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2015年10月20日 (火)

十月歌舞伎座昼の部

1017日 芸術祭十月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
家を出る前は何ともなかったのに、駅に着いた頃ひどく気分が悪くなってしまった。よほど引き返そうかとも考えたけれど、今月はもう昼の部を見る日が取れないので、とにかく見られるだけ見ることにした。いつも持ち歩いている胃の薬を電車の中で飲もうとしたら、ない。前回飲んで補充するのをわすれたらしい。不安を抱えたまま歌舞伎座へ。結果、全部見ることができた。ただし、飲み食い一切なしで。
「音羽嶽だんまり」
開幕の柝が鳴り始めると同時に、3A席後方の人が案内係の先導で大挙して入ってきて、着席に手間取っている。その間、身をかがめることもなく立っているから、後ろのこっちは前が見えないし、4人の武士のセリフも全然耳に入ってこなかった。気分壊れる~。
4
人が引っこむと松也、萬太郎、児太郎の3人が奉納舞を舞い始める。途中で松也クンが盗賊であることがわかり、3人で一揉めあった後、浅葱幕となる。楽曲も清元から浄瑠璃になる。場所が変わって、八幡神社奥社で、梅枝、右近、権十郎の3人が加わり、雄竜丸の名刀、繋馬の旗印(これ見ると、いつもフェラーリって言いたくなる)を探り合う。若い4人のうち、梅枝クンの風格はダントツだ、踊りもうまい。右近クンは形がとてもきれい。
幕外、松也クンの珍しい六方があったが、私の席からは花道での立ち回りも六方もほとんど見えなくて残念だった。
「矢の根」
松緑さんって、あの鬘をつけても顔が大きく見えないのだから、よほど顔が小さいのだなあと思った。と言って、鬘に負けているわけでないのがすごい。はじめ、声があまり出ておらず心配したが、そのうちそうでもなくなった。ただ、高い声はちょっと出しにくそうだった。でも華もあるしカッコよかったし、セリフも悪くなかった。
五郎が大の字に寝る場面では笑いが起き、兄を救おうと身支度する場面では、後見(緑さんと松男さん?)のうち緑さんがぎゅう~っと力いっぱい仁王襷を締め上げると、客席拍手、仕上がった時も拍手だった。途中の拍手は珍しいような気がするが、わかるわかる。身支度ができあがる頃の後見と三味線のアイコンタクトが、私はちょっと好き。
藤十郎さんはほんのわずかな出だけだが、若々しくて、華があり、もっていくなあと感心する。
馬の動きや、松緑さんが馬に乗る時など、客席は大いにウケていた。
松緑さんはさっぱりした感じが五郎の役に合うなと思った。
「一條大蔵譚」
菊之助さん(鬼次郎)が若く美しく凛々しい。孝太郎さん(お京)は落ち着きが目立ったから夫婦役としてバランスはどうなのかしらと懸念したが、全然そんなことはなかった。
仁左様(一條大蔵)は鬼次郎を門に見つけた時と、幕外花道七三で鬼次郎のいると思われるところを振り返る表情に一瞬の鋭さ(シャープな鋭さじゃなくて、わかっているぞみたいな…)が見えた。その顔の横に扇を広げた姿の美しさ‼
お京に責められている時の常盤御前(時蔵)は悲しげだった。菊ちゃんの鬼次郎は怒りの爆発が凄まじい(あの勢いで打たれたら常盤は吹っ飛んでしまいそう)。それだけに、常盤の真実が分かった時の申し訳なさ、悔いがはっきりしていてよかった。菊ちゃんはセリフが明晰でありがたい。こんなにメリハリの利いた勢いのある鬼次郎は初めてかも。
愛嬌を捨てた松之助さんの八剣勘解由が憎々しくてよかった。「やあれ、かたがた驚くな。一條大蔵長成が不忠の家来の~」。姿なき声のかっこよさ。大蔵卿は実はつくり阿呆をしていたんだと明かすが、常盤はそれを知っていたのだろうか。「あらぁ、そうだったのぉ」という感じにも見えたけれど、「ええ、存じておりました」かもしれない…。
義朝の最期を語る大蔵卿には義朝への敬意と悲しげな常盤への静かな愛があり、自害した鳴瀬(家橘)を憐れむ大蔵卿の心からも、この人の人柄が感じられた。鳴瀬については常盤は無表情のようだったが、哀しみの表現があってもよかったのではないだろうか。
勘解由の首は刎ねられた後、大蔵卿が布に包んで持ってくると思ったが、今回は屏風の外に転がってきただけだった。とかく、包んだ首をもってくるタイミンブが早すぎるので、今回のようなほうが自然でいいような気がした。
大蔵卿が再びつくり阿呆として「ただ楽しみは狂言、舞い」と言う時の表情の変化が楽しめた。
「人情噺文七元結」
梅枝クンの文七がうまい。文七と長五郎の大川端でのやりとりに泣けた。この芝居で泣いたのなんて初めて。菊五郎さんの江戸っ子気質と可笑しみ、梅枝クンの若いまっすぐな悲痛な思い込みのぶつかり合いは見応えあった。長兵衛が大事な大事な五十両を他人にやってしまうに至る心情がよくわかったし、花道での「死ぬなよ、死んでくれるなよ」が胸に響いた。
角海老の場面は途中から寝てしまったから、玉様の説教も、右近クンの「いいかい、いいかい、いいね、いいね」も聞きそびれた。
團蔵さんの藤助がとても手に入った感じでよかった。松緑さんの鳶頭は出しゃばらずに面倒見がよいという感じでカッコよかった。
時様と菊五郎さんの夫婦役は、本当に長年連れ添っている空気が濃い。左團次さんと菊五郎さんとの間の酒とお金の行ったり来たりもベテランの味で面白かった。
昼の部は1550までと長時間だったけれど、面白くて長さを感じなかった。
<上演時間>「音羽嶽だんまり」28分(11001128)、幕間20分、「矢の根」27分(11481215)、幕間35分、「一條大蔵譚」84分(12501414)、幕間20分、「文七元結」75



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