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2016年4月21日 (木)

明治座花形歌舞伎昼の部

418日 四月花形歌舞伎昼の部(明治座)
160421meijiza 明治座(多分)初の1階席。なのに、眠かった。やはり昼の部はダメだわ。ちゃんと前夜早めに寝たのに、普段と起きる時間が違うからか、体が言うこときかない。
幕間に外に出たら、いつも楽しみな幟がなかった。きいたら、風の強い日は出さないんですって。前日モーレツな風が吹いたからそういうことだろうとは想像していたけど、もう風もおさまったんだから。やっぱり幟がないと寂しいもの。
「葛の葉」
七之助さんの美しさは透き通った美しさだと思う。狐の化身としてはそれがぴったりくるのだが、透明感には冷たさが伴うためか、子への情愛がもう少しほしいような気がした。赤姫ももうちょっと保名への思いが強くてもいいのではないかしら。七之助さんの情念は美貌の奥に隠れた冷酷さと裏表のような気がする(「椿説弓張月」の白縫姫とか「小笠原騒動」のお大の方とか)。と言いながら、最後の子別れはちょっとうるっときたから、それまでの印象は払拭。「恋しくば~」の文字は、あんまり細くてまずびっくりし、次第に頼りなさが増してきて、大丈夫なのかと心配しながら見た。あとになって知ったことだが、あまりお習字はやってこなかったとのこと。歌舞伎役者って舞踊や楽器の稽古の他に習字も素養としてやるのかと思っていた(文字を書く機会多いでしょ)。
梅枝クンの保名はおっとりと品よく情にも溢れていた。ただ、七之助さんとのバランスはどうだろうか。姉さん女房に見えてしまった。
亀蔵さんの信田庄司、歌女之丞さんの柵は<らしく>てよかった。
でも、いつもこの芝居を見ると思うのだけど、両親とともに物置に隠れて様子を窺っている本物の葛の葉は、保名が狐の葛の葉を狐とわかっても愛し追いかけようとするのをどう思っているのだろうか。保名が追いかけて行ったあと、この3人はどうなるんだろうか。罪作りな狐さんだ。
明治座のお客さんは毎度反応がよくて、子役ちゃんにも微笑ましい笑いと拍手を送り、葛の葉の二度目の早替りにも笑いが起きた(からくりがわかっちゃうからね)。
「末広がり」
楽しかった。亀蔵さんのコミカルさは、作るのではなく自然な感じで好きだ。
勘九郎さんは福子にほんのり抱いていた思い、知ったかぶりをして都の商人にコロッと騙される太郎冠者の思い込みを楽しく大らかに表現していた。傘の芸はお見事‼ 
国生クンの万商人が意外と(と言っては失礼だが)よかった。橋之助襲名を控えて相当な努力を積んでいるのがわかる。
鶴松クンの福子が可憐で、亀蔵さんと勘九郎さんの中に溶け込んでいたのが嬉しかった。

「女殺油地獄」
全体に、思いのほか感動がなかった。菊之助さんは頑張っているのは重々わかるけれど、その頑張りがより真面目さを感じさせて、少なくとも前半の不良青年はニンではないと思った。殺しの場面は悪くなかったが、やっぱり真面目だからなんだろうか、何となく「理」が勝って「情」の部分が薄いような気がした。でも、花道を去っていく与兵衛の表情はよかったな。その目に、やってしまったことへの恐ろしさと同時にふてぶてしいものが見えるような気がして、ゾクっとした。。
七之助さんはお吉でもやはり透明感が感じられて、菊之助さん同様「理」が勝っているように思った。「死にたくない」の訴えが一番心に響いたのは亀治郎さんであったが、七之助さんの「死にたくない」も切なくて不条理を感じた。
これもまたこの芝居を見ていつも思うのだが、これほど大声を上げたり逃げ回ったりしているのに、娘お光は深い眠りに落ちて気がつかないのだろうか。近所の人は物音を不審に思わないのだろうか(「暗闇の丑松」とか…)。今回は七之助さんの最初の声が絶叫に近かったのでとくにそう感じた。とまあ、久しぶりにナンセンスつっこみを。
明治座のお客さんは毎度反応がよいと先述したが、2人が油に足を滑らせる場面では笑いが起きた。菊ちゃんが滑るたびにあちこちから笑いが起きるのだ。これってどうなんだろう。殺さねばならぬ男、殺されてはならぬ女、必死の2人が繰り広げる凄惨な場面なのに…。反応のよい観客の息を詰めさせるのは仁左様でも無理だろうか。
勘九郎さんの豊島屋七左衛門はちょっとヒステリックというか、与兵衛とお吉の関係に対して、梅玉さんのようにもっと大人の対応を取れなかったものか。
与兵衛の両親(吉弥、橘三郎)がお吉に泣きつく場面は泣けることもあるのに、今回はこの親2人が2人とも与兵衛をダメ人間にしたんだと思って、ちょっとハラが立ってしまった。もっとも、親ってそういうものなのかもしれない、とも思わないではなかったから哀れさも覚えたけれど。
新悟クン(おかち)、やっぱり好きだわ。
太兵衛(亀寿)さんの場面、完全に飛んでしまった。ごめんなさい。ここが飛んだせいで、感動が薄かったのかもしれない。
<上演時間>「葛の葉」55分(11001155)、幕間30分、「末広がり」50分(12251315)、幕間30分、「女殺油地獄」110分(13451535

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