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2016年4月28日 (木)

四月歌舞伎座夜の部

424日 四月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
開演が1645と通常より15分遅く、終演が2105。昼の部4時間54分、夜の部4時間20!! 「空海」は2時間以上一気にいくし、役者さんも大変だが見る方もけっこう体力がいる。
「彦山権現誓助剱 杉坂墓所・毛谷村」
11段のうち8段の通しを松竹座で見たことがあり、話の内容がよくわかって面白かったが、杉坂からでも話がつながって理解しやすいし、六助の人となりもよりよくわかるから時々は杉坂からもやってほしい(そういえば、国立で梅玉さんの六助を杉坂から見たことがあったな)。毛谷村でもお幸の入り込みは省略しないでほしい。
仁左様が六助を若々しく生き生きと演じていた。御年70を過ぎてなお、こんなに瑞々しい六助が!!と驚嘆すると同時に、あんまり素敵ですっかりお芝居の中に取り込まれた。気は優しくて親孝行、武芸の達人にして二枚目、3拍子も4拍子も揃った六助に仁左様はぴったりだ。心理描写が丁寧で、仕草・動きが端正で美しい。大らかさが六助らしくてよい。六助をこんな魅力的と思ったのは初めてかも(と、もしかしたら毎回書いていたりして…)。仁左様、山蔭右京より六助のほうが好きだ。怒りのあまり庭の石をめりめりと踏み込むと、石が完全に土の中に隠れた(菊五郎さんの時は全部めり込んではいなかった)。ラスト、お幸が折った白い椿は、弥三松に持たせていることが多いと思ったが、仁左様の場合は自分が持っていた。松竹座でもそうだったろうか、残念ながら覚えていない。
孝太郎さんのお園も女武道でも急に女に戻るのでもやり過ぎず、それでいてきちんと仁左様に対峙して、かつ相手を立ててよかった。配役が発表されたときは時様で見たいと思ったが、孝太郎さんがよかったので満足。
東蔵さんのお幸は安心して見ていられる。金包を投げ合う場面は何度見ても面白い。
「幻想神空海」
原作は単行本4巻という大部だそうで、それを2時間超えとはいえ脚本の戸部氏がよくここまでまとめたと感心した。冗長な部分もあったが、見応えは十分だし、とても面白かった。
楊貴妃が舞う幻想的な世界で幕が開く。雀右衛門さん(まだ、うっかり芝雀さんと言いそう)がとてもきれい。ただ、この後の展開を見ていくうちに、正直この舞の場面の意味がわからなくなって、「この場面必要だったの?」とずっと不審に思っていた。それがもっと後になって、はっとわかる。
場面は変わり、空海(染五郎)と橘逸勢(松也)と丹翁(歌六)との3人が出会った頃の思い出話を始め、そこから場面は過去へと遡る。歌六さんの人を喰ったような飄々感がとてもいい。この飄々さが後に謎の真相がわかった時に効いてくるように思った。

染五郎さんと松也さんは「操り三番叟」「不知火検校」に続いての共演。出番に多少の差はあれ、2人とも昼夜の上演時間の約3分の2、しかも夜の部の最後と昼の部の最初に出ているんだから…。「陰陽師」の晴明(染五郎)・源博雅(勘九郎)を思い出させるこのコンビ、なかなかよかった。松也さんが空海の友人をのびのびと演じていたのが印象的だった。「どうしたものかのう」(困った時はそう言っておけ、と空海が逸勢に)は、とと姉ちゃん? 2人の歌が聞けたのは嬉しかった‼(染五郎さんの琵琶弾き語り) 友達っていいね。
幻想劇のアイディアは面白い。京蔵、芝のぶ、京紫、といった実力派がたっぷり楊貴妃の物語で魅せる。玄宗皇帝役の功一さんがカッコよかった。
兄妹が畜生道に堕ちるのはお袖・直助
この芝居は染五郎さんをリーダーとして若手が大勢出ているが、その中で児太郎クンが大ヒット。ビックリするくらいの妖気を漂わせ美しかった。やり過ぎないのもよかったし。種之助クンはわからなかった~。あの子誰かなあと考えてもわからなかった。この芝居がよくできていると思う一つは、若手を中心にまわっているようで、実は歌六、又五郎、雀右衛門(実にきれい)、彌十郎のベテランが演じる人物たちの物語であるという点。芸で舞台をぐっとしめており、楊貴妃を巡る人たちの悲劇が浮き彫りになった。そして最後に登場する皇帝・幸四郎さんの存在感!! この大きさが幸四郎さんなんだと思わせる。「大きさ」って資質なんだろうか。年季なんだろうか。
ラスト、空海がダイナミックに書く「樹」の文字、仕掛けはなるほどね。橘逸勢も空海とともに三筆であるから、どちらが書くのかと思ったけど、そりゃあここは空海だわよね。
<上演時間>「彦山権現」93分(16451818)、幕間35分、「空海」132分(18532105

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