« やっぱりフェルメールが好き:「フェルメールとレンブラント」展 | トップページ | 6月コクーン »

2016年2月21日 (日)

2月歌舞伎座昼の部

220日 二月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
今年は時々いい席で見ようかなとは思うものの、歌舞伎座の一等席はさすがに高すぎる。確かにオペラグラスを使わなくてもいいし、席は楽だし、ストレスは少ないんだけどね。そういえば、めでたい焼き屋さん、臨時休業の貼り紙が出ていた。
「新書太閤記」
幕を閉めての場面転換が多くて気がそがれる、エピソードをどんどん並べていくためドラマとか芝居としての深みがあまりない。とはいえ、ほぼ出ずっぱりの菊五郎さんの若々しさが嬉しかったし、時さまとの夫婦も久しぶりに見た気がするし、「軍師官兵衛」、「真田丸」と時代が重なることもあって、とっても楽しめた。
槍試合で幕があく。長槍組の足軽たちが長すぎる槍(最前列に届きそう)を持て余しているのが可笑しい。そして藤吉郎の槍の扱い方の指導(?)(足軽たちの槍への愚痴に「文句あるか」と言った菊五郎さんの間が絶妙で、ウケた)、それに従って動かした長槍組の勝利が面白可笑しい。この場面だけでも、藤吉郎が人心掌握術に長けていることが示唆されるが、さらに槍の試合に負けた遺恨で藤吉郎を闇討ちしようとする上島主水(松緑)にその心得違いを説く場面では飄々とした中に説得力を示し、器の大きさがみてとれる(松緑さん、序幕だけか…)。
飄々としつつきっちりその力量を示す菊五郎さんは藤吉郎役にぴったり。その藤吉郎にくっついて歩く下男・権三の橘太郎さんが<らしさ>という点でもさすがのうまさ。
器の大きさは感じさせる藤吉郎だけど、案外セコいところもあって、とくに寧子(時蔵)を娶るやり方はちょっと、ね。娘時代の寧子は娘むすめして愛らしく、こっちがテレちゃう。時さまは、でも、花嫁(きれい‼)→おかかになった後がさらによかった。こんなに相思相愛で結ばれた2人、こんなに夫を支えている寧子なのに、後の秀吉は…と思わずにいられなかった。そんな将来を暗示するのかどうか、菊五郎・時蔵の夫婦間に流れる空気がいつもよりややあっさりしていたような…。そんなことなかったかな…。
前田利家に嫁がせたい父親(團蔵)の困った様子が微笑ましくて味があって、とてもいい。

利家の歌六さんがまた、度量の大きさを見せてステキだった。「利家とまつ」は見ていないが、仲睦まじい夫婦という印象があったので、利家もまた寧子を嫁にほしかったんだとちょっとびっくり(むか~しの大河「太閤記」にそんなエピソードあったかしら)。
有名なエピソードばかりだが、三幕目の清洲城の普請はわりと丁寧に描かれていて面白かった。それに引き換え、四幕目の竹中半兵衛のエピソードは芝居全体の流れに与える意味がはっきりしなくて、省いてもよかったのではないかなと思った。意味があるとすれば岐阜城で半兵衛が信長ではなく秀吉に仕えると言って信長の怒りを買った時に、濃姫(菊之助)がとりなしたことで、濃姫という人の賢明さがわかったことだろうか。「半兵衛草庵」では藤吉郎は死を決意するのだが、意外とその思いに深みがなくて、それが本気なのかどうかわからず、首をかしげたくなった。
五幕目の明智光秀。吉右衛門さんは御馳走的なのかもしれないけれど、なんとももったいない。でも短い時間で光秀の心中を見せた吉右衛門さんの芝居は深い。
織田信長が梅玉さんというのはびっくり。でも梅玉さんは癇性のお殿様もうまいから案外悪くないかも。とはいうものの、衣裳のせいもあるのか、四幕目までは磯部の殿様か松江候かに見えないでもなかった。本能寺は、濃姫との夫婦関係にちょっとほろっとした。菊之助さんが「まむしの娘」らしく凛々しくて素敵だった。
森蘭丸が3兄弟だって知らなかった。いや、4兄弟で、本能寺で討死したのが蘭丸、力丸、坊丸の3人。「絵本太功記」だって蘭丸と力丸しかいなかったもの。坊丸は梅丸クンでセリフは(多分)なかったが、兄たちと必死で信長の命令を守ろうとする姿がいじらしかった。
「中国大返し」は「軍師官兵衛」で見ていたので面白かったが、そうでなかったらわかりにくかったかも。ここでの官兵衛は亀鶴さん(前半、林佐渡守との2役)。秀吉に天下を取ることを勧める場面は大河のほうでもよく覚えている。
大詰「清洲会議」もまた映画「清須会議」で見ていたから興味深かった。信長の後継者になり損ねた信孝の悔しさを錦之助さんが堂々と演じていて、とぼけた秀吉と対照的ながら、秀吉に勝てない人物の差を感じさせたのがよかった。
<上演時間>序幕・二幕目50分(11001150)、幕間15分、三幕目38分(12051243)、幕間35分、四幕目29分(13181347)、幕間15分、五幕目・大詰75分(14021517

|
|

« やっぱりフェルメールが好き:「フェルメールとレンブラント」展 | トップページ | 6月コクーン »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« やっぱりフェルメールが好き:「フェルメールとレンブラント」展 | トップページ | 6月コクーン »