みが遅い。やっと動いたと思ったら、2列くらい前に進んだところでそこから1015分動かない。渋滞の論理、渋滞の論理、と頭の中で呟きながら、ひたすら耐える。そしてついに甲巻の列に並んでから65分、私がたどり着いたときには「立ち止まらないで」な感じになっていた。甲巻は短く、あっという間の鑑賞に終わった。それでも超有名な場面を見たからまあいいや。
たしかに素晴らしい。今、日本の漫画が世界を席巻している(と言ってもいいかな)けど、そのルーツはここにありか。動物も人間も時にアイロニカルにユーモラスに、ときに愛情をもって生き生きと描かれている。見事な観察力、想像力、創造力だ。私が気に入ったのは、烏帽子をかぶった猫に怯えて兎の後ろに隠れるネズミ(後期の展示らしいから、パネルで見たんだったかしら)。
ただ、大改修されたせいか、あまりにきれいで、パネルを見ているような気分になった。2007年にもサントリー美術館で「鳥獣戯画展」を見ているのだが、あの時のほうが鳥獣戯画らしかったと言ったら、せっかく苦労して修復してくださった方たちに申し訳ないですよね。本当に素晴らしい努力と技術なんです。ごめんなさい。
それにしても、鳥獣戯画の作者は鳥羽僧正だと習ったのは何だったんだろう。

写真は、平成館の前の池で私たちを楽しませてくれる動物たちの一部。鼻をつまんでバックで飛び込む兎がかわいいでしょ。下は、猿の背中に水をかける兎。

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