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2016年2月17日 (水)

やっぱりフェルメールが好き:「フェルメールとレンブラント」展

216日 「フェルメールとレンブラント」展(森アーツセンターギャラリー)
160217vermeer メディアがまだそんなに取り上げないうちに(きっと混む)、そして六本木という場所柄午前中なるべく早く、ということで、自分ではぎりぎりの朝イチ9時半過ぎに出かけた。それでも美術館に入ったのは11時前くらい。行列を見てぎょっとしたが、それはチケット売り場に並ぶ人たちで(チケット売り場は村上隆の五百羅漢も一緒なのだ。そして村上隆を見る人もかなり多い)、私はチケットを持っていたので、即入れた。予想どおり混んではいなかった。人はそこそこ多かったけれど、どの絵もちゃんと正面でじっくり眺めることができた。
展覧会名は「レンブラントとフェルメール」ではあるが、レンブラントもフェルメールも1点のみ。副題に「17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」と謳っている とおりの展覧会である。私は真っ先にフェルメールを見て、それから最初に戻った。展示はわかりやすいテーマで10セクションに分かれ(「○○画」でなく、「○○画家たち」という分け方がなかなか)、それぞれの展示数が少ないので疲れない(全60点)。
Ⅰ ハールレム、ユトレヒト、アムステルダム――オランダ黄金時代の幕開け
宗教画、神話画が4作。ヘンドリック・ホルツィウス「苦悩するキリスト」は、キリストの肉体の逞しさが印象的だった。
ヤン・ファン・ベイレルト「マタイの召命」は、真ん中右寄りで眼鏡に手をやりビックリしているようなオジサンが妙に現代的に見えた(162530年頃の作品だというのに)。それにしても、宗教画は事情を知らないとわからないなあ。「マタイの召命」は収税所で働いていたマタイにキリストが声をかけ、マタイがついて行ったという場面らしい。すると、画面右側で指を差しているのがキリストで、その指の示す先にいるのがマタイか。とわかれば、絵も興味深い。
アブラハム・ブルーマールト「ラトナとリュキア人の農民」からは物語の挿絵のようなメルヘンチックな感じを受けた。でも描かれた場面は、ユピテルの子を産んだラトナをユピテルの妻ユノが農民に命じて追い出そうとしたところ、農民はユピテルによってカエルにされちゃったというもの。
-1 風景画家たち
私が思うオランダの風景は真っ青な空の下の色とりどりのチューリップ、って絵葉書的ステレオタイプなものだから、オランダの風景画は空が暗いなあといつも思う。でも決して嫌いではない。風景にも生活が感じられるような気がするからだろうか。
サロモン・ファン・ライスダール「水飲み場」は一筆一筆がとても丁寧。
-2 イタリア的風景画家たち
イタリアへは行ったことのない画家もイタリア的風景を描くのだからやっぱりイタリアの明るい風景に憧れるんだろうなあ。それでもやっぱり空は真っ青ではない。黒くはない雲がかかっている。
-3 建築画家たち
建物の立面図とか平面図とかかと思ったら、教会の内部が描かれている。直線と曲線が心地よくマッチしている。エマニュエル・デ・ウィッテ「ゴシック様式のプロテスタント教会」は、アムステルダムの複数の教会から様々な部分を取り出し再構築した実在しない建物だそうだ。床の墓石をはがす墓掘り職人、そのそばでじゃれ合う犬、なんていうのが実際にみられたらしいが、教会の建物内でのそういう光景は興味深い。
-4 海洋画家たち
オランダは海洋国家でもあったのだ。帆船の絵にちょっと心躍った。海洋絵画は、海の上の空気感までが伝わってくる。
-5 静物画家たち
静物画に歴史が表れるのが面白い。というのは、そこに描かれた物は貿易によってオランダに入ってきたものだったりするから。ウィレム・ファン・アールスト「狩りの静物」は、鉤に吊るされたニワトリと野生の鳥(ヤマウズラらしい)の羽の描写が素晴らしい。11枚丁寧に写実的に描かれ、羽のふわっとした感触が見事だ。

