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2016年10月 8日 (土)

写真表現の多様性「トーマス・ルフ展」~見応えたっぷり「MOMAT」

104日 トーマス・ルフ展~MOMATコレクション展(東京国立近代美術館)
さほど関心があったわけではないのだが、チケットをもらったので。7日までの期限つきチケットで、毎度繰り返す駆け込み鑑賞(展覧会そのものは11月までやっている)。
意外と面白かった。
作品は「ポートレイト」「室内」「ハウス」「アザー・ポートレート」「ネガティブ」「ニュースペーパー・フォト」「夜」「jpeg」「l.m.v.d.r」「ヌード」「zycles」「フォトグラム」「星」「基層」「ma.r.s」「カッシーニ」「press++」「ステレオフォト」というジャンル(と言っていいのかな)に分かれている。
作品はサイズの大きいものが多い。「ポートレイト」はルフの友人たちを写したものだが、210×160cmという大きさに引き伸ばされている。全体にルフの作品は写真そのものを鑑賞するというより、写真の技術、あるいは加工技術(引き伸ばしとか、ネガを画像とするとか、新聞写真から文字の要素を全部取り除くとか…。全部説明するのはむずかしい)により元の写真に対する印象がどう変わるかということを追究しているような気がする。だから、ルフのオリジナル写真もあれば、すでに発表されている別人の写真をルフなりに加工した作品もある。本当は全部を紹介すればルフの面白さがわかってもらえると思うのだけど、そうもいかないので、ほんの3点を(全点、写真OKなのだ)。
ポスターにもなっている「ポートレイト」の彼(いや、彼女かも)(写真①)、ポスターを見たことのある人には有名人になっただろうな、というくらいインパクトある。私はかの人物がルフだと思っていた。でもよく見ると女性よねえ。「アザー・ポートレート」は実際にドイツの警察で使われていたモンタージュ写真合成機(今はもう使われていない旧式の画像合成機)によって、実在する人物の写真をもとに合成した写真だそうで、「ポートレイト」とは全然違う印象を受けた。実在する人物の写真でありながら、実際には存在しない人物の写真――何とも気持ちが悪い、ちょっと不快感を催す。
jpeg」は主にウェブサイトからダウンロードしたjpeg画像をもとに他の画像を加えて画像密度を極端に下げ、さらに大きく引き伸ばしているため、離れて見ると普通の写真のようでも近づいて見ると1点1点のブロックがはっきり見える。展示作品が911(写真②)と火山の噴火のためか、なんだか普通の写真より厳粛な気持ちになった。
「カッシーニ」はNASAが公開している宇宙探査船カッシーニによる画像を基にしている。とてもきれいで私は好きである。
しかし「基層」になるともうついていけない。日本の成人向けコミックやアニメから取り込んだ画像を幾重にもかけ合わせたうえに別の画像と合成するなどして奇妙に見える作品を生んだ。
「ニュースペーパー・フォト」が、報道写真から文字を排除した作品である一方で、「press++」は日本やアメリカの報道機関から入手した写真原稿の画像面と裏面をスキャンして合成したという(写真③)。アイディアが豊かなんだなと思う。
遅くなったけれど、トーマス・ルフはドイツ人写真家。写真展を見て撮った写真が相変わらずヘタなので、関心のある方は→ココをご覧ください。。

ルフを見た後は、常設展のMOMATへ(ここも基本、写真OK)。
展示をだいぶ入れ替えたそうで、第1室「ハイライト」は秋色な感じ。展示作品がたくさんあり過ぎてどれを見たらいいかわからない、とか短時間で有名な作品だけさっと見たいという声に応えたコーナーである。だから当然ながら見応えのある作品がいっぱい(速水御舟「京の家」「奈良の家」、川合玉堂「彩雨」がとくに嬉しい)。でも、これだけで帰っちゃもったいない。
2室は「沸騰する視覚」。私の好きなのは古賀春江「海」だが、尾竹竹坡もいい。浅学にして知らなかった。
3室は「恋とクリームパン」なんていう思わせぶりなタイトルがついている。新宿中村屋創業者の相馬愛蔵・黒光夫妻が開いていたサロンで活動していた若い芸術家たちの作品。大正デモクラシーの自由な空気の中、黒光は中村彜(つね)と荻原守衛という2人の若い芸術家に愛されたようで、魅力的なマダムを囲む若い芸術家たちという図式はフランスのサロンを思い出させる。日本初のクリームパンは中村屋が明治37年に作ったんですって。
4室は「山を感じる―畔地梅太郎の世界」。今年から祝日となった山の日にちなんでの展示だそうだ。畦地梅太郎も知らなかった。なかなか面白い絵です。
以下、疲れてきたので(風邪をひいていて、咳がひどく、苦しい)、→ココを見てください(丸投げだ)。
そうそう、第10室「夜と月」の太田聴雨「星を見る女性」が大変興味深い。絵面もきれいで好き。

161008ruff1
①Porträt(P.Stadtbaäumer)。これは看板だけれど、実際の作品は210.0×165.0cm。
161008ruff2
②jpeg.msh01,2004。サイズは276.0×188.0cm
これだけ引き伸ばしてあるのだ!!
161008ruff3
③press++11.02,2016。サイズは232.0×185.0cm。

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