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2017年1月 5日 (木)

1月演舞場昼の部

15日 壽 新春大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
170105embujo1 今年の芝居はじめ。
「雙生隅田川」
昭和60年の公演は前に歌舞伎チャンネルでやっていたのをDVDに入れたんだけど、どこにいっちゃったのかしら。

次郎坊天狗が誰だか全然わからなかった。立役にしては声がやさしいし、班女の前に化けて出した声は完全に若女方の声だったし(すぐに天狗の正体をあらわして太い声に変わったけど)。掛け声で判断しようと思ったが「しや」しか聞こえない。美吉屋なわけないし、明石屋…とまで考えついたのになぜか廣松クンいう発想が湧かなかった。
局長尾(笑三郎)に連れられて梅若丸が登場した途端、「うこんっ」の掛け声。わかっていたのに思わず「あっ、そうだ。右近さんじゃなくて右近クンなんだっけ」と身を乗り出してしまった。
右近クンがとにかくかわいい。まだちょっと全体にテンポの悪いところはあるが、右近クンの可愛さ、うまさに魅了された。梅若丸と松若丸の2役で早替りもある難しい役どころを上手にこなしているのを見ると、もうすでに澤瀉屋の芸を受け継いでいるのだなあと思う。
序幕で小布施主税が出てきた時、一瞬染五郎さんかと思った。染五郎さんは歌舞伎座だからそんなはずないのに。声で米吉クンとわかった。若衆姿が爽やかで美しく、梅若丸を守ろうとする力強さが凛々しい。
男女蔵さん(淡路前司兼成)が声も顔も左團次さんにそっくり。いい老忠臣だった。
勅使大江匡房の中車さんは喋るたびに烏帽子の纓が揺れるのが妙に気になってしまったが、12月からさらに歌舞伎に馴染んできているように思った。新歌舞伎だけでなくこういう役もどんどんやれると嬉しい。
170105embujo2 二幕目では10分ほど経った頃、宙乗り小屋でそこそこ大きな物音がしたのでもう宙乗りがあるのかと思ったら、まだまだ全然後なのであった。
二幕目は猿島惣太の右團次さんが登場。役とはいえ、梅若を折檻するのはつらかったのではないかしら。命乞いをし、惣太の体に必死にしがみつく梅若がいじらしく哀れだった。右近クンの千松を見たい。
惣太は人買い業をしているが、元は吉田家の家臣だった。自分が死に至らしめた稚児が主家の若君だと訪ねてきたやはり吉田家の家臣・県権正武国(海老蔵)に知らされ、慟哭し、自ら腹を切って死を遂げる。惣太がため込んだ無数の小判が天井から降り注ぎ、腹の血と相俟って、また引きちぎったはらわたが人魂となり、壮絶な死の場面であった。惣太の一念は七郎天狗となって松若を探し出すことを約束する。この場面、惣太の最期を見届ける海老蔵さんの大きさが光った。惣太女房・唐糸の笑也さんの透明感‼

第三幕前半は梅若をさらわれて狂った班女が舞う。残念ながらここで眠くなってしまった。目が覚めてから見た部分では子を亡くした母の悲しみがよく伝わって哀れだった。ちゃんと見ればよかったけど、眠気に耐えられなかった。右近クンはここでも梅若(亡霊)と松若を早替りで演じて大活躍。松若が「かかさま、おなつかしゅうございます」と言ったら客席がどよめいた。右近クンが可愛くて、セリフによっては微笑ましさの笑いというかどよめきが起こるのだ。
さあ、いよいよ右近・松若を真ん中にして右團次・天狗、猿之助・班女の3人宙乗り。私の席に一番近いのは右團次さんで、目の前でヤマトタケルを見た時のことを思い出した。右近クンは天狗がうちわ、班女が扇を動かしているのと同じように右手をひらりひらりと返していたし、3人が落ちそうになって慌てる場面でもちゃんと一緒に慌てていて感心した。
「ご立派」「お見事」などの掛け声が、多分右近クンに対してだろうが飛んでいた。でも「大統領っ」ってのはどうなの?

