« 贅沢な観劇:「銀座復興」 | トップページ | 豪栄道関、おめでとう!! »

2016年9月23日 (金)

秀山祭昼の部

915日 秀山祭九月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
「碁盤忠信」
5
年前の日生劇場での上演、覚えていると思ったら、何と勘違いしていたのか、記憶にあったものと全然違っていた。つまりまったく覚えていなかったことになる(レオン・パパ様ごめんなさい、えらそうに覚えていますなんて)。で、1週間前の観劇なのに、今でもかなり忘れている。多分日生で見た時よりずっと面白かったんだと思うけど、私の頭では覚えにくい内容なのかなあ。それでも、今回の公演を何度も反芻しているうちに、小柴入道が忠信の奥さんのお父さんで、忠信を討ち取ろうとしているとか、少しだけ記憶が甦ってきた。
だんまりは好きだから楽しめたが、この鳥野辺の場が何のためにあるのかよくわからない(堀川御所との関連が…。だから記憶が薄れてしまうのかも)。義経と静御前は日生では出てきたが今回は出ていないのね。その辺も覚えていない…。
え~と、で、私はいったい何と勘違いしていたのか、ふっと思い出した。「碁盤太平記」だ!! こっちも染五郎さんだったのでごっちゃになったんだわ。
忠信の染五郎さんは線の細さが感じられず、大きさが出てきた。松緑さんの横川覚範とのツーショットは衣裳が赤と黒で絵になる。
「吉野川」用の両花道が効果的に使われていたのがよかった。
「太刀盗人」
この狂言は芝居であるにもかかわらず、盗人の狡さにイラっときて、あまり好きではない。盗人の又五郎さんは出てきた時から可笑し味たっぷりだが、田舎者をあまりにバカにしてるし、盗人が田舎者の言葉を盗み聞きして真似をして騙すのが許しがたい。それに気づかない目代(彌十郎)と従者(種之助)にもイラっとする。おうむ返ししてるんだから、気づけよ~、と心の中で何回も叫んでしまう。
とは言え、錦之助さん(田舎者)と又五郎さんの息がよく合って面白いことは面白い。又五郎さんはころころした体形がかわいいし、おうむ返しもオーバーでメリハリがあるので可笑し味が強く、許せない感がちょっと弱まってきた。錦之助さんと又五郎さんの踊りはソロでも連れ舞でも見応えがあった。
彌十郎さんの鷹揚さ、種之助クンの目端がききそうでいて肝心なところが抜けている(盗人に先にきけばいいのに)ところが面白い。いずれも品を落すことなくちょっとズレた感覚を見せているのがいい。
結局は田舎者が、盗人に先に言わせることに気づいて、バレてめでたし。と思いきや、刀は盗られてしまう。花道を逃げる又五郎さん、追いかける錦之助さん、舞台では長袴の裾を種之助クンに踏まれてひっくり返り怒る彌十郎さん、と笑える幕切れで、なんだ、好きじゃないと言ったくせにかなり楽しんだんじゃないか、ということでした。
「一條大蔵譚」
吉右衛門さんの大蔵卿はとにかく自然。阿呆も苦悩も自然。作り阿呆の間は苦悩を見せてはいけないわけだから、そこに作為は感じられすごく自然なんである。しかし本心を見せた大蔵卿からは自分の背負ったものに対する気持ちがにじみ出ていて、そんな大蔵卿に男らしささえ感じてしまった。常盤がそれに気づいていたかどうか知らないが、そういう夫を持ったことは、常盤にとっても幸せだと思う。魁春さんの常盤は品位が高く、悲しみながらも自分の宿命を受け入れて生きていく強さを感じさせた。
鬼次郎とお京――菊之助、梅枝というカップルがとてもよかったな。
2人の任務(誰に命令されたわけじゃないけど)とは別に、若い夫婦としての結びつきの強さが感じられた。菊五郎×時蔵みたいに、この2人にも濃密な空気の流れるときがくるのかもしれない。
勘解由の吉之助さん、じゃなかった、吉之丞さんのこういう役は好きだ。
それにしても、「曲舞」を又見たいものだ。
<上演時間>「碁盤忠信」78分(11001218)、休憩35分、「太刀盗人」42分(12531335)、幕間20分、「一條大蔵譚」85分(13551520

|
|

« 贅沢な観劇:「銀座復興」 | トップページ | 豪栄道関、おめでとう!! »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 贅沢な観劇:「銀座復興」 | トップページ | 豪栄道関、おめでとう!! »