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2016年5月22日 (日)

見応え十分、カラヴァッジョ

519日 「カラヴァッジョ展」(国立西洋美術館)
別に西美が世界遺産に登録されそうだからというわけで行ったんじゃなくて、もともと行くつもりでたまたまこの日に出かけたというだけ。平日だというのに上野は人人人。若冲展もあるしね。ただ、もっと早く行っておけばよかったとちょっと後悔したのは、チケット売り場に長蛇の列ができていたのを見た時(午後2時くらいだったかな)。長蛇は大げさだけど、西美にしてはかなりの行列で驚いた。私は既にチケットを入手していたので並ばずに済んだが、入口もいつもなら正面なのに、今回はチケット行列のために建物右側へ誘導された。
会場に入ると、ちょうどビデオが切り替わるところだったので見ることにした。カラヴァッジョが問題児(問題児以上だね)であることは知っていたが、予習としてこのビデオは見ておいたほうがいい。
絵画の展示カラヴァッジョ11点(全作品が60点ほどとされていることを考えると、11点というのはすごい)にカラヴァッジェスキ(カラヴァッジョの影響を受け、その作風を受け継ぐ画家)の作品をあわせても51点と少ないにもかかわらず、かなりの見応えがある。しかも、「法悦のマグダラのマリア」は世界初公開だというから、必見。さらにはローマ国立古文書館所蔵の裁判記録など6点の展示があり(よく貸してくれたなと思うけど、そうでもないのかな)、インクの滲んだ文字を見るだけでもワクワクするし(もともと原語は読めないから雰囲気だけ)、日本語訳を読めばカラヴァッジョという人を知る上でもなかなか興味深い。
展示は7つのテーマに分けられ、それぞれ最初にカラヴァッジョの作品がきている。最初それに気がつかなかったのだが、カラヴァッジェスキとカラヴァッジョ本人の絵の違いはほぼわかる。一番明白だったのが「トカゲに噛まれる少年」(カラヴァッジョ)と「カニに指を挟まれる少年」(ピエトロ・パオリーニに帰属)。この絵は「Ⅱ 風俗画:五感」のところに展示されている。専門的なことはわからないが、見た私の五感が明らかに「違う」んである。
私がカラヴァッジョの絵で好きなところは、技巧を感じさせないリアルな自然さと言ったらいいだろうか。もちろん、光と影が計算し尽くされたとわかる絵も素晴らしいし、カラヴァッジョも計算しているではあろうが、その計算が見えにくい気がして、それがカラヴァッジョの絵に力強さを感じさせるような気がするのだ(違っているかもしれないけどね)。
そう言いながら、蝋燭の光の画家(ジャコモ・マッサ?)の「酒場の風景」はすごくいいと思った。この画家は「キリストの嘲弄」「聖ヒエロニムス」の計3点が展示されているが、私は「酒場の風景」が一番好き。ホントホルストの「キリストの降誕」もいい。
「メドゥーサ」は怖い。でも劇団ひとりの顔に似ていて笑っちゃう。ここではグエルチーノに再会(「ゴリアテの首を持つダヴィデ」)。同じ首でもやっぱりグエルチーノは優しいね。グエルチーノはほかに「手紙に封をする聖ヒエロニムス」も出展されている。
さて、目玉の「法悦のマグダラのマリア」。2014年に真筆であることが認められた作品だそうだ。画面のほぼ中央やや下に描かれている組んだ手がとても印象的。中央にあるから表情より先に目がいく。それから赤いマント、白い袖、と目を上げていくと法悦の表情にたどりつく。ほかの画家の「悔悛のマグダラのマリア」に比べて心にぐっと迫ってくる。ずっと眺めていても飽きないと思った。
「マッフェオ・バルベリーニの肖像」は、2010年にカラヴァッジョに帰属することが確実であると認められたそうだ。帰属ということは未だ真筆とは断言できないということ? 1950年代まではカラヴァッジョに帰属させる見解があったものの、それを否定するロンギンという人の説により、その後研究者の検討の対象になっていなかったらしい。専門的なことはわからないが、カラヴァッジョにしてはちょっと異質な感じを受けた。そのあたりが長年ロンギン説が通っていた理由なんだろうか。

以下にテーマとカラヴァッジョの作品のみ挙げておく。全部、一見の価値ありです。そこそこ混んではいたけれども、ちょっと待てば目の前でしっかり見られました。暑かったせいか、とても疲れて常設展を見てこられなかったが残念。
Ⅰ 風俗画:占い、酒場、音楽
「女占い師」(1957年)
Ⅱ 風俗画:五感
「トカゲに噛まれる少年」(159697年頃)
「ナルキッソス」(1599年頃)
Ⅲ 静物
「果物籠を持つ少年」(159394年)
Ⅳ 肖像
「マッフェオ・バルベリーニの肖像」(1596年頃)
Ⅴ 光
「エマオの晩餐」(1606年)
Ⅵ 斬首
「メドゥーサ」(159798年頃)
Ⅶ 聖母と聖人の新たな図像
「洗礼者聖ヨハネ」(1602年)
「仔羊の世話をする洗礼者聖ヨハネ」(カラヴァッジョに帰属)
「法悦のマグダラのマリア」(1606年)
「エッケ・ホモ」(1605年頃)

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