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2016年10月30日 (日)

エンタメ歌舞伎を満喫:「GOEMON」

1027日 「GOEMON」千穐楽(新橋演舞場)
前日の重苦しい丸本歌舞伎からほぼ1日後、「GOEMON」は180度反対のエンタメ歌舞伎と言おうか。千穐楽のこの席、よく取れたなあと我ながら感心。
舞台は幕が下りていなくて、青色ダイオードの十字架が置かれているのは前回平成2610月の大阪と同じ(細かい違いはあったかもしれない。大阪は写真撮ったけど、今回は撮らなかった)。
大阪と今回と違いはあるかもしれないが、大阪の感想はそれとして、今回の感想を。ちなみに、大阪では「つばさ」とかかっていた大向こうが今回は「出雲屋」となっていた。翼クン、ついに屋号をもったんだ!!
第一部
吉弥さん(石田局)はきれいで、翼クン(カルデロン神父)との年齢差を感じなかった。ただ、宣教師を狂わせる色気がもう少しあってもいいのかなあと思ったが、その一方で、清潔感があって知的なところが逆にカルデロンにとって魅力なのかもしれないとも思った。
女犯の罪を恥じ、石田局と別れる決心をしたカルデロンが、子を宿したという石田局の告白に、その決意を翻し、イエズス会の許可を得て神職を辞す。
唐突とも思える千壽さんの口上で7年が経ったことがわかる。一家3人は仲睦まじく暮らしているが、幸せは長くは続かない。
母子の別れの場はやや長い気もしたが、千太郎クン(友市。大阪では若山耀人クン)のか細い声が、両親と引き裂かれる悲しみ、寂しさ、心細さを感じさせて哀れであった。父と子の別れは悲しかった。カルデロンの子への思いが痛切に胸を打って泣きそうになった。舞台に1人取り残された千太郎クンが孤独感を漂わせていたのは立派だ。
舞台は、盆がまわってスペインへ。千太郎クンはそのまま盆の後ろ側に残り、フラメンコが始まるとともに下手へ去ったのが余韻を残した。
佐藤さんのフラメンコが素晴らしい。佐藤さんへの大向こうは「イスパニ屋」かと思ったが、単純に「イスパニヤ」と言っていたみたい。
鴈治郎さん(未だに翫雀さんと思ってしまい、なかなか鴈治郎の名前が出てこなかった)の秀吉は残忍さとコミカルな恐妻家の両面とうまくミックスさせていたのがさすが。
吉太朗クンが成長していたのにはびっくりした。子供が三成役?と懸念したが、子供ではなくなっていた(でもまだ15歳なんだよね)。ただ、加藤虎之助の種之助クンと比べるとやはり種之助クンのほうが、余裕という面も含めて上なのは、場数の違いによるものかもしれない。でも吉太朗クン、生き生きととても頑張っていたし、今後も大いに期待している。種之助クンは、いつもお父さんに似ているのだが、今回初めてお兄さんにも似ていることを発見。
阿国の壱太郎クンがきれいで華がある。踊りもよかった。秀吉の前で踊った際、投げた扇を取り損なって扇が舞台前方まで飛んでしまった。そこへちょうど北政所が来ると言う虎之助の注進で大騒ぎとなったため、このハプニングはさほど意識されないですんだと思う。阿国を葛籠の中に隠すのはいいが扇はどうするんだろうと心配したら、鴈治郎さんが拾って葛籠の阿国に渡していた。秀吉としては大慌ての状態なのに役者としてはさすが落ち着いている。
大阪公演との最大の違いは、霧隠才蔵が出てきたこと。才蔵役は最初誰だろうとわからなかったが、しばらく考えてから翼クンだと気がついた。それくらい歌舞伎にも立ち回りにも馴染んでいて、線も太く、素敵だった。カルデロン神父よりいいかも。五右衛門(もうこの時には、愛之助さんの五右衛門になっている)との友情でも、なんかいいなあと思わせるものをもっていた。
葛籠抜けはせっかくよく見える席を取ったのに、宙乗り小屋に入る少し前に愛之助さんが反対方向を向いてしまい、最後の盛り上がりに盛り上がれなかったのは非常に残念。第一部が終わっても宙乗り小屋の下の隙間からドライアイスの煙が漂っていたのを見て心を慰めた。

