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2015年7月29日 (水)

二度見ても新しい感動が次々と:「阿弖流為」千穐楽

727日 「阿弖流為」千穐楽(新橋演舞場)
2回の観劇で、座席からは見えない上手下手をカバーするつもりが、前回モニターがあったおかげでかなりの範囲見えたし、恒例町会祭りの翌々日で疲労が懸念されたし、この暑いのに駅まで自転車だし…4分の1くらいやめたい気持ちを奮い立たせ出かけた。
見てよかった‼ 2度目だから感動が薄れるかと思いきや、新たな感動が次から次へと押し寄せて、本当にやめなくてよかった。
今日の席は東でも西でもなく、でも限りなく西に近い正面。本花道はまったく見えず、仮花道はいわゆる七三あたりまで見える(仮花道が細くてびっくりした。本花道の半分くらいの幅に見えた)。舞台は花道とつながるところから下手以外はほとんど見えた。何よりセリフが聞きやすい。前回は東側の席で、登場人物が背中を向けると大音響に声が籠ってところどころ聞き取れなかった。歌舞伎座でも東側の席へは時々声が届いてこなかったことを考えると、やっぱり席は花道を捨てても正面のほうがいいのかもしれない。
150729aterui3 今日は千穐楽なので、えみし弁当・阿弖流為弁当・田村麻呂弁当・立烏帽子弁当の中から、内容に関係なく「阿弖流為弁当」を購入。1500円の大奮発。

・第一幕、都に横行するにせ蝦夷に啖呵を切る七之助さん(鈴鹿、いや立烏帽子)が思いっきりかっこいい。
・立烏帽子と田村麻呂、田村麻呂と阿弖流為の立ち回りが激しくかっこいい。
・立烏帽子は何者なのか――鈴鹿ではないのか。あるいは1人の女の表裏一体なのか(後に立烏帽子の正体が明らかになるが、この時点で私はすっかりそれを忘れていた。そのおかげでこのミステリアスな女性を楽しむことができた)。
・「人が作った神が八百万の神に仕掛けた戦」。立烏帽子は後に、戦いを避けたい田村麻呂と阿弖流為にとっては闘うべきものとなってしまったが、その強い怒りと願いと悲しみを思うと立烏帽子が哀れであり、先般の地震のこともあって泣けた。
・萬次郎さんのよく透る声が御霊御前にぴったり(100回言うけど、「マジックアワー」のあのうだつの上がらぬ会計係と同一人物とは未だに思えない)。
・両花道での田村麻呂と阿弖流為の名乗り。「次にまみえるのは戦場」「その時は死力を尽くして戦うのみ」――なんか、ひどく感動的だった。
・蛮甲のセリフだったと思うけど、「恐怖は敵意となる。この戦には勝てない。奴らはどんな手を使っても~」。ずんときた。
・千穐楽用にバージョンアップ?だったのは、阿弖流為と田村麻呂の大見得合戦(見得ってかっこいいわと改めて思った)。それから、熊子の獲った鮭を蛮甲→阿弖流為→立烏帽子→蛮甲とまわして、それぞれがぴちぴちはねる鮭(「伊東に行くならはとや」みたいに。古すぎてわからない?)に手を焼いていたこと。前回もやってたのかな。

・鈴鹿の死、熊子の死、立烏帽子の死――それで得られたものは何だったのか。
・阿弖流為を見送る阿毛斗に泣けた(新悟クン、全身の演技がいい)。
・蛮甲の壮絶な死――ずっとカッコ悪かった蛮甲、「カッコいいよ」。
・「人は義に生きる。それが戦になると大義となる。大という字がつくだけで胡散臭くなる」。田村麻呂のセリフだが、私は「国と国家、家という字がつくだけで」…なんだろう。国も国家も守ることは大事と思うけど…。蝦夷は国で大和は国家だった?(そんな簡単なことじゃないよね)
・国家の力に個人は翻弄されつぶされる――昔読んだ現代小説(タイトル忘れた)でその恐怖に背筋が寒くなったことがある。国家と戦った田村麻呂…。
・実体のない帝が象徴的。
150729aterui1_2 ・ラスト、観客全員が巻いた白いリストバンドが光り、天井の星と手首の星が蝦夷の星空となる。


