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2016年3月 9日 (水)

祝・五代目雀右衛門襲名披露公演初日夜の部

33日 五代目中村雀右衛門襲名披露三月大歌舞伎初日夜の部(歌舞伎座)
160309jackie1 指はまだ腫れていてちょっとでも何かに触れると痛いし、時々じんじんするけれど、それでもだいぶよくなってきたので、初日の感想を。今日はNHKの「ひるまえほっと」でもやったから、そろそろ書かないとね。
襲名披露だし初日だし、華やかな雰囲気がいい。祝い幕も三菱鉛筆の創業130年の文字が目立ちすぎな感はあるけれど、京屋らしい華やかさ。
「双蝶々曲輪日記 角力場」
与五郎(菊之助)と吾妻(高麗蔵)が角力小屋の前の茶店で出会う場面。「よごろうさん」「あずま~」と互いの名をデレデレ繰り返し呼ぶのが、「ちかえもん」の「おはつ~」「とくさま~」を思い出させて微笑ましかった(歌舞伎の方が先なんだよね。しかもあの時の「とくさま~」はまだおはつの本心ではなかったのかもね。「ちかえもん」、面白かったな)。吾妻と与五郎の距離がこれまで見た中で一番近いような気がしたのは、久しぶりに見たせいかしら。「角力場」って意外と上演回数少ない?
菊之助さんの与五郎は客席にはウケていたが、<つっころばしのあほぼん>には見えない。でもそれはそれとして、私はこの与五郎も好き。
濡髪の橋之助さんはニンにぴったりで、大きさもあってよかった。ただ、残念ながら濡髪と放駒のやりとりになったら、時々うとうと。仕事との兼ね合いで、家にいてもこの時間眠いのだ。
角力小屋の雰囲気は、町人のわくわくが伝わってきてよかった。吾妻に付く仲居たち(芝喜松、芝のぶ、菊三呂)の中で芝のぶさんに大きな声がかかっていた。
「口上」
160309jackie2 さすがに京屋の襲名披露口上とあって、豪華な顔ぶれがずら~っと並ぶ。藤十郎さんが型通りの挨拶の後、懐から紙を取り出し、襲名披露を述べた。「先代は若々しく艶のある芸風で自分も勉強させてもらった」とのこと。この後、仁左衛門(先代の相手役を色々やった。先代は舞台では古風だが、普段は革ジャンでモダンな方)、秀太郎(当代がおなかにいるときから先代には色々教わった)、歌六、扇雀、又五郎、魁春、梅玉(先代のことはお兄様と呼んでいた。舞台もよく一緒、普段もよく食事に呼ばれたが、その席では息子たちの悪口が出た。それは愛情の表れだろう)、吉右衛門(当代とは手を取り合ってきた。これからも手を携えていきたい)、我當(おお、我當さんが‼ やや口のあき方が不自由だがしっかりと挨拶されるのを聞いて、思わずうるうるしてしまった)、東蔵(当代は相手を立てる役者、自己主張の強いところも見てみたい)、鴈治郎、橋之助、時蔵(当代とは同い年。神殿も時からともに励んできた)、松緑、友右衛門(弟が4年ぶりに父の名を復活させた)、幸四郎(親類の1人として喜ばしい。おじもさぞ喜んでいるだろう)と錚々たる面々のお祝いの言葉が続いた。そうか、松緑さんも「親類の1人として」と言っていたが、先代夫人は七世幸四郎の娘さんだったのね。
新・雀右衛門さんが「雀右衛門を五代目として襲名させていただくことにあいなりまして」と言ったら、「おめでとう‼」の掛け声が。客席も襲名を喜んでいる暖かい空気が濃く感じられた。