大詰。次郎坊天狗は通力が封じ込められたことで、もう二度と吉田家に祟らないと言って帰っていく。その後、笑三郎さんと米吉クンの、右團次さんが得意とする鯉つかみをやるので最後までご覧くださいという口上があった。右團次さんの鯉つかみは3役目の軍介という水連が巧みな奴。
準備のため舞台が道具幕で隠されている間、花道で猿弥さん(勘解由兵衛景逸。この悪臣が梅若の悲劇のもと。梅若をそそのかして朝廷よりお預かりの「鯉魚の一軸」から鯉を抜け出させたうえ、松若・梅若の父を殺したのもこいつ)が手下に「襲名だって遠慮はいらぬ」と軍介をやっつけるようけしかける。道具幕の中では大道具を設える音に加えてけっこう大きな声が聞こえてきた。
さて準備は整い、道具幕が上手から下手へ開く。本水を使っての鯉との立ち回りだが、多数の穴から噴き出す水が足が濡れる程度にたまるだけで、逆に鯉がやりにくいような気がした。3階からは鯉を扱う裏方が丸見えで面白かった。何とか鯉をつかまえて目玉をくりぬくと、鯉は絵の中に戻っていった。そこから今度は景逸の手下と軍介の立ち回り。軍介が4人に担がれると、後ろの滝が倒れ、今度は大量の水が‼ 猿弥さんと右團次さんが争う中、松若が大江匡房と現れ、景逸を刺して父の敵を討ち、めでたしめでたし。

右近クンがやった役はかつて亀治郎さん(当時はクンか)がやった役だし、右近クンがこんなに上手に演じたのを見たら、本当に将来が楽しみ。梅若はかわいそうだったけれど、全体に楽しかったし、右團次さんとの絡みもたくさんあって、右團次・右近親子同時襲名の演目としてぴったりだと思った。
リピートしたいけどむずかしいかなあ。
祝い幕は序幕後の幕間で披露された。母校を同じくする者として「三田会有志より」は嬉しい。二幕目開幕直前、祝い幕は定式幕に替えられた(写真は夜の部にも出すから今回は小さめで)。
ところで、今日は御社の日だった。私がお見かけしたのは保先生だけだったけど。
<上演時間>発端・序幕65分(11001205)、幕間30分、二幕目45分(12351320)、幕間25分、三幕目35分(13451420)、幕間15分、大詰30分(14351505

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コメント

Fujisannさま
こんにちは。昨日私も演舞場の昼みてきました。数十年ぶりのこの演目ですが、今回はかなりコンパクトで、見ているほうも疲れず、三人宙乗り、本水、結構楽しめました。海老蔵以外は、澤瀉屋主体で無人ともいえる座組ですが、右團次以下、熱演でした。右近も上手でしたね。
今月の演舞場、夜の部、終演が夜9時20分とのこと、冬の芝居としては遅すぎます。それでなくとも、今月は見に行く劇場が多いので、なるべく疲れないようにしたいものです。結局、浅草の第2部以外の歌舞伎をみるつもりですので、健康管理も大事です。
風邪が流行っています。劇場でもせきをする人が多いです。Fujisanさんも健康に十分ご留意ください。

投稿: レオン・パパ | 2017年1月 8日 (日) 09時54分

レオン・パパ様
こんにちは。コメントありがとうございます。
演舞場昼の部、楽しかったですね。ほとんど予備知識なく見ましたが(DVDで見た前の公演の記憶は…)、吉田家の話でもあるし、わかりやすく、ケレンもたっぷりで、たしかに疲れることがありませんでした。澤瀉屋の力が十分発揮されていましたよね。

そうなんです、夜の部の終演‼ 遅すぎます。家に帰るのが11時近くなりそう。それでも「黒塚」は見逃せないし。覚悟して見に行きます。歌舞伎座の昼の部も長いんですよね~。

1月はスケジュールを組むのが本当に大変。レオン・パパ様は浅草第2部はご覧にならないのですね。浅草は時間的には1日で見たいところですが、やはりそれでは疲れるし、というところでなかなか難しいですよね。私は三越の新派が入りそうもありません。

風邪にはとても神経を使っています。マスクは外出時の必需品ですし、手洗い、うがい、そして今年から帰宅したら鼻ノアを始めました。それでもここ数日の寒さで危ない感じです。
お互い、健康第一で楽しく観劇したいですね。

投稿: SwingingFujisan | 2017年1月 8日 (日) 11時04分

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