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2015年7月27日 (月)

七月歌舞伎座夜の部

720日 七月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
珍しく、本当に久々に、弁松のお弁当を買ってしまった。終演9時なんだもの。さすがにおなかすくでしょ。
「熊谷陣屋」
海老ちゃんが神妙に熊谷を演じていて、ほぅおと感心した。それはそれとして前半は全然感動せず、どうなることかと思っていたら、僧衣姿になってからの熊谷にはかなりうるうるさせられた。ラスト、花道に立った海老ちゃん、横を向くと、團十郎さんにそっくりだった。首から肩、背中のラインがほんと、團十郎さんみたいで…。
相模の芝雀さん、藤の方の魁春さん、義経の梅玉さん、そして弥陀六の左團次さん、周囲がそれぞれ「これぞ」という感じで素晴らしかった。その素晴らしい周囲の中で見劣りがしなかったのは海老蔵さんが吉右衛門さんの教えを受けて神妙に演じていたからだろう。花道での熱い拍手が観客の気持ちを表していたと思う。
「牡丹燈籠」
これまでに見たのと違う構成、演出で、最初のほうの時間経過がややわかりにくいことを差し引いても、とても面白かった。一方で、お国・源次郎の物語が省略されているのがちょっと残念だった。
過去2回、そのお国を好演していた吉弥さんがお露の乳母お米をこちらも好演。手の甲に青みがかった化粧をしているのか、「うらめしや~」の手をすると、それが効いて怖かった。怖いけれど、なんかユーモラス。九團次さんの新三郎は愛之助さんや染五郎さんに比べて強さが勝っていて、幽霊に負けない感じではあったが、色気も十分、幽霊にいたぶられるのは「椿説弓張月」を思い出させた(あっちのほうが凄かったけどね)。
玉三郎さんのお峰は杉村春子風の喋りで、お峰という「女」が嫌味なく前面に出ていて、可愛かった。自分は幽霊が怖いくせに欲を張って伴蔵をけしかけるところや、「ちゅうちゅうたこかいな」なんてサイコー。第一幕では玉三郎お峰が姉さん女房という感じでリードしつつ、貧しいながらも夫婦仲のよさが微笑ましかったが、第二幕では立場が逆転する。伴蔵に嫉妬でぐちぐち言う場面は私の席の方向へ背中を向けていることが多く、そのせいなのか自分の耳が悪いせいなのか、肝心のセリフの面白さがよく聞き取れなくてとても残念だった。しかしそれでも、伴蔵に捨てられたらどうしようという心細さなど、お峰の女としての可愛さ、哀れさは十分伝わってきた。

中車さんの伴蔵は、さすがに人間心理の表現がうまいと思った。幽霊から手に入れた大金を元手に、最初はお峰とともに汗水たらして働いたのだろう。しかし商売が成功すると、ついよそに女をこしらえ、金も平気で使うようになる。人が変わってしまったかのようだが、本質はきっと貧しい時と同じなのに違いない、という気がした。中車さんの伴蔵に冷酷さはなく、幽霊に取りつかれたお峰を思わず殺してしまったというのがこれまでの伴蔵と違うが、その方が中車さんらしくていいように思った。そして、これもまた人間の怖さであるような気がした。玉三郎さんが中車さんの良さを思いきり引き出し、中車さんが努力とうまさでそれに応えた舞台と言っていいのではないだろうか。
猿之助さんの圓朝は客の気持ちをその世界に上手に引き込んでいた。
もっといっぱい書きたいことがあったんだけど、日が経つうちに忘れちゃった。やっぱり感想は早く書かないとだめだなあ。
<上演時間>「熊谷陣屋」88分(16301758)、幕間35分、「牡丹燈籠」第一幕69分(18331942)、幕間15分、第二幕62分(19572059

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