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2015年12月 6日 (日)

11月分①:神霊矢口渡

1116日 「神霊矢口渡」(国立劇場大劇場)

入口でチケット切ってもらう時、係の人が座席番号に目をやりながら「いつもありがとうございます」って。そんなこと言われたの初めてだし、一番安い席だったし…でも嬉しかった。
「序幕 東海道焼餅坂」は、109年ぶりの上演だそうで、落ち延びる新田の御台所と家老の妻の旅の場面だが、切羽詰った状況の割にはチャリ場的要素が多い。新田の御台所筑波御前(芝雀)と家老の妻・湊(東蔵)をだました悪い馬子(吉之助)と雲助(又之助)のナンパというにはあくどい思いっきりストレートなセリフには客席から笑いが起こった。元田舎角力(吉兵衛)は五郎丸のルーチンをやってみせた。
南郷六郎(又五郎)が背負う小さな笈(4歳とはいえ徳寿丸が入るにはちょっと小さすぎるような…)への徳寿丸の出入りで客席に笑いが起きた。歌舞伎では乗り物へ出入りは大道具の陰に隠れてそれらしく見せるわけだが、今回は不自然さが目立ったのかも。でも又五郎さん、全然重みを感じていないように見えた。そこは敵に悟られまいとする六郎の忠義心の強さが表れていたのかもしれない。
「二幕目 由良兵庫之助新邸」は100年ぶりの上演。吉右衛門さんの強い化粧(目の強さ)が印象的だった。予備知識なしで見たのだが、吉右衛門さんだからきっと何かあるだろうと疑いつつも、本当に敵役なのかもしれないとちょっと思わされた。新田義興の遺志に従い、徳寿丸を我が子として、我が子を徳寿丸として主君の子を守った兵庫之助の計略は見事で悲しかった。竹沢監物(錦之助)が去った後の吉右衛門さんの憂いを帯びた厳しい表情には、強い化粧と相俟って我が子を忠義のために犠牲にした父親と武士の両方の気持ちが表れているようだった。
徳寿丸が殺されたと思って嘆く筑波御前にはもらい泣きしそうになった。ところが実は殺されたのは友千代で、それを知った湊の悲しみもやはり臣下のものであろうか…。
「なに、小倅の1人など、塵、埃とも存じ申さぬ」と高笑いする兵庫之助…。その後の3人の涙に又泣けた。
京由さんの美貌はやっぱりぴか一。

「三幕目 道念庵室」は何となく覚えている程度で、印象が薄い。
「大詰 頓兵衛住家」では歌六さんが手負いの娘を突き飛ばしてまで義岑を捕えたい強欲な男のアクの強さを見せた。吉右衛門さんでも見たい気はあったけれど、歌六さんの悪役のこってりさもとてもいい。芝雀さんの一途な思いが可憐だ。この世では添うことはできないが父を裏切るなら未来で添おうという義岑の言葉が嬉しいというお舟の純情は、芝雀さん独特の細やかさによって胸を打った。歌六、芝雀のベテランに対し歌昇、種之助の若手を合わせるのはどうしても無理があるように思う。もちろん2人ともよく頑張っているのは重々わかるが、義太夫味たっぷりの一座で若いのだからやむを得ない。でも、こうやって勉強して大きくなっていくんだよね。
やっぱり大詰が一番面白かったかな。

<上演時間>第一幕35分(12001235)、幕間35分、第二幕60分(13101410)、幕間20分、第三幕20分(14301450)、幕間15分、大詰75分(15051620



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