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2016年9月28日 (水)

圧倒的な吉右衛門、玉三郎:秀山祭夜の部

922日 秀山祭九月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
「吉野川」
昼の部で既に両花道は見ていたが、「吉野川」の両花道だと思うとやっぱりテンションが上がる。
腰元・萬太郎クンの女方は初めて見るので楽しみにしていた。元々母親似だけれど、ますますそっくり。ちょっとコミカルなところもあって、川の向こうの久我之助に声をかけたり手を振ったり、川に落ちそうになったり客席のウケもよかったようだ。品よくやっていて女方もなかなかいけると思った。もう1人の腰元・梅枝さんはしっかりしていて、「頼朝の死」の音羽を思い出した。
染五郎さんはこういう役がよく合っているが、菊之助さんはどうなのかなあと思わないでもない。この頃の印象として立役が多く、それはカッコよくて素敵なんだが、その分女方では時々どうなのということがある。今月も個人的には雛鳥より鬼次郎の方が好きだ。声も若さを強調するためか、いつもの透き通るような声じゃなかったのが残念だった。菊之助さん、もっと女方やってほしいい。
前半は少し眠くなってしまった部分があったが、後半は引き込まれた。娘の死と息子の切腹を川の両側で互いに身振りで知らせ合う場面は素晴らしかった。2人の気持ちと気持ちが一つに溶け合ったような感じで、思わず息を詰めた。
雛道具を腰元たちが流すのを見ている玉三郎さんは座り方が美しく、全身で悲しみに耐えているようであった。
ところで、久我之助はずっと前に切腹して、うつ伏したままで苦しんでいる。早く介錯してあげればいいのに…。水杯をさせて悲しむ吉右衛門さん、2人の首を抱える吉右衛門さん、玉三郎さんにそれを見せる吉右衛門さん…。<大判事と定高>なんだけど、多分に<吉右衛門と玉三郎>と思った。
客席、途中の拍手がためらいがちだったのは、芝居にのめり込んで拍手を忘れていたというか、拍手で芝居の空気をこわしたくないというか、そういう人が多かったのではないだろうか。
普通に考えたら、雛鳥の首を息も絶え絶えの久我之助の前に置いて祝言をあげるとはグロテスクでもあるだろうに、歌舞伎だとこうも美しく悲しいのだなあ。約2時間が全然長く感じられなかった。

「らくだ」
笑いどころでは笑ったのだが、松緑さんも染五郎さんも、キャラがどちらかというとあっさり、さっぱりしているので、全体に薄味な気がした。「らくだ」といえば、やはり勘三郎・三津五郎コンビが最高で、あんなに面白いらくだはもう見られないのかもしれない。「かんかんのう」ももっとインパクトがあったはずなんだけどな…。
「元禄花見踊」
吉野川にしてもだが、なぜこの時期に?
それはともかく、ビジュアル的にはだ~い満足。真っ暗な中、玉さまがセリ上がって一舞して、再び暗くなる。玉さまは桜の精かと思うほど美しかった。
ぱっと明るくなって、玉さまを中心に若手が勢揃い。後ろに演奏陣がずらりと並んだ華やかさ、まさにタイトル通りのイメージだ。若手の中で吉之助改め吉之丞さんが踊っている。技巧はわからないが、私は吉之丞さんの踊りがなんかのびのびしていて好き。
みなさんおっしゃるように、玉三郎学校だわね。玉三郎さんもこうして大勢の若手を育てていこうというお年になったのかしら。楽しかった。
<上演時間>「吉野川」117分(16301827)、休憩30分、「らくだ」46分(18571943)、幕間25分、「元禄花見踊」19分(20082027

追記:9月28日に行われた国立劇場50周年記念式典でも、歌舞伎からは幸四郎さんと梅玉さんによる「元禄花見踊」だったとか。

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