「祇園祭礼信仰記 金閣寺」
「角力場」で少し寝たせいか、「金閣寺」では(多分)初めて寝ないで、全部見た。
面白かった。実は襲名披露の演目「鎌倉三代記」も「金閣寺」も絶対眠くなりそう…でも「金閣寺」のほうがまだ大丈夫かな…と不安だったが、全然眠くならなかった(時姫は昼の部だし、絶対不安)。
上手屋体の障子があいて雪姫の姿が見えた時、あまりの美しさに息をのんだ。私は先代の全盛期を知らないから(私が見始めた時にはもうセリフもあまり入っていない状態だった。それでも存在だけでその役そのものだった)雪姫も当然見ていないけれど、「似てる‼」と思った。そして、雪姫の心の動きが都度都度よく伝わってくる。そのわかりやすさがあったのも、眠らずに面白く見られた理由の一つだと思う。雀右衛門さんの細やかな演技が雪姫の心を丁寧に、魅せたのだろう。桜の樹に繋がれているもどかしさ、大膳が父の仇とわかっているのにと嘆くばかりではない強さ、花びらでネズミを描こうという決意の表れた目の強さ、雪姫の心を思って時々泣きそうになった。
桜の花びらであっという間に舞台がピンクに染まる美しさは歌舞伎の醍醐味の一つでもあろう。
孝四郎さんの大膳はスケールの大きさが素晴らしい。まさに<国崩し>という感じ。錦之助さんの鬼藤太はべりべりと元気でよい(先月休演して心配したけど、よかった)。
仁左様の此下東吉がスッキリ爽やかでカッコよい。大膳とのバランスも合っていた。藤十郎さん(慶寿院尼)も大きい。梅玉さん(狩野直信)、歌六さん(軍平)もよかった。
雀右衛門さんの細やかな芸に、ベテランの大きな芸が合わさって、見応えのある「金閣寺」だった。
「関三奴」
仕事もあるし、見ないで帰っちゃおうか、でも終演そんなに遅くないし…と迷っているうちに開演5分前になったので見ることにした。見てよかったわ。33様の踊りが楽しくて飽きることがなかった。その中で私はやっぱり勘九郎さんのメリハリあるきっぱりした踊りが一番好き。松緑さん、お面をかぶっているのかと思った(^_^;)
<上演時間>「角力場」54分(16301724)、幕間20分、「口上」20分(17441804)、幕間30分、「金閣寺」92分(18342006)、幕間15分、「関三奴」14分(20212035
今は金閣寺と関三奴の間が10分になって、終演2030みたい。やはり2030くらいに終わってくれると助かる。

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

私も初日夜の部拝見しましたっ♫

初日はやっぱりはなやかで気持ちがより明るくなりますね。東蔵さんの口上、とってもよかったと思います。あと時さまの「同い年」発言はわかっていてもやっぱりつらくなります。三津五郎さん、勘三郎さんもこの場にいらしたはずなのにと思ってしまいました。

仁左様は爽やかさ満開でした。大好きな歌六さんもたっぷり見られて満足満足。私も最後の舞踊はパスしようかなと思っていたのですがSwing様同様拝見してよかった(´▽`)

来週は吉弥さんの歌舞伎夜話、行ってまいります♫のからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2016年3月10日 (木) 18時20分

からつぎ様
こんばんは。コメントありがとうございます。一晩以上経ってしまいました。ごめんなさい。
からつぎ様も初日にいらしたのですね。東蔵さんの口上には、率直な親身さが感じられましたね。

本当に、勘三郎さんも三津五郎さんも同い年なんですよね。最近、三津五郎さんの出演番組をいくつか見る機会があって、そのたびに「なんで…」と悲しみを新たにしました。来年は勘九郎さんのお子さんたちが初舞台を踏まれますが、また泣いてしまいそう。

