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2015年8月25日 (火)

双蝶会

825日 第1回双蝶会(国立劇場小劇場)
右近クンの研の會も双蝶会も両方見たかったけれど、日程上双蝶会のみとなった。座席でふと後ろを振り向くと、2席ぐらい離れたところになんと新悟クンがいた‼ 新悟クンは好きなのでどきどきしちゃったわ。考えてみたら、新悟クン、歌舞伎座に3部とも出演しているのよね。双蝶会は1330開演だから「おちくぼ」が終わってすぐに国立へ来たのだろう。「船弁慶」の時にはいなかったから、最初の「毛谷村」だけ見て、歌舞伎座へ引き返したんだね。右近クンもよく若手の勉強会を見にきていたけど、みんな熱心に仲間の会を見ているんだなと頼もしく思った。あと、松江さん、玉太郎クン、蝶紫さんのお姿も。

さて、まずは歌昇クン主演の「毛谷村」
幕が開くと、松緑さんと歌昇クンが太刀を交えている。松緑さんはだいぶスリムになってお顔もシャープさが目立つ。引っこむ時、花道七三で軽く六助を振り返り、けっという表情になったのが、「だまされおって、ばかめ」という感じ。卑劣でとんでもない悪いヤツではあるが、悪役松緑さんがかっこよかった。そこだけの出番だったからもったいない一方で、松緑さんらしいかもとも思った。
今回はちゃんとお幸の入りがあってよかった。ここは省略してほしくないのだ。お幸は京紫さんだったが、京紫さんも老け役をやるようになったんだぁ、とちょっとびっくりした。きれいで上品で毅然としたおばあさんだった。
お園は芝雀さん。歌昇クンとのカップルに全然違和感がなかった。芝雀さんは歌昇クンを立てるためか、全体に控えめでおっとりした感じで、その中に心の強さと時折細やかさを見せていた。
歌昇クンの六助は、よすぎるほどの人のよさ、骨太な懐の深さが十二分に表れていた。だまされたと知った時の怒りの凄まじさは、庭石を踏み込むだけでなく、動きやセリフの言い方が吉右衛門さんにそっくり(歌昇クンのほうがセリフははっきり聞こえるけどね)で、勉強の成果がしっかり表れていると思った。
葵太夫の浄瑠璃、やっぱりいいなあ。
次は種之助クンの「船弁慶」
長唄・里長、三味線・栄津三郎、小鼓・傳左衛門他という豪華さ。「毛谷村」の葵太夫もだけれど、勉強会だからこそ一流の演奏家によるサポートがあるべきだと思う。傳左衛門さんは久しぶりのような気がする。傳左衛門さんの鼓の音、咆哮(今回は咆哮とは言わないか、掛け声)は私の中では最高。
義経の染五郎さんは、武将らしい強さと線の細さがいい具合にミックスされていた。「その時義経、少しも騒がず」と言って刀を抜く様がきれいで実にかっこよかった。
弁慶は又五郎さんで、冷静さと知盛の霊に対し義経を何としても守るという気概が素晴らしかった。
種之助クンは前シテの静は、小柄だし幼いと言っていいほど童顔で可愛らしく見えた。しかし声を発すると大人の女性の落ち着きがあって、そのギャップが不思議な魅力であった(ごめん、静の踊りはちょっと寝ました。静はどうしてもずっとは起きていられない)。ずっと悲しそうで、「はらはらと」涙をこぼしているという風情がよかった。静にしても知盛にしても踊りの技術としては手順でいっぱいいっぱいなところがみられたが(知盛が長刀を振り回すには舞台がちょっと狭いのかもしれない)、人物の心はちゃんと伝わってきた。幕外の引っこみは、笛・太鼓と対峙して凄まじい迫力であった。
感心したのは歌昇クンに又之助・吉之助という2人のベテランを舟人として引き連れ、客の目を引き付けて、舟長を演じる大きさのようなものが感じられたことだ。形もきれいだった。歌昇クンは六助もそうだったが、大きな役者になりつつあると思う。華もあるし、いずれ自分で舞台を引っ張っていけるような役者になるんだろうな(「毛谷村」は芝雀さんのサポートもあって、すでに歌昇クンがぐいぐい引っ張っているような印象を受けた)。なお、早くも第2回双蝶会開催決定のお知らせが出ていた。2016年8月23日・24日@国立劇場小劇場とのこと。楽しみですなあ。忘れずにスケジュールあけとかなくちゃ。
<上演時間>「毛谷村」82分(13301452)、幕間30分、「船弁慶」63分(15221625

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コメント

昨日の双蝶会、ご覧になったのですね。
私も同じ1時30分開演の部を拝見しましたので、
嬉しく、コメントいたします。

歌昇さん、種之助さんともに、
舞台が大好きなんだということが伝わってきました。
芝雀さん、松緑さん、染五郎さんといった方々の助けもあり、
充実した舞台でした。

そして、新悟さん情報も…
「おちくぼ物語」観劇以来、新悟さんが気になっています。
平成生まれの若手の皆さん、たくさんいらっしゃいますね。
お互い刺激しあって、いい舞台を見せてほしいと思います。

投稿: ゆーまー | 2015年8月26日 (水) 07時03分

ゆーまー様
おはようございます。コメントありがとうございます。
ゆーまー様も同じ公演をご覧になっていらしたのですね‼ 一期一会の舞台で同じ感動を分かち合えて私もとっても嬉しいです。
歌昇・種之助の兄弟の真摯に歌舞伎に向かい合う姿勢、旺盛な吸収力が伝わる舞台でしたね。播磨屋ひいては歌舞伎界全体への期待が高まります。

新悟さんのこと、お気にかけていただいてありがとうございます。って私が言うのもおこがましいですが、新悟ファンとして嬉しくて。新悟さんは声よし風情よし、そして歌舞伎に向かう姿勢もやはり真面目で、私は大好きです。
ほんと、おっしゃるように平成生まれの役者さんがしっかり勉強してお互いに刺激し合い、いい舞台を見せてほしいですね。

投稿: SwingingFujisan | 2015年8月26日 (水) 09時10分

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