カーテンコールは5回? 6回? 10分完スタンディングオベーションが続いた。
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回目くらいに染五郎さんが「10月にはこのメンバーで大阪に行く」と言い、幕が閉まった後、再び開いた。すると舞台には熊子が1人‼ 大活躍の可愛い熊子に熱烈な拍手が寄せられる。すると熊子が両袖に手招きして、再び全員が舞台へ。
次に幕が開くと、全員が二手に分かれて花道から鳥屋へ。これで終わりと思ったら戻ってきて、再び舞台に集結。やっぱりこういう演目の千穐楽はたまりません。

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コメント

FUJISANさん 今晩は、熱いですね。先週は休日出勤したのですが、今週はのんびりです。Fujisanさんもおからだご自愛ください。
私も珍しくアテルイ再見しました。この年になると、2度見シンドイときがあるのです。
2度目は三階の席でしたが、意外に見やすいというか、舞台の全体感の把握ができて、これはこれで悪くないかなと。最近の演劇は、観客自身が盛り上がらないと、満足してくれないみたいですね。私自身は歌舞伎が結構かたくなにカーテンコールを拒絶するのは一つの見識と思います。このお約束を破ったのは、私が大好きだった先代猿之助なのですが・・・・。
ところで、午前中ひまなので、チケットwebみていて、「有頂天旅館」思わずポチしてしまいました。(一番安い席ですが)。ナマノ渡辺エリ初体験です。また北條さんの作品、私は好きなので。

投稿: レオン・パパ | 2015年8月 1日 (土) 21時47分

レオン・パパ様
こんばんは。
レオン・パパ様が阿弖流為を2度ご覧になったとは、はい、びっくりです(私もリピートはほとんどしなくなりました)。阿弖流為は確かに3階席が見やすかったですね。あれだけの迫力があると、1階より見やすいのかもしれません。

観客も時代によって変わっていくので、今後どうなるかわかりませんが、少なくとも大歌舞伎はカーテンコールなしを守っていってほしいと思います。と言いながら、時にカーテンコールを求めたくなることもあるのですが…。猿翁さんはそういう観客の心を見抜いたのかもしれませんね。

「有頂天旅館」、私も見ますよ~。私もいつも通り一番安い席です。渡辺えり×キムラ緑子は楽しみですね(6月に2時間ドラマで熟女刑事コンビとして活躍していたみたいです。最初の20分ほど録画し損ねたので、再放送待ちです)。
「もとの黙阿弥」もぜひどうぞ。

今日は1日エアコンつけっぱなしでした。夜もですわ…。

投稿: SwingingFujisan | 2015年8月 1日 (土) 23時05分

Fujisan様
おはようございます。
「もとの黙阿弥」、発売初日にチケットとりました。孝夫ちゃんがやった役を、愛之助がやるのを見逃す手はありません。一方で、歌舞伎座8月一応みますが、私的には興味を引かない演目だてですね。いっそ勘九郎に「野田版 砥辰のうたれ」をやらせるくらいの松竹の奥役はいなかったのでしょうか。
ところで、芝居の再見の話でまた昔話(昭和時代)を一つ。せりふのある芝居の二度見は殆どしなかったのですが、舞踊(歌右衛門、梅幸 等)はたまに幕見に通いました。当時は歌舞伎の上演劇場が本当にすくなかったせいもあり、歌舞伎座でしか歌舞伎が見られない月も多かったためです。幕見も三階もがらがらのことが殆どでした。夜の部の今の三階B席に外国人のハトバスツアーが定期的に入り、上演時間を無視して、短時間で帰って行ったりしていました。昔はそんなことに、苦情をいう観客などいなかったのでしょう。のんびりした時代でした。

投稿: レオン・パパ | 2015年8月 2日 (日) 05時16分

レオン・パパ様
「元の黙阿弥」の件、大変失礼しました。レオン・パパ様のほうがずっと先輩でしたのにね(孝夫ちゃんがあの役をやったのは存じませんでした)。
8月の歌舞伎座は私の場合、第一部「おちくぼ」狙いです。今月の「演劇界」に今の歌舞伎・役者・観客のあり方に関する座談会が掲載されていますが、同感です。演目選びはますます難しくなっていくんでしょうね。

当時は歌舞伎は歌舞伎座でしか見られなかったということですが、今は逆に上演劇場が多過ぎることもありますよね。昔を考えれば今の歌舞伎人気はありがたいことなんでしょうね(3階Bの外国人ツアーのことなんて、今では考えられませんね)。昭和にちゃんと歌舞伎を見ておきたかった…。

投稿: SwingingFujisan | 2015年8月 2日 (日) 19時00分

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