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2016年10月 4日 (火)

千載一遇の好機:櫟野寺「平安の秘仏」

928日 「平安の秘仏」(東京国立博物館本館)「木々との対話」(東京都美術館)
161004rakuyaji_2 「木々との対話」が102日までなので、また駆け込みで。本当はその後近美へ行くつもりでいたのだけど、時間がなくなりそうだったので同じ上野で公開中の秘仏を見に行くことにした。こちらは1211日までやっているから、私としては珍しく早々と鑑賞したことになる。都美→トーハクか、トーハク→都美か。歩きたくない私はちょうど来ためぐりんバスで、まずトーハクへ。今日は秘仏について。

去年の「みちのくの仏像」と多分同じ展示室。1室に櫟野寺の大事な仏像たちが20体、静謐な空気の中で秘仏拝観をと期待したけれど、意外にも人が多くて…。もっとも私もその多い人の1人だから…。それに渋滞するような混雑ではなく、十分じっくり拝観できる。11体の仏像と対面していると、自分だけの世界に入って、人の多さは忘れられる。いつもは借りない音声ガイドを、みうらじゅん×いとうせいこうの仏像トークが聞きたくて借りたら、藤村紀子さんのナレーションが静かな語り口で心地よく耳に入ってきて、二度得した気分になった。
みうら・いとうトークでは、櫟野寺の先代ご住職が大変ユニークな方だったそうで、仏像トークというよりは住職トーク(ご住職のお名前が三浦さん!!)中心みたいで、何度も噴き出しそうになって大いに困った。甲賀市にある櫟野寺はアクセスが悪いとのことで、そう簡単には行かれないらしい。また、ご本尊を拝観することもなかなか叶わないのだそうだ(ご本尊を拝観できる条件は、音声ガイドのトークを聞いてください。言いたいけれど営業妨害になるといけないから)。だから今回ご本尊も含め重文20体もの仏像が東京で一堂にそろったのは千載一遇のチャンス。櫟野寺では現在収蔵庫の改修が行われており、そのおかげでこのような好機にめぐりあえたというわけだ。

展示室に入るとまず、十一面観音菩薩坐像にはっとさせられる。ご本体だけで3.12メートルある大きな大きな像だ。圧倒的であるにもかかわらず威圧感はまったくない。端正なお顔で私を見下ろしている。頭上の十一面のうち、光背に隠れてよく見えない「大笑面」はかあっと目を見開き、笑っているんだか怒っているんだか。この十一面観音は「丈六仏」だそう。丈六は約4.8メートルで、これは立ち姿での大きさ。したがって坐像はその半分の2.4メートルになるわけで、この観音坐像の3.12メートルは丈六に合わない。ところが、髪際(ほっさい)の正面中央から像の底までは約2.4メートルで間違いなく丈六なのだそうだ。日本では平安時代頃から髪際から測ることが多かったのだとか。この解説はなかなか興味深かった。本像は、頭から胴の中心部分は檜の一本彫りなんだそうだ。
この像ほど大きくはないが薬師如来坐像は穏やかな姿に包まれる感じ。
地蔵菩薩坐像が好き。顔は薬師如来坐像に似ている。
毘沙門天立像は、坂上田村麻呂発願とのことで、「田村毘沙門」として信仰を集めているそうだ。この毘沙門天の宝塔を持つ左手がかなり高い位置にあって、毘沙門さまはそれをじっと見つめておられる。いとうさんの感想が「ワイングラスみたい」だそうで、ここでも噴き出しかけた(それくらいの仏像トークは披露してもいいかな)。でも、あんな怖いお顔でワイングラスを見つめておられるとは…。体躯が厚くしっかりしていて頼もしい。
何体かある観音菩薩立像、地蔵菩薩立像などはそれぞれ時代によって異なる体つきや表情、裳の表現を楽しめる(楽しむなんて言ったら不謹慎かしら)。
とにかく、この展覧会、一見の価値ありです。私、行かれたらぜひもう一度と思っている。

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