« 10月分②:第16回研修発表会「伊勢音頭恋寝刃」 | トップページ | 月乃助さんが新派に入団 »

2015年11月15日 (日)

10月分③:十月歌舞伎座夜の部

1015日、25日 芸術祭十月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
自分で取ったのは25日の千穐楽。15日はちょっといい席のチケットをいただいたので国立劇場の予定を変更して歌舞伎座へ。リピートは迷ったけれど、実は15日は寝ていた部分もあったのと、3Bじゃなくて3Aを取っていたこともあり、千穐楽も歌舞伎座へ。でも時間の計算を間違えて5分遅刻してしまった。通路際の席だったのでまだよかったけれど、それでも自分のミスでの遅刻は申し訳ない限り。菊ちゃんの登場とほぼ同時に着席した。
「阿古屋」
静かな演目なので音を立てないように、との注意があったのに、周囲の白い眼もものかわ演奏中にガサガサする人がいた。とかく演奏はお喋りタイムになったりして軽んじられることが多いのは問題だ。
玉三郎さんは
15日に見た時はちょっとお疲れかなと思った(こっちもお疲れで一部陥落)けれど、千穐楽はさすがの阿古屋であった。演奏についてはよくわからない(ん?なところもあったけど、こっちの耳もアテにならないから)。でもきれいで凛とした態度からは重忠に偽りなしとの裁きを下させるだけのものが伝わってきた。琴責めの前に阿古屋が「いっそ殺して」と三段に身を投げかける場面は錦絵みたいに美しかった。
菊之助さんは男っぽくなったなあという印象。これだけ水もしたたるいい男っぷりだと、もう立役だけでも十分な気がしてきてしまったのは、私にとっては逆効果かも。菊之助さんはセリフがはっきり聞き取れるのでありがたい。
亀三郎さんの岩永は、セリフがなく人形振りなので大変だろうなあと思った。時々動く眉が客席を笑わせていた。手を空中で支えるものがなく、それでもじっと動かずにいるのはきついだろうが、見事に人形になっていた。
花道から阿古屋を連れて出てくる6人の捕手のうち3人が舞台に向かって後ろ向きに歩いていたが、その動きは統制が取れてとてもきれいだった。
ちなみに、竹田奴のメイクは毎回変えているらしい(人によるかもしれないけど)。
「梅雨小袖昔八丈」
一番の見どころはやっぱり菊五郎さんの肴売新吉だろう。15日には「かつおっ、かつおっ」の声は聞こえた(この売り声って難しいんだなあ)が、千穐楽は拍手でかき消されて、引っこむ時に一声だけ聞こえた。拍手もいいけど、これじゃあねえ。15日に、桶を天秤棒にかけて帰ろうとしたのに、桶がうまくひっかからず、傾いてしまった。菊五郎さん「おかしいなあ」とぼやきながらそのまま引っこんで客席は大笑い。ハプニングかと思ったら、千穐楽にも右肩の桶にのせたフタが紐に引っかかってはずれかけたまま引っこんだところを見ると、桶と天秤棒の扱いも難しいのかなあ。
今回は忠七(時蔵)が新三にそそのかされて駆け落ちを決意するまでの心の変化、忠七の思いの盛り上がり方がよくわかった。それがあるから、永代橋での戸惑いが活きる。
梅枝クンのお熊はただのきれいな小娘ではない色気があった。
仁左様、ステキ‼


松緑さんの新三は初役ゆえの不足はあるかもしれないが、私はこれまでの新三の中でも一番江戸っ子らしさが感じられて好きだ。若いしね。顔が小さくて、脚がすらっとしているのもいい(松緑さんの脚は本当に好き)。新三は小悪党だがケチではない。肴売には過分にはずむし、勝奴にもせしめた分をちゃんと分ける。松緑さんの江戸っ子らしさがこういうところによく出ていると思うのだ。弥太五郎源七が10両で手を打とうとした時の新三の怒りの爆発は若さのゆえか、直線的で凄まじく、びっくりした。おくまが解放された時、柱に寄りかかってニヤニヤしている姿が印象的だった。
新三内から家主宅へ盆が回る時、新三は鍵の締まった戸棚を火箸を使って開けようとするが、15日はずいぶん長い時間鍵と格闘していた。結局開かないのだが、千穐楽は客席から新三内が隠れる直前くらいに戸棚の前に行っていた。
秀調さんの車力善八はもう手に入った役だから安心していられる。自身には力はないが、なんとかすべてを丸く収めようと苦労する性質がよくわかる。周囲に気を遣い、道の端ばかり歩いていそうな感じ。そんな善八、大家さんが新三をやり込めたのを見て、「大家さんには弱いくせに」とバカにしたように言ったのが、怖くてしょうがない新三にこの時ばかりは、という小人物らしさが出ていてうまいと思った。そしておくま解放を心底喜んではねるように花道を帰って行ったのが、この人の好人物らしさを浮き上がらせた。
團蔵さんの弥太五郎源七の悔しさが何とも痛ましい。人に尊敬される親分である自分は大人としての対応をしたつもりが、あんな若造の小悪党に拒絶され、おまけに悪口を言いふらされる屈辱、許せない思い――よくわかる。それだけに親分としての衰えが痛ましいのだ。
大家の左團次さんのうまさ。とぼけた空気とがめつさがマッチして、よくできた話を役者の味で面白さを倍加させた。松緑さんがぎょろりと目をむくのも面白かった。2人で対峙してよく吹き出さないものだ。
亀寿さんの勝奴はちょっとした小狡さがうまく出ていた。おくまを運ぶ駕籠も勝奴も、速い速い‼ 松緑さんといいコンビで楽しめた(亀寿さんの脚もなかなかステキ)。
<上演時間>「阿古屋」74分(16301744)、幕間40分、「髪結新三」136分(18242040


|

« 10月分②:第16回研修発表会「伊勢音頭恋寝刃」 | トップページ | 月乃助さんが新派に入団 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 10月分②:第16回研修発表会「伊勢音頭恋寝刃」 | トップページ | 月乃助さんが新派に入団 »