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2015年12月20日 (日)

11月分⑤:花道会歌舞伎セミナー

1121日 第78回花道会 歌舞伎セミナー(歌舞伎座内「花篭」)
幕間とはいえ歌舞伎上演中なので、花篭へは中からは行かれなかった。せっかく3階席ですぐの場所なのに、1回外へ出て昭和通り側のエレベーターから会場へ。ぎりぎりというほどではなかったものの、10分前くらいに着いたら、もう中はぎっしり人がいてびっくりした。
司会は鈴木治彦さん。「後期高齢者の鈴木治彦です」と笑わせて登場された。現在86歳の鈴木さんは、富十郎さん、九世三津五郎さん、大川橋蔵さんと同い年だそうだが(みなさん故人…)、とても86には見えないお顔の艶で、楽しく亀鶴さんのお喋りを引き出してくださった。「好きなことを追っかける」のが若さの秘訣らしい。好きなものは「1に歌舞伎、2に落語(? よく聞き取れなかった)と宝塚」。宝塚にはスタッフとして入ったことがある。宝塚では「先生」と言うので「鈴木治彦先生」だったそう。
なんと、鈴木さんは手書きで亀鶴さんの系図を作り、コピーを配ってくださった。歌舞伎の家系はとかく複雑だが、亀鶴さん自身、「親戚、わからない」と音を上げていたほど。鈴木さん作成の系図は字が大きくてありがたかった。亀鶴さんの祖母・中村芳子さんは顔見世に出た唯一の女性なんですって。芳子さんは「ザ・お嬢様」だったと亀鶴さん。
以下、歌舞伎に対する亀鶴さんの思いがアツく伝わってくるマシンガントークから拾えたことを順不同で。
<瀬尾について>
瀬尾は左團次さんに教わった。やりたい役だった。ずっと出ていないのでご馳走にもなる。歌舞伎座ではやらせてもらないと思っていた。出番は長くても林平(伊勢音頭)のほうが世話物だし、ずっと楽。義太夫は難しい。この時期になってやっと「初日」かなという感じ。これは染五郎さんも同じだろう。いきなり手負いになるのが難しい。真面目な人、真面目な人は怖く見える、そういうつもりでやっている。「実盛物語」は親子関係、主従関係の話で、横で太郎吉の話を聞いて出る。「油地獄」でも横で聞いていた。「ハラ」というのはそういうこと。
瀬尾の平馬返りは、23年トンボをやっていたので稽古しなくてもできる。亀鶴さんが研修所で勉強したことは有名だが、研修生の立役はまずトンボをする。亀鶴さんは先生に、「お前はどうせこういう役はやらないだろうからトンボはしなくてもいい」と言われたのが悔しかったそうだ。でも亀鶴さん、当時は95kgもあったんですって‼
<子役時代>
亀鶴さんが歌舞伎役者になったのは、富十郎さんみたいなずんぐりの男が舞台ではとてもかっこいい、それで自分もやりたくなったんだそうだ。小さい頃から芝居を見ていると芝居が好きになる(というような話をよく梅枝クンとするそうだ。ここで思いがけず梅枝クンの名前が出てきたので驚いた)。
しかし亀鶴さんが子役でやったのは「時雨の炬燵」の勘太郎だけ(197612月南座。渡邊芳彦の名前で出ていた)。汚い格好もイヤ、40分間寝ているだけで、イヤでイヤで「出ない」と駄々をこねたら南座隣のおもちゃ屋へ連れて行かれたが、それでもダメ。それなのに、舞台稽古で幕が開いた途端、「やらなくちゃ」と思った。

<役について>
上方の芝居は藤十郎さんに頼まれてやるようになった。それまで富十郎さんばかり見ていたので大変だった。富十郎さんは梅玉さんとよく共演していた。
「伊勢音頭」は座談会(10/24)でも梅玉さんが言っていたように、主役がよければいいというわけではない。「仙石屋敷」はセリフはないが、仁左衛門さんのセリフを聞いて毎日泣いている。
一番大変だったのは「釣女」の醜女。團十郎さんクラスだと出ただけで笑いが起きるが、自分は知名度が低いから出がすべての芝居で緊張した。
役を教わるのに、ビデオと直接指導とでは違う。人と話すことで入ってくる情報量は大きい。舞台は映像では表せない。澤村藤十郎さんはよく照明室にいた。今は梅枝クンくらい(って、ここでも梅枝クンの名が。仲いいのかな)。
<歌舞伎について>
新しい歌舞伎をやるのは大賛成だが、何十年、何百年後にきちんと上演されることが大切。新歌舞伎、とくに長谷川伸はすごい。説明的なセリフがひとつもなくて、言葉のつなぎ方だけで人物像がわかる。狂言としては、澤瀉屋の通し狂言が本当の姿だろう。起承転結、スペクタクルがある。
客を考えない歌舞伎が多い。メインディッシュが2つぼんぼんとくるのは客にとってつらいだろう。それに、「又これか」という演目が多い(ここで、客席から拍手)。
<若い歌舞伎初心者に勧める演目>
まずは世話物。気持ちのわかるもの。新歌舞伎は重い。「若き日の信長」は信長に興味のある人にはよいが、重い芝居だから初心者にはどうだろうか。コクーン歌舞伎から見出した客が古典に来なくなるのが一番困ると勘九郎さんが言っていたとか。
<やりたい役>
吃又。平右衛門。松王丸。源蔵。青山播磨(以前にやった役で、最近もう一度やりたいと思うようになった)。「ヤマトタケル」ではタケヒコと山神をやりたかった。山神は、七代目門之助さんが面白かった。吃又は富十郎さんがフランスにもっていって感動された。
「忠臣蔵」では勘平もやってみたいが、とくにやりたいのは平右衛門。吉右衛門さんの平右衛門が素晴らしくて毎日見ていた。「菅原」は源蔵を「筆法伝授」からやりたい。「千本桜」では権太。
「河内山」は好きじゃない。やりたいと思ったこともない。前半、役者だけで見せなくてはならないので成田屋にはいいが。自分はドラマ性のあるものがいいから、上方芝居が好きなのかも。(番外として)ミュージカルでは「美女と野獣」。
「これをやってくれ」と言われる役者になろうと今頑張っている。
<今後の目標>
45
になったら自分の会をやりたい。今、亀鶴さんは43歳(愛之助、九團次、獅童、宗之助さんと同い年。染五郎さんは1つ下だが学年は一緒)だから2年後だね。絶対行く。
<女性のタイプ>
一緒に遊んでいて楽しい人。芝居が終わってまで三つ指ついて「おかえりなさいませ」は苦手。って、女性としてはだいぶハードル低くなったんじゃない?

亀鶴さん、ますます応援したくなった。
初めての花道会の歌舞伎セミナーはとっても楽しかった。12月は門之助さんでお話をぜひ聞きたかったけれど、今は1時間のために出かける気力がなくて…。

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