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2016年8月14日 (日)

7月分⑥:子供のための「オセロー」

719日 子供のためのシェイクスピア「オセロー」千穐楽(あうるすぽっと)
前回見たのが2013年の「ジュリアス・シーザー」で、去年の20周年記念公演もパスしてしまったから、3年ぶり(2年ぶり? 「ぶり」っていうのがよくわからない)。ということで、開演前にイエロー・ヘルメッツの歌があることをすっかり忘れていた。早めに着席してよかったぁ。
山崎清介さんの「小4のときに盆栽に興味を持った。地味な趣味だが、みうらじゅんさんの趣味の仏像も地味。そのみうらさんの作った『おはよう舞妓さん』を歌います」で歌が始まった。「勝手に観光協会」の歌は前にラジオで何曲か聞いたことがあるが、この歌は初めて。なかなか悪くない。
ところで、新幹線の座席のアームの先端の丸い部分が、後ろから見ると仏像の頭に見えるんだそうだ、みうらさんには。
「オセロー」
「オセロー」をこう料理するんだと、山崎さんの脚本・演出はやっぱり素晴らしいと感心する。人物の心のうちや独白を、黒ずくめの人たちが代言することで、彼らのたぎる思いが伝わってくる。旗持ちの人形にイアゴーの心を語らせることで、冷血に知恵をめぐらせて獲物を陥れるイアゴーの嫉妬が熱く熱く渦巻いていることもわかる(いつも、人形の存在感すごい)。全体にはところどころユーモラスな場面も差し込み、くすっと笑わされながら、嫉妬心の恐ろしさ、一度生じた疑念を払拭できない人間の業の深さを感じ取った。
イアゴーは山崎さん!! 油の抜けたようなところが案外ぴたっとはまって面白かった。
オセローは河内大和さん。写真を見たら強面すぎてどうなることかと懸念したが、声がきれいでデズデモーナへの一途な思いが可愛らしく見えた。イアゴーの罠に落ちていく愚かさは、勇猛な軍人であるが故の、駆け引きを知らぬ悲しさでもあると思った。キャシオーは二枚目で(このカンパニーの二枚目といえば若松力さん)女性にはモテてもやはり軍人であり、イアゴーの知恵には勝てないのだ。
デズデモーナの大井川皐月さんはちょっと金切声をあげすぎるような気もしたが、芯の通った強さ、清廉さが悲劇を強調した。意外と雄弁なので声が気になったのかもしれない。デズデモーナに対してこれまでもっていた印象とずいぶん違うが、そこが新鮮で人間味が感じられ、この女性が非業の死を迎えなくてはならないことが悲しかった。
伊沢磨紀さんが今回も男性である公爵と女性であるエミリアを演じていて達者である。
他の出演者(おなじみ戸谷昌弘さん、山口雅義さん、加藤記生さん)もそれぞれ独特の存在感があって、2時間とても面白かった。
子供のためのシェイクスピアシリーズは、セリフもわかりやすく、人間がよりむき出しになる感じがして、とくにオセローのような芝居には適しているのではないだろうか。それにしても、ハンカチの真実はなぜもっと早く明らかにならなかったのだろう。このタイミングで明らかになれば…、次のタイミングで明らかになれば…というハラハラ感も楽しめた。
<上演時間>120分(1401600

 

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