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2015年8月16日 (日)

第21会合同公演

814日 第21回稚魚の会歌舞伎界合同公演(国立劇場小劇場)
團蔵さん、亀寿さん(カッコいい)、松江さん、幸雀さんをお見かけした。團蔵さんは靴じゃなくてスリッパみたいなものを履いていらしたけれど、普通に歩いていてとてもお元気そうで安心した。
「十種香」
見ている時は芝のぶさんは赤姫のニンじゃないんじゃないか…とても丁寧に演じているのだが、どうしても芝のぶさんは有能な腰元とかけなげな町娘って思ってしまう。ベテラン役者さんのニンについては、私の意識に色がついているのだろう。だから、濡衣のほうがよかったんじゃないか、などとも思ったりして。でも京珠さんの濡衣がしっとりしっかりで実によかったのよね(積極的な姫にちょっと呆れ顔なのが面白かった。濡衣ってそんな顔したんだっけ)。と悩みながら反芻して時間が経つうちに、ああ芝のぶちゃんの八重垣姫、切なくて可憐だったなあと気持ちが変わってきた。そう思い始めたら、どんどん芝のぶさんの存在感が増してきて、もう一度見たくなってしまった。
河童さん(謙信)は音之助さんと逆でもよかったかも。でもやりたかった役なんですって(渋い‼)。それだけにのびのびと演じている感じは伝わってきた。若さを押さえて敢闘賞。
ところで、勝頼(花作り蓑作)が舞台中央の階段に腰をかけ決まる場面、勝頼は左手で刀を持ち、右手をそれに添えているのだが、その右手は親指を折って他の指は反らせていた。筋肉痛になりそうな手の形だななんて心配になった。これをきれいに決めるだけでも大変だなあ。
白須賀六郎の錦次さん、最初は若すぎると思ったが、キレのある動きに六郎の心意気が現れていた。原小文治の音之助さん、うまい。
「素襖落」
太郎冠者は又之助さん。又之助さんと言えば真面目な芸風が私は大好きなので、その真面目さ、しっかりした発声がやっぱりちょっと違うかも…と見ている時は思った。ところが、こちらも芝のぶさん同様、後になるに従い、はっきりしたセリフで真面目にきっちり演じるからこその面白みだったと考え直すようになった。そういえばお酒を一滴も飲まないという又之助さんの酒飲み光景が可笑しかったな。私にとってベテランさんの味は、時間をかけてしみこんでくるのかもしれない。又之助さんの踊りも珍しいし、やっぱりこちらももう一度見たくなってしまったわ。
姫御寮の伊助さん、踊りはやや緊張気味だったが、父親の留守を預かる女主人としての落ち着き貫録がみられた。次郎冠者の音近さん、三郎吾の音蔵さん、コンビネーションがとてもよかった。平成中村座の試演会で私の注目株となった大名某の彌風さん、鈍太郎の吉二郎さん、ともに太郎冠者をからかう面白さで客席を沸かせた。

「伊勢音頭恋寝刃」
梅秋さんは貢のニンにぴったり。この日はまだ手順に追われているような感もあり、受けの芝居がイマイチな気がしないでもなかったが、お芝居が進むにつれてどんどんよくなっていった。みどりさんのお紺は貢への思い、貢のために絶対折紙を手に入れてやるんだという強い意志が見えた。
お岸の伊助さん(お岸って何考えてるか、いつもわからない)、千野の蝶次さん(一番新しい21期生なんだ‼)がうまい。
松寿さんの万野を見ていたら、この人の裏と表がはっきりわかって興味深かった。貢に対して最初から意地悪をしているのではない。柔らかい調子で貢に接し、皮肉でもなく時には親切にさえ見える。ところが、裏でこっそりペロッと舌を出しているのが見ているこちらにははっきりとわかる。そして徐々に貢にも時々、ずぼっと意地悪な面を見せる。喜助が貢の刀を預かる場面では、刀にしっかり目をやっていて、万野の意図が垣間見える。万野の面白さを松寿さんが好演。
でも私にとってのヒットはお鹿の吉六さん。プログラムの出演者の言葉にただ一言「初心」のあの吉六さんが、女方、それもお鹿ですもの(武部源蔵を演じた去年は「不惑」。吉六さんにはいつも潔さを感じる)。化粧はおかめさんみたいに頬の紅を丸く塗って笑えるが、真摯にお鹿になっていて、貢への気持ちがいじらしく思えた。声もきれいでびっくりした。
喜助の八重之さんもニン。かっこよかった。今田万次郎の音蔵さんは梅寿さんの代役ということだが、プログラムには本役として名前が載っていた。音蔵さんも国立劇場の試演会で注目株となった1人。「素襖落」でもうまかったが、こちらでも実力を見せてくれた。
終わり近く、定式幕が引かれて舞台転換があるが、帰ろうとする人が多々いた。今回は伊勢音頭の踊りはなし。
みんな、きっと昨日より今日、今日より明日とどんどんよくなっていったに違いない。もう一度日をおいて見たかったけれど、自分の日程ではこの日しかなくて…。
<上演時間>「十種香」55分(13001355)、幕間30分、「素襖落」50分(14251515)、幕間30分、「伊勢音頭」90分(15451715

 

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コメント

残暑お見舞い申し上げます。
私は1日違いの15日に拝見しました。夏の歌舞伎はいろいろと忙しいのですよね(笑)。
私は急ぎ足のレポになってしまいましたが、昨夜更新し、今日、SwingingFujisan様はいついらっしゃるかしら?と思いながらこちらへ参りましたら、更新されていて嬉しくなりました。感動再び!です。そして、河童丈につき、恐れ多くも、「敢闘賞」という言葉もおそろいで(私も自分のブログで「敢闘賞」と奇しくも書いていたのです!)、また嬉しくなりました。
稚魚の会の公演では、普段、惰性で見てしまっているようなところも(苦笑)よく分かったりして、いろんな意味で新鮮ですよね!

投稿: はなみずき | 2015年8月17日 (月) 19時48分

はなみずき様
こんばんは。コメントありがとうございます。
暑い夏に歌舞伎公演が集中して、泣く泣くあきらめたものもありますが、合同公演だけははずせません。レポは遅くなるといつになるかわからないので、私も急ぎ足になってしまいました。
合同公演では、歌舞伎の奥深さを改めて知り(そうそう、おっしゃるように普段惰性で見てしまっているようなところがある…だからこの公演では「そうだったのか」とか、この役はこんなにむずかしいんだということがわかるような気がします)、役者さんの力量に対する感動を覚え、ほんと新鮮な気持ちになりますね。
河童さんの「敢闘賞」!! やっぱり同じように思われましたのね。私も嬉しいですわ。
はなみずき様は名題下の役者さんをよくご存知ですし、レポには愛がこめられていて、いつも感動しながら拝読しています。私はまだまだ、合同公演でやっと覚えて本公演で秘かに応援しているといったレベルです…。

投稿: SwingingFujisan | 2015年8月17日 (月) 20時54分

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