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2015年9月19日 (土)

9月は上野で:モネ展

918日 「モネ展」内覧会(東京都美術館)
150919monet2 16時からの内覧会に15分ほど遅刻して行ったら、当然前のほうは人がいっぱいで、後ろの私たちにはセレモニーの様子がほとんどわからない。時折聞こえる司会の声が挨拶をする人の名前を言っているが、顔は見えず声も届いてこず。声が届かないから周囲はお喋りでますます様子がわからない。そのまま約15分(つまりセレモニー自体は30分ほど)過ぎてテープカット、開場となった。
「家族の肖像」
モネには珍しい家族の肖像画6点が目を引く。モネの肖像画ってとても慎ましやかな感じがした。
「モティーフの狩人」
面白いタイトルだ。これはモーパッサンがモネについて述べた「彼はもはや画家ではなく、実際のところ狩人であった」という言葉から取ったようだ。ここでは煙たなびく工場が描かれた「雪の効果、日没」という絵が気に入った。私は労働にかかわる絵が好きらしい。「オランダのチューリップ畑」もいい。モネが朝、夕暮れ、日没とそれぞれの光、色の違いをキャンバスに写し取ろうとしているのがよくわかる。
「収集家としてのモネ」
まさにタイトル通り、ドラクロワ、ヨンキント、ブーダン、ピサロ、ロダン、ルノワール、シニャック等の絵画、彫刻がずらり。モネが親しかった人、モネに影響を与えた人の作品に囲まれてジヴェルニーで暮らしたなんて、贅沢で素敵だと思うが、おかげで封建的な美術界の伝統を破ろうとする人たちの活動の一片が垣間見られるのはありがたい。この中で私が好きなのはヨンキント。「ラ・コート=サン=タンドレからル・グラン=ランへ向かう道」「ポール=ヴァンドル」の2点が展示されているが、素早いタッチの風景とほんのり赤みを帯びた空の繊細な色がとてもいい。これ、欲しい‼ 
「若き日のモネ」
なんと、モネは若い頃、カリカチュアを描いていたのだ。知らなかった。モネのカリカチュアは大人気でだいぶ稼いだらしい。それはパリへ移り住む際の資金になったんだとか。モネの人物素描を評価しながらも「カリカチュアにはすぐにうんざりするだろうから、勉強しなさい。デッサンしなさい」と勧めたのはウジェーヌ・ブーダンだそうである。ブーダンの先見の明とその助言に従ったモネの意識が後のモネを生んだのだと思うと、カリカチュアも興味深い。
「ジョルジュ・ド・ベリオ・コレクションの傑作――マルモッタン美術館の印象派コレクションの誕生」
本展覧会目玉の「印象、日の出」だ。展示期間は10/18まで。10/20からはもう1つの目玉「ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅」に展示替えになる。「サン=ラザール駅」も見たかったが、同じモティーフの作品は去年のオルセー美術館展でも見ているから、いいか…でも、同じモティーフでもやっぱり違いはあるのよね。図録で見る今回の展示予定作品はオルセーの物に比べて機関車の迫力がぐっと強いような気がする。
さすがに「印象、日の出」は素晴らしい。遠景の煙突から流れる煙が私の好みでもあるが、日が昇り始めた港の風景がまさに「印象」という感じで捉えられているのがいい。当時のアカデミックな美術界がどんな評価を下したかも想像に難くない。
「モティーフの狩人Ⅱ(ノルマンディーの風景)」
「ヨット、夕暮れの効果」が好き。

「睡蓮と花――ジヴェルニーの庭」
モネはパリのオランジュリー美術館でたっぷり見たことがあり、とにかく睡蓮睡蓮に圧倒された。またジヴェルニーの庭は実際には行ったことはないが2004年(?)浜松で開かれた花博で再現されていて歩いた記憶がある。
この章でいいなと思ったのは「小舟」。川の底で揺らめく水草を表現するのにモネは四苦八苦したそうだが、水面を覆ってうねる水草に光が感じられていいのだ。青い色が中心となっている「睡蓮」も好きだ。
「最晩年の作品」
色を塗りたくっただけのようにしか見えない作品もあって、私にはよくわからない。こうした色彩の使い方は白内障、そして手術をして回復した視力に関係しているのだろう。ジヴェルニーの庭にもう一度(敢えてそう言う)行って、花や樹木に囲まれてみたらこれらの作品がわかるようになるだろうか。
作品の他に、モネの眼鏡、パイプ、パレットが展示されていた。眼鏡は、白内障の手術後、色覚異常を訴えたモネのための特別な仕様になっているのだとか。こういう物を見ると、画家が人間として身近に感じられる。
展示品は90。ほどよいボリュームである。音声ガイドは田辺誠一<画伯>。会場の150919monet 最後に田辺<画伯>のモネを描いた絵(「かっこいいモネ」)が飾ってあったが、これが可愛らしくて(ちょっとカールおじさん的)田辺さんの絵が人気ある理由がわかる気がした。かっこいいモネはこの展覧会の公式キャラクターなんですって‼

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コメント

こんばんは。夜間開館ねらいで、今日5時過ぎから行ってきました。待ち時間もなくて快適(前期・後期の通し券を買ってます)。後期も夜に行こうっと。
私はジヴェルニーに行ったのが(オランジュリーも)2年前ですから、いろいろ思い出したりしつつ見たのでした。
最晩年の絵には、かなり混乱させられますよね。しかも、あんなにたくさんあることが! 絵とは関係なくても、人生をそれ一筋にかけて生きてきた人の最後の執念って、こういうものなのかも、と思ったりしました。

投稿: きびだんご | 2015年9月20日 (日) 22時38分

きびだんご様
こんにちは。コメントありがとうございます。
早々といらしたんですね。前後期通し券ですか‼ 私は後期は無理かも…。夜間というのは狙いかもしれませんね。何しろ日中は(私の)同年代で館内はいっぱいってことが多いから(^-^;

そうそう、きびだんご様がジヴェルニーにいらしたことは、モネ展を見ながら思い出しておりました。やっぱり現地に1度は行ってみないといけないかなあ(と言うより行ってみたい)。
白内障は一定年齢以上になるとほぼ全員がかかると聞いていますが、画家が視覚異常になったら…(ベートーベンを思い出したりして)。それでも感じた色彩を感じたままに描いたのは、モネの執念なんでしょうね。私は人生にそんな執念をぶつけられるかなあ…。

投稿: SwingingFujisan | 2015年9月21日 (月) 11時59分

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