「金閣寺」よかったですね。仁左様はやっぱり爽やかな捌き役が似合いますね。

吉弥さんのお話をお聞きになるとは羨ましい。歌舞伎夜話、いつも聞きたいとは思っているのですが、夜はなかなか出られなくて…。

投稿: SwingingFujisan | 2016年3月11日 (金) 21時13分

Fujisanさま
ご無沙汰しております。ずるずると時がたって久しぶりです。京屋の襲名披露、先週土曜日、昼の部を先にみました。夜の部は楽近くの予定です。
 昼の部の狂言建て、いまひとつです。鎌倉三代記は、やはり上級者向けの演目なので、これを据えるなら、二番目に、わかりやすい黙阿弥系の世話物あたりを持ってくるべきでしょう。本当は、「娘道成寺」を披露演目にしてほしかったのですが。先代は、道成寺ものに思い入れのある優でしたので。
 で、今回、よかったものは、播磨屋の高綱、軽みから豪胆さまでの演じ分けはさすがです。
 もう一つは、松嶋屋の「団子売」杵造、踊りの技量がどうこうという域をはるかに超えた「役者の踊り」そのもの、にっこり笑った顔(何とも言えぬ良い顔、愛嬌)が本当に素敵でした。

投稿: レオン・パパ | 2016年3月12日 (土) 18時29分

レオン・パパ様
こんばんは。コメントありがとうございます。
三姫のうちの2人で襲名披露とはさすがに京屋だと感心したのですが、私自身の不安はますます強くなってきました。でも播磨屋の高綱を見るためになんとか睡魔に襲われないようにしなくては。
これだけ大勢の役者さんが揃うと演目を決めるのは大変なんでしょうね。「道成寺」はいずれぜひ見たいものです。
夜の部も最後の踊りが意外とよかったのですが、昼の部もそうなんですね。この日は早く帰ろうかと思っていたのですが、「団子売」、ちゃんと見ます。楽しみです(「対面」をパスするかも…)。

投稿: SwingingFujisan | 2016年3月12日 (土) 23時00分

Swinging Fujisan 様
おはようございます。桜が咲き始めましたが、花粉には困りものです。
歌舞伎座 夜の部 見てきました。「口上」が豪華きわまりない。大幹部がずらりと並ぶ口上幕は久しぶりに見た気がします(勘九郎の襲名幕以来でしょうか?)。基本的に一家から一人、若手は除くというのも、一つのやり方でしょうか。中村屋を代表する勘九郎が参加していないのは、ちょっと気の毒ですが(但し、曽我十郎をあてがわれているので文句は言えないのですかね)。東蔵の激励発言、先代京屋が当代に常々言っていたような気がします。
2か月連続の襲名興業でもよかったと思いますが、いろいろ幕内の事情があるのでしょうか。
「金閣寺」、歌舞伎座で上演されるときは、大顔合わせが普通ですが、今回はことのほか豪華版。高麗屋、松嶋屋の芸のぶつかりあい見ものでした。高砂屋も大変結構、この種の役の第一人者。新雀右衛門、熱演で、先代によく似せていました。私は、京屋の型の人形ぶりも好きなので、別の機会に見せてほしいものです。この長い義太夫狂言の途中で、気が変わっていいものだと思います。
「関三奴」、私は初見のような気がしますが、短いながら、楽しい舞踊でした。三人の踊りぶりの違いが面白かったです。勘九郎よりは、松緑のほうが、しっかり腰の据わった踊りぶりですが、表現の面白さは勘九郎のほうでしょうか。

投稿: レオン・パパ | 2016年3月27日 (日) 09時05分

レオン・パパ様
こんばんは。コメントありがとうございます。
口上の豪華さには目を瞠りましたね。そういえば、勘九郎さんが入っていませんでしたが、中村屋代表というには若すぎるということなんでしょうか。人選にも苦労があるのかもしれませんね。
東蔵さんの発言は頷く方が多いようですね。
重厚で豪華な「金閣寺」は見応えがありました。芝雀さんの人形振りはだいぶ前に演舞場で見ていますが、あまり覚えていません。次の機会にはちゃんと記憶に残るように見なくては。
「関三奴」、楽しめましたね~。勘九郎さんは意識しているかどうかわかりませんが、踊りの見せ方(魅せ方)がうまいんでしょうね。

