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2015年9月22日 (火)

9月は上野で:「ボルドー展」

919日 「ボルドー展」(国立西洋美術館)
クレオパトラ展を見た後、天気の良さについ、上野公園内で開かれていた陶器市をちょっと覗いてから行ったせいか(陶器を見るの大好きなの。欲しいものがいっぱいだったけれど、とりあえず今の家には不要でガマン)、エネルギーが枯渇気味でさ~っと見るにとどまってしまった。それ以外にも、2つ理由がある。まずはボルドー展というあいまいな名称のため(とはいえ、まさに「ボルドー展だった」)、最初からそんなに時間をかけるつもりがなかったこと、もう1つはこの後、版画素描展示室で展示されているル・コルビジュエの絵画を見る予定だったのでボルドー展にあまり集中力を注ぐつもりがなく、時間配分が短くなってしまったこと。しかしボルドー展は意外と見応えがあって、駆け足で見たのは本当にもったいなかった(全部見たことは見たんだけど、駆け足ってことは記憶にあんまり残っていないということ)。こちらも23日までの会期だから、別の日に出直すというわけにいかなかった…。
「プロローグ―起源」。ボルドーといえばワインという認識しかなかったから、実は25,000年前の出土品を見てびっくりすると同時に自分の無知を恥じた(ネアンデルタール人の時代まで遡るというのにね。6万年前のネアンデルタール人の三角両面石器、削器が展示されていた。こういう物を見ると、不思議な気持ちと感動が湧きあがってくる)。ここでは「角を持つヴィーナス」(旧石器時代)が目玉。「ローセルのヴィーナス」とも呼ばれる有名な石灰岩のレリーフだと知れば、よくぞ日本へ運んできてくれたと感動する。原始、多産、豊穣を願うためにも女性はやっぱり豊満でなくちゃいけなかったことを改めて認識した。オーカー(黄土)片、パレットとして使われた石、オーカーの残滓が付着した搔器を見ていると、25,000年~15,000年前の人々がそういうものを使って色付けをしていたんだと想像力をかきたてられて興味深い。何しろ展示品の数が多いのと(240点くらいあったんじゃないか)、ここが一番面白くて、この後は駆け足になってしまった。
I 古代のボルドー」。ガリア人がBC1世紀初頭にガロンヌ河畔に建設したのが都市ボルドーの始まりで、その後古代ローマの属州の中心地として発展した。すでにワインの生産が始まっていたことがワイン用のアンフォラかたわかる。また、化粧用具やまつげブラシは、先に見たエジプトの女性たちが使っていた物に通じていて興味深かった。
「Ⅱ 中世から近世のボルドー」12世紀から15世紀までの約300年間、ボルドーはイギリス領だった。それが「ボルドー市の紋章」にはっきり表されている。波間に月が浮かぶガロンヌ川のほとりに立つ市庁舎の上に、イギリス王室の紋章である3頭のライオンがいる。英仏の歴史は領有したりされたりでややこしいが、そういう歴史にちょっと思いを馳せた。「モンテーニュの肖像」(トマ・ド・ルー)、「エセー」に「おお‼」。
「Ⅲ 18世紀、月の港ボルドー」。ボルドーの黄金期。ワインクーラー、ワイングラスクーラーは、以前に別の展覧会(「フランス王家3人の貴婦人の物語展」だったかしら…違うかも)でちょっと勉強したことがあったので興味深く見た。ティーテーブル、カブリオレ肘掛け椅子からはボルドーの生活が偲ばれる。ボルドー式箪笥は保存上の問題があるとかで、リストにはあったが実際には展示されていなかった。ティーポットとかカップとソーサーとか皿などの食器類が見事に美しくて、保存状態の良さに感心した。「ボルドーの港と河岸の眺め」(ピエール・ラクール父)を見ると、ボルドーが交易で栄えたことがわかる。港の人夫たちをスケッチするボルドー美術館の学芸員が描かれているのが面白かった。「ボルドーの劇場の透視画法的眺め」なんていうのも面白い。

「Ⅳ フランス革命からロマン主義へ」。ゴヤ、ドラクロワでしょう、ここは。「ボルドーの闘牛:二分された闘牛場」(ゴヤ)は西美が持っているリトグラフで、闘牛の様子が生き生きと描かれている。ゴヤはボルドーで最期を迎えたそうだ。この展覧会のもう1つの目玉はドラクロワの「ライオン狩り」であろう。人と猛獣との戦いが実に生々しい。この絵は、1870年、ボルドー美術館の火災の際に上部が燃えてしまったそうなのだが、それがなくても激しい戦いを描いた迫力はまったく損なわれることなく伝わってくる。幸運なことに、ルドンがこの絵が損傷する前に模写した作品が残っていて、おかげで失われた部分がわかるのである。その作品も一緒に展示されていたのは有難い。ルーベンス「聖ユストゥスの奇跡」はちょっと衝撃的な場面。
1830年のボルドーのグラン・テアトル内部の眺め」(トマ・オリヴィエ)、「グラン・テアトル天井画の構想」(ピエール・ノラスク・ベルジュレ)、「グラン・テアトル付属コンサート室天井画のための習作」(ウィリアム・ブーグロー)、「グラン・テアトル天井画のための習作」(モーリス・フランソワ・ログノー)は、Ⅲ章ののボルドーの劇場と同じ劇場かしら? グラン・テアトルはオペラ座というから違うのかしら? 説明をよく読んでこなかった。
「ボルドー市の鍵」には海洋貿易とワイン生産を表す装飾が施されている。
V ボルドーの肖像―都市、芸術家、ワイン」。ブレダン、ルドン、ブーダン、ロートレック、ドーミエ、モネ等々、錚々たる画家の作品が展示されている。ボルドーが色々な芸術家を輩出していることに驚いた。モネは「ボルドーワイン」はワインの樽の上にワインの瓶がのっていて、さらにその上に酔っぱらった男の顔がのっているというユーモラスなカリカチュア。ワインのエチケットラベルがたくさんあってよく見たかったけれど、さっと眺めただけ。様々な名作を押しのけて私が一番興奮したのは「フランソワ・モーリャック」(オシップ・ザッキン)。なにしろ、モーリャックは卒論のテーマだったんだもの。彫像であるにもかかわらず、顔部分は平面みたいに見える(三角ビルみたいっていうのだろうか)。彫像のそういう作り自体も非常に面白かった。隣に「テレーズ・ディスケイルー」の原作も置いてあった。
「エピローグ 今日のボルドー」。ジョルジュ・ルースの写真、見てきたはずなのに覚えていない…。
とにかく、いい作品が多く、ボルドーの歴史とともに展示物を見ると非常に興味深いのである。本当に駆け足を悔いている(図録も買ってない…。写真も撮ってない…)。

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