160217rembrandt_3-6 肖像画家たち
フランス・ハルスの肖像画は写実的という意味でなく、まるで生きているみたい。つまり、描かれた人が感じられるというか…。ヘラルト・フォン・ホントホルストの肖像画はハルスとは違った感じで生き生きしている。イサーク・リュティックハイスの女性の肖像画は型通りのいわゆる「肖像画」という印象にもかかわらず、顔の白さ、襟と袖口の白いレースに心惹かれた。
-7 風俗画家たち
いよいよ風俗画。私はオランダ絵画の中で風俗画が一番好きである。室内の様子、人々の生活が実感をもって伝わってくるような気がするのだ。もちろん、最大のお目当てはヨハネス・フェルメール「水差しを持つ女」。どうしてフェルメールはこんなにも人を惹きつけるのだろう。私はフェルメールの絵を目にすると、たまらなく愛おしくてきゅんとするような胸の疼きを覚える。それはこの絵で言えば、白い頭巾の上で光が微妙に変化しているせいだろうか。銀メッキの洗面器に反射するテーブルクロス、壁にかけられた地図、窓に映る雲、フェルメールブルーのスカート。すべてが美しい。この絵には各部分を拡大した解説と4K映像による解説がついていた。
長くなるから触れないが、フェルメール以外のどの絵も全部よかった。
Ⅲ レンブラントとレンブラント派
レンブラント・ファン・レイン「ベローナ」は、戦う女神を描いており、甲冑をつけ右手にはメドゥーサの盾を持っているにもかかわらず、顔は普通のおばさんっぽくて力強さもあまり感じない。でも、甲冑や盾の光と影がさすがにレンブラントで素晴らしい。
サミュエル・ファン・ホーホストラーテン「貧血症の女」って、まずタイトルが面白い。女性の顔は青白く、服の色も同じようでいかにも貧血症。ホーホストラーテンって、ルーヴルDNPで見た「部屋履き」の画家だよねと思い出してちょっと嬉しくなった。
私がいいなと思ったのはヘラルト・ダウ「窓際でランプを持つ少女<好奇心の寓意>」。窓から身を乗り出している少女の心(要するに好奇心なのかな)にはっと私も摑まれた。
Ⅳ オランダ黄金時代の終焉
ここで取り上げられているのはアルノルト・ハウブラーケン「イピゲネイアの犠牲」1作のみ。ハウブラーケンによれば、オランダ絵画の黄金時代は1560年~1660年だそうで、オランダの画家たちはこの後、もう生活に密着した絵などを描けなくなったそうだ。なるほど、この絵画がラストにきた意味がわかる。

 

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コメント

こんにちは。私も前売券を持っているんですが、いつ行こう……と思ってるうちに日が経ってしまうといういつものパターン。気をつけねば。
実はゆったり鑑賞のプレミアムチケットをフンパツしようかと思ってた時があるんですが、6000円もする上に、発売当初グッズとして何が付いてくるのかもわからず、やめちゃいました。値段と内容が見合えばたまには、とも思いますけどねー。グッズが明らかになったらなったで、別にいらないし。というか、基本的にグッズいらない。ゆったり見せてsign01です。
芸術新潮のフェルメール特集も、充実してました。そして、余力があるうちに、NYでフェルメールを見たいな〜、とも。こんなことを呑気に書いてて、結局、駆け込みdashどころか、しまったチケットあったのにsweat01とならないように、気をつけます。

投稿: きびだんご | 2016年2月19日 (金) 11時40分

きびだんご様
こんばんは。コメントありがとうございます。ご無沙汰、ごめんなさい。

きびだんご様同様(coldsweats01)、私も駆け込み派なんですが今回は早めに出かけました。
プレミアムチケットって6000円もするんですかshock 確かにグッズは捨てるに捨てられない記念品になりそうだし…。今なら、平日午前中はゆったりご覧になれると思いますよ。
私は日本国内でしか見られそうもないので、チャンスは逃さないようにと心がけています。きびだんご様はいいなあ(私も、自分で積極的に海外へでも出ればいいんですけどね)。
でも国内でも国芳とか、まだまだ見たい展覧会がたくさんあります。DNPのミュージアムラボもまた始まりましたし。

投稿: SwingingFujisan | 2016年2月19日 (金) 20時56分

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