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2015年8月18日 (火)

暁斎の面白さがいっぱい:「画鬼暁斎」展

815日 「画鬼暁斎」(三菱一号館美術館)
150819kyosai1 行かれる日がなかなかないので、演舞場の帰りに寄った。お盆だから空いているか混んでいるか…携帯で混雑状況を確認すると「入場制限は行っていません」となっていたので、行ってみる。入場制限というわけではなかったと思うが、チケットを持っていても持っていなくても「5分ほどお待ちいただきます」。私の前に並んでいた外国人のオジサンが窓口の人に「ワタシ2度目デス」って言ってた。
中の混雑程度はまあ普通。ところどころ流れが詰まるけれど、人の頭の後ろから見なくてはならないということはなく、ちゃんと間近で見られた。
まずは、暁斎についての個人的に「ええっ!!」「おおっ!!」な情報。
①暁斎の曾孫さんが蕨で眼科をやっている。そして、そこになんと、暁斎美術館がある!! まったく知らなかったよ~。あの辺には以前ちょくちょく行っていたのに…。
②暁斎の絵の弟子であるジョサイア・コンドル。「コンダーさんの恋」(去年1月に、大地真央主演で明治座にて上演)のコンダーさんだったんだ!! 展示の中に妻・くめと「京人形」を踊るコンドルの写真があって、はっと思い出したのだ。今の今まで忘れていたというか、気がつかなかったわ、コンドル=コンダーだって。ニブい!! 急に親しみが湧いてきたっていうのも現金な話。

150819kyosai3_2 さて、三菱一号館美術館はそのコンドルが設計した三菱一号館の復元である。そしてコンドルは暁斎に弟子入りして「暁英」という号をもらっている。それを思うと、「幕末明治のスター絵師と弟子コンドル」と副題のついたこの展覧会に特別な感慨を覚えようというものである。
コンドルが暁斎に弟子入りしたきっかけはもしかしたら…コンドルが設計した上野博物館にて行われた第2回内国勧業博覧会(1881=明治14年)で暁斎が妙技2等賞牌を受賞する。その年、コンドルは暁斎に弟子入りしたそうである。コンドルが自ら描いた「上野博物館遠景之図」をそういう目で見ると、色々な想像力が働く。コンドルは建築家であるから建物の図面が何点か展示されている。建築好きならなかなか興味深いと思う。そういえば、鹿鳴館の階段のごく一部と壁紙見本があって、往時をしのばせる。というか、一見の価値ありだろう(鹿鳴館はコンドルの設計ね)。
コンドルの絵がまた、見事。「竹図」「梅花図」「百舌図」「雪中鷹図」「鯉之図」と、あの時代にイギリス人がこういう絵を描いていたんだと感銘を受けた。「Kyosai Sensei. at Nikko. Augst 5th」は浴衣姿の暁斎が畳の上に紙を広げて一心に何か描いている様子を写したものである。暁斎って、筆が早くて、作品もたくさんあるらしいが、そんな筆致の早さを感じさせる姿である。
コンドル自身は、写真の像がそうなんだろうが、白瀧幾之助が描いた「コンドル博士の像」がいい。この時のコンドルは健康が勝れなかったらしく、作品完成の数日後に亡くなったそうだ。

暁斎ではまず「絵日記」が興味深い。毎日絵日記をつけていたそうだが、魅力的なためほとんどが人手に渡ってしまっているとのこと。絵日記と言っても小学生がつけるようなものとは違うよ。コンドルが訪ねてきたことも描かれていた。自ら描いた上野博物館遠景の水彩画
暁斎は今年5月の「ダブルインパクト」展でも見たが、今回の展覧会で見る絵はまた印象が違う。とにかく描いているジャンルが幅広い。動物、人物、尊像、妖怪、芸能、風俗、戯画、美人画、山水画、そして春画まで。素人目には、それぞれのジャンルで同じ人が描いたのかと訝るほど印象が違うんだよね~。そしてそのどれもがいいのよね~。
芸能のジャンルでは「子供助六の股くぐり図扇子」にまず目がいった。思わずニヤリというか、子供助六だから微笑ましいというか。<賛>が九代目團十郎っていうのも注目。それから「月次風俗図十一月 顔見世狂言『暫』」も見逃せない。権五郎を横から描いた絵で、権五郎の前にはろうそく、後ろには後見と黒衣が控えているという視点がいい(絵もいい)。「三番叟図」は三番叟のリズミックな動きが感じられる。
150818kyosai2 巨大な猫がぬっと現れてひっくり返りそうな人――「惺々狂斎画帖三」20図のうちの一枚は、巨大な屏風となってその前で私たちも度肝を抜かれたポーズで写真を撮れる。
戯画では「放屁合戦図」がめちゃくちゃ可笑しい。
ジャンルとしては人物?動物?の「金魚と遊ぶ小童図」(英国人が愛した暁斎作品の一点)も好き。金魚を救おうとしている子供にそれを見ている子供、2人の表情がいい。2人の後ろには紐で岩にくくりつけられた亀が逃げようとして紐を精一杯引っ張っているのが面白い。今の今まで亀で遊んでいたのに、興味は金魚に移ったのね、この子たち。そういう子供の移り気が感じられて面白いのだ。
ず~っと見て行くと、行列ができている部屋があった。春画コーナーだ。パーテーションで仕切ってある。「鳥獣戯画」みたいに、混んできたので立ち止まらないで、とか、2列目で見る人は立ち止まっていいとか、係の人が注意する。せっかくだからと1列目に並んで見たが、11枚が小さくて、やっぱり立ち止まらないとよく見えないし、2列目からではあまりわからなかったんじゃないかと思う。
それはともかく、暁斎という画家の面白さにどっぷり浸れる展覧会であった。
暁斎展は96日まで。

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