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2015年12月25日 (金)

藤田嗣治の戦争画:MOMATコレクション

128日 MOMATコレクション~藤田嗣治、全所蔵作品展示(東京国立近代美術館)
ニキの後にハシゴしようかと思ったけど、家庭の都合で翌日になった。あんまり家にばかり閉じこもっていると認知症が進行しそうだから、別の日に出かけるのもいいかなっていうのもあって。
近美が所蔵する藤田の作品25+特別出品1点をはじめとするコレクションは非常に見ごたえがあり、藤田だけちゃちゃっと見てしまうつもりだったのがかなりの時間をかけて見るだけの価値があった。以下、今回は藤田嗣治の作品についてのみ。それも主に「アッツ島玉砕」について。
構成は「パリの異邦人」「日本へ」「戦争画」「戦後」「美しい書物」。1913年にパリに渡ってから苦しい生活を続けた藤田だが、独特の乳白色の肌によって1920年成功を収める。乳白色の肌は以前に箱根のポーラ美術館で堪能した。
第二次大戦の戦火を逃れて日本に帰国した藤田は軍の依頼で戦意昂揚絵画を描く。そのため終戦後、戦争協力を弾劾されて再びパリへ渡り、以来二度と日本の土を踏まなかった藤田。その戦争画は果たして本当に戦意昂揚絵画だったのだろうか。あくまで私の印象だが、少なくとも「アッツ島玉砕」を見てそんな感じは受けなかった。藤田には画家として戦争をどのように描くか、そこには芸術家としての目(プラスこの絵を見る人たちの感動を呼びたいという欲求)しかなかったのではないだろうか。戦意昂揚絵画を描かせたかった軍と戦争画を描きたかった藤田の双方の意図が一つになり、互いにチャンスを利用したのではなかったか。「メデューズ号の筏」や「地獄のダンテトとウェルギリウス」を下敷きにしていると言われているのも、藤田の戦争画に対する意欲を思わせる。
この絵は藤田の想像によるものだそうだが(玉砕の島を実際に見られるわけがない)、攻撃命令を叫ぶ山崎大佐の表情は悲しげで、画面全体からも戦争の強烈な悲惨さよりも悲しみが押し寄せてくる。と言って、反戦の意識はまったく感じられない。
藤田を擁護するわけではないが、軍の依頼を受けて戦意昂揚絵画を描いた画家は藤田だけではなかったにもかかわらず、藤田1人に全責任が押し付けられたのは納得いかない。藤田の失望や、察するところ余りある。二度と日本に帰らなかった藤田だが、日本人であることをより意識し、日本の文化や風土を懐かしむ日も多々あったのではないだろうか。藤田嗣治監督の「現代日本 子供篇」という映画を見ると(この映画が制作されたのは昭和10年であるが)、何気ない子供たちの1日、遊びを追った藤田の目にそういうものを感じるのである。
「美しい書物」ではポール・クローデルなどの本に描いた藤田の挿絵が見られた。
この展覧会も1213日で終了しています。藤田嗣治という人は興味深い。もっと早く行ってもう一度見たかったなと思う。
 

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