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2015年12月24日 (木)

すっごくよかったニキ・ド・サンファル展

127日 ニキ・ド・サンファル展(国立新美術館)
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月は美術展から。
ニキの名前も知らなかったし、さほど関心なかったのだけど、「すっごくいいから絶対見て」と先に見た人に言われ、出かけてみた。そして、すっごくよかった‼
ニキの作品は、コーヒー豆、毛糸、小石、陶片、金属、貝殻等々様々なオブジェでできていた。「自画像」に表れた強い決意、ドリッピングによるジャクソン・ポロック風な絵画(ポロックはよくわからなくて、好きとも嫌いとも…)。なんとも強烈なのは射撃による作品だ。絵具の入った袋や缶などを付着させた石膏のレリーフにライフル銃を向ける。「スウェーデンのテレビ番組のための射撃」というビデオが流れていたが、射撃音とともに絵具が弾け飛び散り流れ出す、血を流しているような、泣いているような作品…それは絵画のようでもあり彫刻のようでもあり…きわめて暴力的だがなんとも不思議な魅力に捉われて、2巡見てしまった。精神を病んでいたという彼女の自己解放へのもがき、そういう状況に自分を追い込んだものへの破壊、思い切り心をぶつけるという感じだったんだろうか。
やがて射撃絵画を卒業(?)した彼女は<女性>の表現へと向かっていく。「ナナ」シリーズなどからは<女性>である自らを見つめ、それから逃れられないなら思い切り解放しようという印象を受けた。派手で鮮やかな色彩、ぼてっとした肉体、手や足を大きく広げたり踊ったり、開放的で大らかでエネルギッシュなのにどこかそうでない何かが感じられもした。ナナシリーズは土偶をも思わせて、とても好き。
151224niki3_2 ニキは日本人の増田静江さんと親しくなる。ニキの「恋人へのラブレター」という作品に出会った増田さんは大いに感銘を受けニキに傾倒し、作品を収集し始める。そしてついには那須に世界唯一のニキ美術館をつくる。1人の芸術家に傾倒したからと言ってそこまでできる人はそうはいないだろう。増田さんのエネルギーにも圧倒される。増田さんは「しずえ」という名がフランス人には発音しにくいと考えて自ら「ヨーコ」と名乗り、ニキとヨーコの交流が続く(2人が交わした手紙なんかも展示されていた)。那須の美術館は今はもうないそうだが、今回の回顧展の作品の大半はYoko増田静江コレクションからである。
ニキは増田さんとともに京都を訪れ、新たなインスピレーションを受けて「ブッダ」を制作する。この作品は、決められたブースからのみ写真OKであった。
最後はタロットガーデン。イタリアのトスカーナにあるタロットガーデンはニキがタロットカードのシンボルをモチーフに作った彫刻の庭園で、作品保護のため、旅行ガイドには載っていないそうである。「大きな蛇の樹」。やっぱりヨーロッパ人にとって蛇は大事なモチーフなんだな。本物のタロットガーデンの映像を見たり、それを再現したような会場に佇んだりしていると、実際にタロットガーデンにいるような錯覚に陥る。でも、スペース的には当然無理があるから、やっぱり本物に行ってみたい。
ちなみに、この展覧会は12月14日に終了しました。(最初の写真は公募作品から選ばれた「みんなのナナ」。大きなバルーンとなって美術館のロビーに浮いていた。
左が表、右が裏。とてもよくナナを表現していると思う。下の写真は「翼を広げたフクロウの椅子」)
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