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2016年10月29日 (土)

お宝いっぱい:「日本映画の歴史」、「角川映画の40年」

1027日 「日本映画の歴史」~「角川映画の40年」(東京国立近代美術館フィルムセンター)
161028kadokawa フィルムセンターへは2度目。角川映画にはさほど思い入れがないのだが、チケットがたまたま手に入ったので行ってみた。すると、角川の前に見るようになっている常設展の「日本映画の歴史」(詳細は→ココ)がすごくよくて、鑑賞時間の大半をこっちに使ってしまった。
まずは「写し絵」。8月に雷雨避難で見た江戸博の映像が奇しくも「写し絵」だったことから、内心大いに盛り上がった。あの時映像を見ていなかったらピンともこないし、関心も薄かったに違いない。風呂という幻灯器、ランプ、見台、拍子木、ドラ、鉦、絵の描かれたガラス板等々、写し絵に必要な道具が展示されていて、大変興味深かった。
そして、なんと、2009年の発表以来見たくてたまらなかったのに見る機会がなかった映像に、ついに巡り合えた!! それは日本人が撮影した現存する最古の映像、1899年(明治32年)11月歌舞伎座公演終了後に撮影技師柴田常吉によって撮影された「紅葉狩」である。小さな画面ではあるが、エンドレスに流れていて何度でも楽しめる(画像が粗いから小さな画面でちょうどいい)。出演は、更級姫=九代目市川團十郎、平維茂=五代目尾上菊五郎、風神=六代目尾上菊五郎(この当時は二代目尾上丑之助)、後見=市川進十郎(三代目でしょうか)。團十郎は、二枚扇の1枚を落したり、扇投げでもミスがあったりしたが(これもナマの映像の魅力だと思う)、維茂と鬼女の立ち回りは迫力十分で見応えがあった。少年丑之助の踊りが見事で、もうこの頃から巧さを見せていたのはさすがだと思った。上映時間6分。
明治時代、記録映画もできていた。「日本南極探検」(1912=明治45年)は白瀬中尉の第2次探検隊(19111912)の記録映像で、氷山の前を歩く人影が氷山の大きさを伝え、つらい日々であったろう中にペンギンとたわむれる隊員の姿にちょっとほっとするものを感じた。
四谷第四福宝館で上映された「ジゴマ」(1911)のプログラムを見つけた時、父を思った。怪盗モノ、怪人モノが大好きだった父からジゴマの名を聞いた幼い頃の思い出が甦ってきたのだ。
日本最初の映画スター、尾上松之助(18751926)のコーナーも。これも父の記憶を甦らせる。小さい頃よく「目玉の松ちゃん」の話を聞かされたものだ。目玉の松ちゃんは、歌舞伎役者時代に牧野省三に見いだされる。最初の出演映画は「碁盤忠信」だそうだ。上映されていたのは「忠臣蔵」(上映時間4分)で、松ちゃんは内蔵助、内匠頭、清水一角の3役を演じている。歌舞伎ファンとしても嬉しいが、父がこの展覧会を見たらどんなに喜んだことだろう、とたまらない思いになった。
日活の松之助に対し、天活(天然色活動写真株式会社)のスターは澤村四郎五郎。この役者さんのことは知らなかったが、三代目高砂屋福助(二代目梅玉)の門人で、歌舞伎の名門で修業を積んだ若手が、当時地位の低かった映画俳優に転身するのは珍しいことだったそうだ。上映作品は1915年(大正4年)吉野二郎監督「五郎正宗孝子伝」(上映時間6分)。天活映画でフィルムがほぼ完全に現存している唯一の作品なんだとか。天活の時代劇は日暮里撮影所で撮影されていたが、後に巣鴨撮影所に移ったそうだ。15年ほど巣鴨に住んでいた私としては、今はない天活が急に身近に感じられたのだった。
記録映画・ニュース映画は日露戦争から始まって、南極、そして関東大震災へと貴重な記録を残している。

紹介しきれないほど色々あるので、飛ばしてアニメーションへ。日本のコマ取りアニメ代作は1917年(大正6年)公開の「芋川椋三玄関番の巻」だが、その時代の作品は行方不明になっている。上映されていたのは「なまくら刀」(1917年)と「浦島太郎」(1918年)でなかなか面白かった。「なまくら刀」は2007年に発見されてデジタル修復された。上映時間は2本合わせて3分。
上映作品を全部見たかったのだが、「GOEMON」を見る前の1時間くらいみておけば十分だろうと踏んだのが間違い。時間切れで途中からけっこう急ぎ足になってしまった。
特別出品:「戦艦ポチョムキン」の監督として有名なセルゲイ・エイゼンシュテインからソビエト映画研究家・袋一平宛ての直筆手紙が展示してあった。メキシコから送られてきた手紙で、同封の「メキシコ万歳」(1979年、エイゼンシュテイン没後に公開)撮影時のスナップ写真も展示されていた。袋一平はソ連に行った時エイゼンシュテインに会えなくて、それを知ったエイゼンシュテインが手紙を送ったようだ。有名な方だったんだろう。
展示は珍しい撮影機器や映画のポスターなんかもあって、もう一度時間を十分取って見に行きたいと思った。
161028inugami 「角川映画の40年」(詳細は→ココ)は好きな人にはお宝展示。3人娘はやっぱりかわいい。中でも薬師丸ひろ子さんの可愛さは特筆ものだ。さほど思い入れはないと言ったものの、ほとんどどの映画も、見てはいなくても知っているし、ヒット作品ばかり。ポスターを見るとテンション上がる。角川映画の力というものに感銘を受けた。上映作品は「人間の証明」(1977)、「セーラー服と機関銃 完璧版」(1982)、「汚れた英雄」(1982)、「幻魔大戦」(1983)、「時をかける少女」(1983)の予告篇。この展示は1030日までなのであと1日で終わり。日本映画でエネルギーをかなり消耗したので割とさっと眺めてきてしまったが、もっとちゃんと見ればよかった(予告篇も「汚れた英雄」をちょっとだけしか見なかった。「幻魔大戦」は仕事で小説を読んだことを思い出したのは外へ出てからだった)。

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