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2017年1月26日 (木)

一月演舞場夜の部

123日 壽新春大歌舞伎夜の部(新橋演舞場)
「義賢最期」
久しぶりにスケールの大きな海老蔵ワールドを堪能した。「義賢最期」自体も久しぶりに見たような気がしたこともあってか(前回が平成2612月で、ずっと愛之助さんで見ていたんだ、海老蔵さんは209月以来)、とても面白かった。
海老蔵さんはスケールが大きいだけでなく、感情表現も伝わってくるものがあった。兄・義朝の髑髏の場面、待宵姫(米吉)を落としてやる場面、妻との別れなど、海老蔵さんのおかげでドラマが盛り上がり、わかっている展開にもハラハラドキドキして、興奮した。この演目は立ち回りが見どころではあるものの、そこへ至るまでの約1時間、まったく退屈することがなかった。「腹の我が子にただ一目、こればっかりは残念じゃわい」が泣ける。
中車さんがいよいよ義太夫狂言に登場‼ 待宵姫の米吉クンとはちょっとバランスが悪いため2人のやりとりは今一つだったが、義賢との本音の語り合いはなかなかだったと思う。その頑張りを評価したい。
父の覚悟を知って必死に止める待宵、言うことをきかぬ娘に父が「ここで切腹しようか」と脅すと涙ながらに「謝りました謝りました」とそれでもまだ覚悟が決まらない待宵は切なくて胸打たれた。
九郎助(市蔵)の背中の太郎吉が可愛い。そういえば、この子が将来実盛を討つ侍になるんだっけと、ふと思い出した。
右之助さんの葵御前は矢走兵内(猿弥)が剽軽に何かやっている間、また小万(笑三郎)がタンカを切っている間、小万が戦っている間、後ろを向いたままじっと動かずにいたその後ろ姿がとてもとても美しかった。
笑三郎さんの小万はぴったりのニンだと思った。
「口上」
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だいぶ端折ってご紹介。

梅玉:新右團次さんの芸風は猿翁にいさんに似て明快、華もある。新右近ちゃんはこれからが役者のスタートだがまずは舞台を好きになっておとうさんのような役者に。
猿之助:(この襲名は)広く人材育成に努めてきた伯父猿翁のみならず我々にとっても有難い。新右近ちゃん、史上最年少6歳にて早替り・宙乗りがある。昼の部も見て。
男女蔵:本来なら父左團次が列座するところだが、歌舞伎座出演中のため自分が列座。右團次家と左團次家は芸の上で親戚であり、懐かしい名前が復活して父も喜んでいる。
右之助:祖父の名前が81年ぶりに復活したことは孫としても嬉しい。新右團次、二代目右近をよろしく。(自分のところの名前だからか、「さん」はつけなかった)
海老蔵:右團次さんとはたびたび舞台で一緒。慙紅葉などを教わった大恩人でもある。今日は猿翁さんも見ている。右團次さんはファッション、半身浴、アンティークカーの話をよくする。半身浴は自分も好きだから、一緒に入りたい。アンティークカーは門之助さんと楽しく話している。大活躍・元気の素は?ときくと、肉だと答える。右近ちゃんはから揚げ。右團次さんの好きなローストビーフ、右近ちゃんの好きなから揚げの入った襲名弁当をよろしく。襲名Tシャツは売り切れたそう。
門之助:クラシックカーの話は当ブログにて。自分は中学生で猿翁門下になったが、右團次さんは当時高校生で、顔を合わせない日は少なかった。
中車:父猿翁の許で41年に亘り、父を、澤瀉屋を支えてくれた右近さんの襲名は父が喜んでいる。父は列座できないが私がかわりに。自分が歌舞伎界に入ってから熱心に色々教えてくれて感謝しかない。
右團次:感謝。81年ぶりの名前に恥じぬよう励む。
右近:(「新右近さん、ご挨拶を」と父に促され)、立派に可愛らしく襲名の口上を述べた。「あ~げたてまつります」で裏声を出そうとするのがかわいすぎる。

「錣引」
ちょっと眠かった(夜の部でも眠くなるのよ)。付屋姫が襲われて救い出されるあたりが飛んだ。だいぶ寝たのかなあ。実は前回の上演(平成2312月)でも睡魔に襲われたのだった。面白い演目だと思うのに、どうしてだろう。前回から約5年、その前は昭和40年の上演だから、ちゃんと見ておきたかった。いつになるかわからないけど、次回はリベンジだ。
梅玉さんの勇猛な役は珍しい。でもあの拵えを見たら、「大物浦」の義経を思い出してしまった。景清は右團次さんにぴったりの役だと思った。
「黒塚」
訳あって「黒塚」だけ花道近くの席で見ることができた。「黒塚」に限って花道モニターを使わない、とタイムテーブルに断り書きがあったから3階の住人としてはとてもありがたかった。
猿之助さんの老女が糸をつむいでいるのを見ただけで、体からにじみ出る孤独感に泣けた。40を出たばかりの男性にどうしてこんな表現ができるんだろう。
芒の原で嬉しそうに踊る岩手のあどけなさ、これから彼女が直面する裏切りを思ったら又泣けてきた。信じた高僧までもが裏切るという事実、真実を知った岩手の絶望はいかばかりか。この絶望は夫の裏切りによる絶望よりも何倍も何十倍も深いのではないか。人の心の動きが舞でわかる猿之助さんのすごさ、そして身体能力のたかさ‼ しかし1階前方席の贅沢な欠点は、足元が見づらいこと。
右團次さんの阿闍梨はちょっと若いかなと思ったものの聖としての美しさ・あ品格があって、ありがたい気がした。でも、鬼女に戻る前に救ってほしかった。
中車さんが脇僧で、今度は舞踊劇に挑戦。多少もたつく箇所も見られたが、門之助さんに一生懸命ついていっている。セリフは1人だとややむずかしいかなという感じ(トーンが高いのかな…)を受けたが、門之助さんと揃って喋るとぴったり合って違和感はない。門之助さんもうまくリードしていたと思う。
猿弥さんの愛嬌たっぷりな強力は芝居にちゃんと溶け込んでいて、見応えあった。
「黒塚」、いいものを見た幸福感に浸った。
確かに終演2115は遅い、遅すぎるけれども、それぞれの演目には長さを感じなかった(いいものは長く感じない)ので、不満はない(初めのころに比べると「黒塚」が5分短縮されていた)。
<上演時間>「義賢最期」85分(16301755)、幕間25分、「口上」15分(18201835)、幕間30分、「錣引」40分(19051945)、幕間20分、「黒塚」70分(20052115

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