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2016年3月18日 (金)

大原美術館展

316日 「はじまり、美の饗宴展」(国立新美術館)
大原美術館展である。
本当は、素晴らしき倉敷の町で素晴らしき本物の建物の中で見るのが一番いいんだろうけど、なかなか行かれない私にとっては実にありがたい展覧会だ。倉敷へ、大原美術館へ行ったことがないわけではない。う~ん、40年以上も前のこと。記憶がほとんどない。
大原美術館、感動しました。「はじまり、美の饗宴展」なんてタイトルには心惹かれなかったんだけど、大原美術館展だから見たいと思ったのだ。展示は
1
章 古代への憧憬
2
章 西洋の近代美術
3
章 日本の近代洋画
4
章 民芸運動ゆかりの作家たち
5
章 戦中期の美術
6
章 戦後の美術
7
章 21世紀へ
7章で構成されていて、その最初の解説がどれも大原孫三郎と児島虎次郎へのリスペクトに溢れているのだ。それを読んでいるだけで感動してしまい、さらには2人の苦心の成果であるコレクションを見ては感動する。以下、長くなるので11点の絵画についてはほとんど触れない。
1
章にはちょっとびっくりした。大原美術館のコレクションに古代美術が含まれている人は多くないだろうというようなことが解説にも書いてあったが、私も知らなかった。「児島虎次郎の審美眼と欧州でのエジプトブームによる偽物横行直前に収集した」ことから、大原美術館の古代美術は本物度がきわめて高いそうだ。
2
章では最初にエル・グレコの「受胎告知」が展示されていた。目玉って中ほど以降に展示されることが多いから、最初にあったことで、2章にもちょっとびっくりした。躍動感があって美しかった。モネの「睡蓮」はごてごて塗られていなくてあっさり目な感じ、ブルーがぐっと心にくる。ホドラーの「木を伐る人」、こういう絵好き(労働の絵ね)。大原美術館、記念すべきコレクション第1号はアマン=ジャンの「髪」。虎次郎がぜひにと熱望したのもわかるような気がした。この作品の購入依頼の手紙に、虎次郎はざっとこんな絵ですといった感じの走り書きのデッサンのようなものを描いていた。その手紙の宛先が「備中国倉敷町 大原孫三郎」だった。多分明治も40年を過ぎていたと思うのだけど。
3
章では青木繁(ブリジストン以来、久しぶりにお会いしましたな)、萬鉄五郎、関根正二、岸田劉生、藤田嗣治、佐伯祐三、安井曽太郎、熊谷守一等々、錚々たる画家の作品が並んでいる。佐伯の「広告“ヴェルダン”」はパリへの愛が感じられて、私もたまらなくパリへ行きたくなった。ここには肝心の児島虎次郎の作品も展示されている。「和服を着たベルギーの少女」。そうそう、外国人女性が着物を着たらまさにこんな感じだし、ちょっとメルヘンチック。それにしても児島虎次郎の絵がたった1点? もっと見たいのに。

4章はなんといっても棟方志功、ど~んとくる。それから芹沢桂介の「風の字ののれん」がとてもよかった。かぜかんむりの中が越中おわら風の盆を想起させるの。陶器のコレクションも豊富。
5
章は戦中の作品らしく、閉塞感とか心の痛みみたいなものを感じた。
6
章ではポロックの作品があったのに驚き。ほんと、コレクション幅広い。じっくり見たら面白い作品だった。河原温「黒人兵」のインパクト‼ 
7
章は、現代アート苦手な私にはけっこうわからない作品も多かった。その中で福田美蘭「安井曽太郎と孫」は面白い作品だった(そういえば、比較的最近、都美で福田美蘭展やってたな。見なかったけど)。やなぎみわ「寓話シリーズ エレンディラ」はまさにエレンディラ!って思った。
私的な美術館である大原美術館の力はすごい。それにしても、倉敷はよく空爆を逃れたものだ。これだけの作品がもしかしたら失われていたかもしれないのだ。ちょっと調べたら、米軍が大原美術館の価値を考慮したという定説があるようだが、これをきっぱりと否定する資料があるらしい。倉敷も空襲目標にリストアップされていたが、それが終戦の1週間前。通常目標が決められてから実際の空襲まで約1週間ということだから、まさにギリギリで空襲を逃れたことになる。戦争で奪われた命はもちろん、文化財産も帰ってはこない。

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コメント

こんばんは。偶然にも! この展覧会を見てきたところです。もちろん私の実家も備中国ですから、帰省のついでに足を延ばしたりでお馴染みの作品たち……いや〜、こんなにあれもこれも来てるのね、でした。
大原美術館のうち、児島虎次郎記念館だけはアイビースクエア内にあるんですが、ここには倉紡記念館もあって、たしか棟方志功が描いた襖絵というか文字というかに見惚れた記憶が。
一度ゆっくり訪ねていただきたいわ〜。

投稿: きびだんご | 2016年3月19日 (土) 00時21分

きびだんご様
こんばんは。コメントありがとうございます。お返しが遅くなってすみません。
きびだんご様はもちろんこの展覧会のことをご存知だろうと思っていましたが、やはりいらっしゃっていたのですね。
ほんと、あれもこれも展示していただいて、目と心の保養になりました。児島虎次郎の絵は倉敷にあるんですね。児島も棟方志功もぜひ見たいし、ステキな備中国倉敷の町も歩いてみたいので、今年は無理でもできるだけ近い将来に行ければと思っています。思うばかりでなく、ちゃんと計画を立てて実行に移さなければいけませんね。

投稿: SwingingFujisan | 2016年3月19日 (土) 22時48分

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