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2015年8月 2日 (日)

鴈治郎襲名巡業(東コース)

729日 松竹大歌舞伎巡業東コース千穐楽(北とぴあ)
色々事情があって、迷ったのだけれど(暑いのもその一つ)、歌舞伎が地元に来てくれるんだもの、行かないテはない(王子は正確には地元じゃないけど、広範囲に考えればほとんど地元)。予約時には行かれないかもしれないことを考えて1000円の席にしておいた。結果、行ってよかったし、1000円の席でも十分楽しめたし、上等な歌舞伎が1000円で見られるなんて機会はめったにないんだし(去年の北とぴあも1000円で見たのだった)、7月の締めとして本当によかった。
「引窓」
鴈治郎さんの襲名まで、何度も見ていたにもかかわらず、玩辞楼十二曲だって知らなかった。で、さすがに家の芸だけあって、とてもわかりやすく「良い」芝居だった。
南与兵衛は、出世の喜びが素直に表れていて、それが鴈治郎さんの人柄にぴったり合っていた。侍としての佇まいもよかった。これまで見てきた与兵衛もそれぞれによかったが、鴈治郎さんが一番与兵衛の人となりに近いんじゃないかと思った。
対する松緑さんも濡髪の真摯な性格がよく表れていた。松緑さんには相撲取りとしての色気みたいなものも感じられた。
男の子はやっぱりマザコンだ、ってこの2人を見て思った。マザコンという言葉はちょっと語弊があるかもしれないけれど、2人の母親への甘えが好ましい程度で感じられたのだ。実子と義理の子供とで、微妙にその甘え方は違うけれど、2人がちゃんと母親に甘えているのが何とも微笑ましく、母親への愛情を通して2人の間に共通する感情があるように思えた。鴈治郎・松緑の組み合わせはなかなかよい。
壱太郎クンのお早は色街にいた華やかさ、若々しい色気があって、夫や姑だけでなく濡髪のことも思いやる優しさが感動的だった。
平岡丹平(亀寿)、三原伝造(亀鶴)がこれまでとは違った印象を与えた。これまでは、こちらが濡髪に肩入れするせいか、この2人を勝手に悪役だと思い込んでいたのだが、決してそうではない、2人には仇討をしなければならない理由があったのだ、と今さらながらに思った。
鴈之助さんは2人の子供の間で揺れ動く母心を見せ、
見事にピンチヒッターをつとめられていた。とはいえ、寿治郎さんでも見たかったな。
悪人が1人も出てこない、情愛たっぷり、切ない物語である。

「口上」
待ってましたの藤十郎さんが真ん中で口を切る。懐から紙を取り出して読むのだが、それがただ読むのではなく、いい意味で芝居がかっていて「うまい!」。
亀鶴:公私ともにお世話になっているお兄様の口上に列席できてありがたい。亀鶴の名前は、初代鴈治郎の俳号である。二代目は自分の初舞台でご一緒した。三代目は亀鶴襲名の際に口上に出てくださった。当代は優しいお兄様である。
亀寿:北とぴあにお越しくださりありがとうございます(笑)。鴈治郎おにいさんは、周りにいる私たちを元気づけてくださる明るい方。
松緑:成駒屋とは縁が深い。藤十郎さんと父(祖父だった?)はよく舞台をご一緒して、自分は子供の頃から可愛がってもらっている。「引窓」の出演も引っ張ってくださった。共通点は、当代鴈治郎さんも自分も四代目であること、誕生日が1日違いであること、そして墓が隣でゆりかごから墓場まで一緒。
扇雀:連獅子を息子と踊るが、歌舞伎の芸の継承に通じるものがある。鴈治郎は上方にとって大切な名前であり(「私は扇雀のままですが」)、それが復活したのは嬉しい。
虎之介:口上に列座させていただき、千穐楽まで父と巡業を続けられたことありがたい。
壱太郎:4年前に初めて女房役をしたのがお早だった。その役で父と共演できたのは嬉しい。襲名巡業は今日をもってひとまず千穐楽だが、8月からまた新たに巡業がある。
鴈治郎:曽祖父が一代で作り、一代で大きくした名前である。父が藤十郎を襲名したためあいていた、あこがれの名前。襲名披露を盛大にしていただき、鴈治郎家の芸「引窓」を披露できてありがたい。初代以来の名前を辱めないよう精進する。
藤十郎さんが口上のみとはいえ、巡業でお元気な姿を見せてくれたこと、亀鶴さん・亀寿さんが列座していたことが個人的には嬉しかった。
「連獅子」
扇雀さんは狂言師の時にはまったく感じなかった女形の柔らかさが獅子でちらっとだけ垣間見えた。仔獅子を谷に落す件などは、愛情もさることながら、芸の継承の厳しさが前面に出ているような気がした。
虎ちゃんはずいぶん大きくなっていてびっくりした。もう虎ちゃんなんて言っちゃいけないね。仔獅子らしい若い溌剌とした動き、親の教えに応えようとする力強さが清々しかった。
連獅子は色々なカップリングで踊られるが、それぞれに個性が表れていて面白い。また華やかで盛り上がりやすい演目なので巡業にはぴったりだと思った(去年やはり北とぴあで見た又五郎襲名公演でも又五郎・歌昇親子の「連獅子」が上演されていた)。
<上演時間>「引窓」75分(17001815)、幕間25分、「口上」15分(18401855)、幕間15分、「連獅子」55分(19102005

 

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