第二部
イスパニアの酒場。孤独に酒浸りになっているカルデロンは、幻想の中で友市とフラメンコを踊る。千太郎クンのフラメンコがうまくて悲しげで切なかった。
「鞘当」の名古屋山三は吉弥さん(大阪でもそうだったのに忘れてた)。吉弥さんの立役は珍しいが、女方だから白塗りが似合うし、なよなよしていなくて柔らかな男らしさがあって、よかった。
自分の踊りがマンネリズムに陥っていると悩む阿国に、五右衛門がフラメンコを教える。阿国は最初難しそうに五右衛門の真似をしているが(上手に踊れるものを踊れないように演技するのは大変だろうな)、五右衛門の手拍子に合わせてだんだん踊れるようになる。客席も五右衛門に合わせて手拍子を打つ。そこへカルデロンが加わって三人連れ舞になり、やがてカルデロンはスッポンに消え、五右衛門と阿国のデュエットとなる。とてもとても楽しい場面だ。壱太郎クンのソロもかっこよかった。足袋で踊るのだが、顔が小さくてスリムだから、衣裳の動きも含めてとてもきれい。大阪では「女方の役者の踊るフラメンコ」と感想を書いたが、今回はそういう感じはしなかった。
ここは大薩摩とフラメンコ音楽のコラボで、三味線とギターがとても合う。カンテが胸にじんじん響いて興奮した(大向こうさん、ちょっと声掛け過ぎ)。
楼門では、セリの穴が2つあいていて(1つは楼門を伸ばしている穴、もう1つは山三と才蔵が上がってくる穴)、差し金の鷹を扱う黒衣さんが心配だった(あれ以来、奈落が不安で…)。鷹が運んできた手紙が父親からで、すぐにイスパニアに来いという内容。客席、笑う。
五右衛門を逃がすために、山三と才蔵、阿国が協力する。山三は舞台で立ち回り。その間にニセ五右衛門に扮した阿国と本物の五右衛門が2階座席に現れて大暴れ。東西座席は見えるが中央ブロックは見えないので客の歓声だけで諦めていたら、おおなんと五右衛門が3階東席に現れたではないか!! 角度的によ~く見えて感激、大満足。
後半はほとんどショー的立ち回りの連続。壱太郎クンが戸板みたいな板に乗り、捕手の1人も板に乗り、花道七三あたりで板上の立ち回り。危険な立ち回りへの果敢なチャレンジに大きな拍手を送った。
女性の群舞が素敵で見応えあった。
最後は、才蔵の鷹に乗った五右衛門が再び宙乗りでイスパニアへ旅立つ。もう興奮の拍手。又向こうを向かれちゃったけど、最後の最後小屋に入る直前にこっちを見てくれた。
カーテンコールでは全員が登場して、愛之助さん、壱太郎クン、種之助クン、寿治郎さん、佐藤さん、翼クン、吉弥さん、鴈治郎さんが一言ずつあいさつした(順番はどうだったか…)。吉弥さんが翼ファンに謝っていたのが面白かった。明日からは淋しくてどうしようって。翼クンは友市の千太郎クンと手をつないで引っこんだが、2度目(挨拶した役者さんだけ再登場)は吉弥さんと仲良く寄り添って引っこみ、笑いを取っていた(吉弥さん、謝らなくても大丈夫)。
カーテンコールは全員総立ちで、私も立った。これ見ると、スペイン熱が再燃するのよね。10月からのスペイン語講座録画してある(今回の外国語講座はこれまでになく面白いよ。ドイツ語はちょっと…だけど、イタリア語、フランス語も録画してある)。
5
回目の再演が期待できそうだが、5回目はまた何か新しいことがあるのかな。出雲屋の才蔵はこのまま登場させてほしいな。
<上演時間>第一部105分(16001745)、幕間35分、第二部80分(18201940
ミーハー的追記:開演前に紀香さんを見た。意外とオーラを消していたのか、演舞場の人がしっかりガードしていたせいなのか、タイミングのせいなのか、人だかりはしていなかった。

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