レオン・パパ様も花粉症ですか。花粉症は本当につらいですね。お大事になさってください。

投稿: SwingingFujisan | 2016年3月27日 (日) 22時12分

Swinging Fujisanさま

こんにちは。 ひっさびさのコメントとなってしまいました…。
私は昨日千穐楽に行ってまいりました。
口上には菊五郎さんもいらっしゃり(梅玉さんのお隣,いちばん上手側でした),
先代にお世話になったこと,今回の襲名がとてもおめでたく,うれしい
というお話をされていました。
思ったよりも短かったかもしれません。

金閣寺の最後,雪姫が刀を持って直信のもとに向かおうとするところでは
「おやじそっくり!」と声がかかり,客席にほんわかした笑いが広がりました。
私は雀右衛門さんを写真でしか拝見したことがありませんが,
その私の記憶にある写真の雀右衛門さんと芝雀さんは本当に似ていてビックリしました。
襲名公演のあのなんともいえないあたたかい雰囲気,とてもよかったです。

投稿: あねご | 2016年3月28日 (月) 12時06分

あねご様
こんばんは。コメントありがとうございます。
こちらこそ、すっかりご無沙汰でごめんなさい。

あねご様は昨日夜の部でしたのね、私は昼の部を見てまいりました(ほとんど寝ていた…bearing)。
菊五郎さん、初日は休演で心配しておりましたので、回復はとても嬉しいです。口上は人数も多いし(豪華でしたね~)そんなに長いお話はされなかったのですね。情報、ありがとうございます。
新・雀右衛門さん、本当にお父様に似ていらっしいましたね。たおやかで瑞々しく可愛らしい女方として、これからのご活躍がますます楽しみですね。

投稿: SwingingFujisan | 2016年3月28日 (月) 22時56分

Fujisan様 
 こんばんは。番外です。この間の大相撲千秋楽、白鳳の相撲、「双蝶々」ではないですが、「なんじゃい、なんじゃい、なんじゃい」の相撲でした。日馬富士応援の私としては、期待外れの大一番でした。(実は、私は嫌われ者の朝青龍びいきでした。その系列と思っている日馬富士をどうしても応援しています。白鳳は性格は悪いとは思いませんが、いまひとつです。)
 ところで、4月の松嶋屋の毛谷村六助楽しみですね。東京では初演のようですが、松嶋屋の芸風にあう役だと思います。願わくば、相手役が時蔵だったたらよかったのですが。

投稿: レオン・パパ | 2016年3月29日 (火) 22時06分

レオン・パパ様
おはようございます。コメントありがとうございます。
千穐楽の相撲、確かに…。でも、私は春場所はどうしても白鵬に優勝してもらいたかったし(これで、お父さんの記録に並んだから、ここから先はもうゆっくり記録をのばしてほしい)、白鵬自身もどうしても勝ちたい気持ちが強かったんだろうなと思いました。連続優勝が、怪我をしないことが、どれだけ大変なことか。どうか大目に見てあげてください。
ちなみに、私も日馬富士は大好きです(日馬富士の展覧会も見に行ったほどです)。日馬富士だって横綱になってからはイマイチですが優勝は全部で7回してるし準優勝も7回。決して弱い横綱ではないと思います。白鵬が強すぎるのと、日馬富士は怪我が多すぎるんですね。
日馬富士だけでなく伊勢ケ浜部屋のファンです。ここのところ照ノ富士が怪我でぱっとしないので落ち込んでいます(照ノ富士の取組みは怖くて見られないので、勝負がついてから見るようにしています。もっとも負けた時は見たくない)。
日馬富士の喋り方、親方にそっくりだと思いません?

朝青龍も好きでしたよ~。色々言われていましたが、けっこうファンも多かったと思いますよ。

仁左様の六助、東京初でしたか。どこかで見た記憶が…と思ったら、2011年2月松竹座で見ていました。「相手役が時蔵だったらよかった」--そうおっしゃっていただけるのは嬉しいですし、まったく同感です。でも、やむを得ませんよね。松竹座でもお園は孝太郎さんでした。

投稿: SwingingFujisan | 2016年3月30日 (水) 11時48分

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