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2016年9月 3日 (土)

8月分⑥:ルノアール~ヴェネツィア・ルネサンス

816日 「ルノアール展」~「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」(新国立美術館)
またまた、忘れてました(実は、7月分でもう一つ忘れていた美術展があるが、それはずっと後で)。
「ルノアール展」
けっこう混んでいるとのことで迷ったけれど、チケットもってるから…。
日本人ってほんと、ルノアール好きよね~。
目玉は、「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」と「浴女たち」が初来日、「田舎のダンス」と「都会のダンス」が45年ぶりに揃って来日、「ピアノを弾く少女たち」とその周辺、というところだろうが、あまりにも有名な絵だから、初来日とか45年ぶりとか言われても、そうなの?程度の感想しかない。とっくに見たような気になっているだけなんだけど、それだけルノアールはよく知られているということをあらためて認識した。
たしかに実際に見ると、いいなあと思う。思うけど、やっぱり少し食傷気味か…なんというもったいないことを言うのだ。
展示作品はルノアールだけではなく、ゴッホ、モリゾ、コローなどもある。中でティソの「夜会あるいは舞踏会」が気に入った。単純にきれい、というだけで。
とまあ、混んでることもあって(開館の10時ちょうどに着いたのに入口、もう行列。5分で入れたけど、ちょっと挫けた。でも出てくる時にはもう行列はなかった。な~んだ。前日の15時頃は20分待ちだったって)、さらっと流して出た。
目玉の「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」は特別にコースが作ってあって、「目の前で見たい人は立ち止まらずに見てください」。そうでない人は2列目からじっくり見られる。印象派の絵なんて間近で見るより少し距離を置いたほうがいいと思ってるし、立ち止まらないで見るなんてつまらないし、何のかんのと言いながら、2列目でちゃんと見ちゃった。やっぱりちゃんと見ると、雰囲気とか伝わってきてよかったな。
全体に、ルノアールの絵には<生活>があるような気がして親しみを感じる。だから人気があるのかも。それは風景画でもそうで、そこを人が歩いているという空気が感じられる。好きなのは「草原の坂道」。実際に人が歩いている絵ではあるけれど、そこは私も歩いてみたい‼のだ。
「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」
こちらは始まったばかりのせいか、すいていてゆ~っくり見ることができた。素晴らしくよかったです‼ 1人でゆっくり鑑賞の美術展はメモることもできるのです。久しぶりに11点の感想をメモの中からかいつまんで。
Ⅰ章「ルネサンスの黎明―15世紀の画家たち」とⅡ章「黄金時代の幕開け―ティツィアーノとその周辺」は展示室の壁が落ち着いた赤で、これがとても効いている。実際とはもちろん違うのだろうが聖堂の厳かな雰囲気の中で絵画を鑑賞することができた。
Ⅰ章
ジョヴァンニ・ベッリーニ「聖母子(赤い智天使の聖母)」
1485-90)は、赤い6人の智天使(天使って「人」って数えるのかな)が顔と翼だけ上方に見えて、ちょっとこわかった。ラザアロ・バスティアーニ「聖ヒエロニムスの葬儀」1470-80)は画面中央下~右下にヒエロニムスが横たわっていて、厳かな気分になった。直線的な絵で、周囲に立つ聖職者たちも直線的。カルロ・クリヴェッリ「福者ヤコポ・デッラ・マルカ」1480-90)は硬質な線描で描写が細密。同じ画家の「聖セバスティアヌス」1480-90)と中央を向くように左右に配置されていた。聖セバスティアヌス――「椿説弓張月」ですわ…。アントニオ・デ・サリバ「受胎告知の聖母」は、バックの黒が活きて、光の描写がよかった。受胎告知をする大天使は描かれず、マリアの前にいる鑑賞者が大天使の役割をするのだとか。そう言われるとまたまた厳かな気分になる。
Ⅱ章

ボニファーチョ・ヴェロネーゼ「父なる神のサン・マルコ広場への顕現」(「受胎告知」三連画より)(
1543-53)は、神はダイナミックに、下の町は繊細に描かれている。三連画というのは、右にマリア、左に大天使で、中央がこの絵。ドラマチックな印象を受けた。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「受胎告知」
1563-65頃)‼ これがこの展覧会の目玉。なにより展示法がいい。1つの部屋にデンと展示されていて、圧倒される。壁の赤、絵の上方から注ぐ光――聖堂で跪いて見ている感覚に陥る。写真で見た実際の聖堂での展示は全然そういう感じじゃなくて、もちろん現地に行けば違う印象を受けるのだろうけど、こっちの方が断然いいなと思った。絵のドラマ性とぴったり合う展示だ。その反対側に相対してかかっているのが同じティツィアーノの「聖母子(アルベルティーニの聖母)」1560頃)で、この展示もよかった。マリアの悲しげな表情、垂れた幼子の右腕が悲劇を予感させる。2つの絵の間の空間が、受胎告知からキリストの最期(予感)までをじっくり辿らせる感じ。


Ⅲ章 三人の巨匠たち―ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノ
ティントレット「動物の創造」1550-53)は右から左へ流れるダイナミズムが面白い。バッサーノ「ノアの方舟に入っていく動物たち」(1580-90頃)も興味深かった。ヴェロネーゼ「レパント海戦の寓意」(1572-73頃)は上空に守護聖人たち、下では海戦という構図。上に神や天使、下に人間という構図がヴェロネーゼに限らず全体に目についた。
Ⅳ章 ヴェネツィアの肖像画
パルマ・イル・ジョーヴァネ「枢機卿ドメニコ・グリマーニと枢機卿マリーノ・グリマーニの肖像」(1578)は2人が左斜めを向いて並んでおり、2人ともこっちをにらんでいる構図が面白かった。
Ⅴ章 ルネサンスの終焉―巨匠たちの後継者
パルマ・イル・ジョーヴァネ「スザンナと長老たち」1600-05)、「放蕩息子の享楽」1605-10)、「放蕩息子の帰還」1605-10)、レアンドロ・バッサーノ「ルクレティアの自殺」1610頃)は、どれももう描かれている話の内容がわかるから見ていても面白い。グエルチーノ展で覚えたんだったっけ。聖書のことはほとんどわからないけれど、同じテーマが好んで描かれるから、何回か宗教画を見てくると、だんだんわかってきて、わかってくると絵も面白く見られるようになるもんだなあ、というのが最後の感想。
何点かの絵画は→ココで見られます。



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