« 8月分⑧:第2回双蝶会 | トップページ | 8月分⑩:納涼歌舞伎第二部千穐楽 »

2016年9月 6日 (火)

8月分⑨:狸御殿

824日 「狸御殿」千穐楽(新橋演舞場)
11
年前に見た藤山直美×澤瀉屋バージョンのインパクトが強すぎて、「狸御殿」には色々なバリエーションがあるってわかってはいても、ついついあの面白さを求めてしまう。そういう視点から見ると今回のはちょっと…ドタバタ喜劇なのかラブロマンスなのか、その両方か…、う~ん、私にはあまり合わなかったと言わざるを得ない。ただ、これはあくまで好みの問題なので…。
物語は前半シンデレラ、後半白雪姫だが、無国籍、時代不詳。それは全然かまわないし、その面白さもあった。しかし私が一番ひっかかったのは語り部(花緑)である。幕開けは上手山台で義太夫風に始めていたのを突然やめて立ち上がって客席へ向かってお喋り。山台うしろの幕には狸のシルエットが描かれていて、語り部の存在と相俟ってそれなりにメルヘン効果があったんだけどな。第1部で語り部がきぬたを狸御殿に向かわせるために時間を戻したり、泥右衛門たちを動かしたり、本人も言っていたが登場人物と喋ったりと、物語に介入するのはなんかご都合主義だなあと思ってしまった。また、幕内の場面転換の間の芝居でドタバタしすぎるのは興をそいだ。
2部は語り部がカッパになったこともあって(ついに物語の中のキャラになってしまった)、第1部のようなことは少なくなり面白みが増した。
登場キャラ(人物って言ってもいいんだけど、一応人間じゃないようだから)で私が一番いいと思ったのは悪役・十六夜姫。翠千賀さんはさすがにオペラ歌手だけあって、歌には聞き惚れた。嘲笑いの声に少し品が欠けるのが気になったけど、こういうお芝居の場合は姫の「実は」キャラを強調する上でいいのかもしれない(歌舞伎はそういう時でも品を落さないから、つい気になってしまった)。歌舞伎じゃないんだから、とはわかっていながら、松也、徳松、國矢と歌舞伎役者が3人出ているし、歌舞伎的な要素も時々見られるし…。
もう1人の歌姫、白木蓮の城南海さんも清らかで力強い歌声、凛とした姿がカッコよかった。
きららの方(狸吉郎の母)の渡辺えりさんは、この前演舞場で見た「有頂天旅館」よりもよかった。歌もうまい。三越劇場で「愛唱歌」をやったのも頷ける。ミュージカルナンバーはどれもよく、とくにえりさんの歌う「♪18歳の時は♪」(「思い出のデュエット」かな??)は好き。日本語のミュージカルをもっと見たいと思ったほど。
主演の松也さんは、役のニンにぴったり。歌もうまいし、狸の王子としての華もある。母親や強い女(十六夜姫)に逆らえない弱さや繊細さもよかった。
瀧本美織さん(きぬた)は芯の強さと可憐さに加え、時にはコミカルな演技もあって、なかなか頑張っていた。
徳松さん(泥右衛門の子分)が楽しそうでうれしかった。カールおじさんみたいに口のまわりが濃いヒゲで覆われた典型的な山賊顔。女優になりたかった徳松さんはこんな化粧どうだったんだろうと心配したけれど、思いがけないラストが待っていて、大ウケした。國矢さん(同じく泥右衛門の子分)は元女方の役者(だった?)で、やっぱり絵になる。2人とももうちょっとその個性を活かせる場面が多いとよかったのだけど…。
シンデレラ風の前半、意地悪だった継母(あめくみちこ)と義理の姉たち(大地洋輔、土屋祐壱)は後半いつの間にか意地悪がどこかへいってしまっていたけど、どうしたんだろう。

カーテンコールは、舞台に紅白の横縞の幔幕が張られ、その前で白木蓮の城何回さんが「さくらさくら」を圧倒的な声で歌った。
その後、全員が鉦や太鼓をたたき踊る中、松也さんが舞台中央の大太鼓を打つ(1回目は徳松さんが心配そうにじっと見守っていたが、2回目に打った時は顔でリズムを取りながら見守っていた)。すご~くカッコいい‼ 楽しい。太鼓が終わると、全員が座って、松也さんが「まず当月はこれぎり」。
拍手は鳴りやまず、もう一度幕が上がった。松也さん「気持ちいい~」。初の演舞場主演で不安だったが、亜門さんや出演者のみなさん、そしてお客様のおかげで千穐楽を迎えることができたと言い、その後主な出演者11人の挨拶があった(カテコ30分近くやったよ)。白木蓮の城さんが口を開いたら、とっても可愛らしい声に喋り方もあま~い感じで、出演者に「白木蓮のイメージと全然違う」と突っ込まれていた。
松也さんが、「再演を願うけれど、1番ないのはボクだろう」って。なぜなら狸吉郎は18歳の役だから。するとすかさずえりさんが「私は37歳の役よ」と松也さんを驚かせていた。
<上演時間>165分(11301235)、休憩35分、第280分(13101430

|
|

« 8月分⑧:第2回双蝶会 | トップページ | 8月分⑩:納涼歌舞伎第二部千穐楽 »

演舞場」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 8月分⑧:第2回双蝶会 | トップページ | 8月分⑩:納涼歌舞伎第二部千穐楽 »