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2015年5月12日 (火)

映画「王妃の館」

56日 映画「王妃の館」(MOVIX川口)
原作とはかなり違い、正直、ガッカリ映画だった。原作とは別の映画として見れば面白いのかもしれないけれど、原作のよさが全く感じられなかった。
浅田次郎の原作は、はじめ50ページくらい読んで挫折。というのも細切れで56ページずつ読んでいたから、次読む時には登場人物も状況も忘れてまた最初から読み直しなんていう状態だった。それが少し時間が出来て「ちゃんと読もう」と決意してから読み始めたら、面白くて面白くて、一気読み(正確には34回に分けての一気読み)。だからどんな映画に仕上がるのか楽しみだった。でも、ルイ14世や、その愛人、プティ・ルイなどフランス人役を日本人がやると知った時からかなり不安になった。まあ、たしかに安っぽい感じにはなっていたけれど、意外とその辺はすんなり受け入れられた(ルイ14世は石丸幹二、愛人ディアナは安田成美、プティ・ルイは山田瑛瑠)。というのも、原作では右京の小説と実際の(浅田二郎の小説内での実際の、という意味)ルイ14世時代が交錯していて、彼らのセリフは日本語(時々フランス語が混じる)だったから、北白川右京(水谷豊)の小説の中の登場人物という設定の映画にそのまま適応できたんだと思う。それに山田瑛瑠クンがかわいかったし、それ以上に「違う‼」ことがあったからだろう。
まず「王妃の館」に宿泊するツアー参加者たちの背景がほとんど描かれていない。描かれていたとしてもセリフ一言でまとめられていたり、しかも背景設定が原作とは違っていたりもする。浅田次郎って、登場人物の背景となる生き様が面白いんじゃないの? 人物描写が甘かったり変わっていたりするから面白みも半減している。さらには原作の登場人物の一部が映画では削られていた。けっこう原作者が力を入れたんじゃないかと思う登場人物たちだが、コメディ映画としては登場させるのは難しかったのだろう。ツアー客がツアーに参加したのにはそれぞれに背景となるこれまでの人生があったのだが、それが描かれていないのは何とも残念である。
その流れで、キャストも私のイメージとはずいぶん違ったな。イメージとの差があまりなかったのは、ミチル(安達祐実)とクレヨン(中村倫也)だけ。多分、プティ・ルイのほうに重点を置きたかったのだろうが、そっちも浅い。
 で、結局、何もかも浅くて中途半端で、北白川右京の奇天烈な格好だけが印象に残った。それはそれで楽しめないでもなかったけれど、原作の右京のイメージとはかけ離れていたなあ(左文字進、神父・草場一平、杉下右京…水谷さんの北白川右京はこのミックスって感じだった)。もっともイメージは読んだ人によって違うわけで、あくまで私のイメージ、ということなんだけど。
文庫にして上下巻合わせて約700ページの原作――これを2時間の映画にするにはああするよりなかったのかもねえ。
<上映時間>123

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