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2017年1月 9日 (月)

「しらぬい譚」

16日 「しらぬい譚」(国立劇場大劇場)
7
日までは曲芸か何かあるんじゃないかと思っていたが、腕時計が遅れていて、劇場に到着したのが10分前。曲芸じゃなくて獅子舞があったらしいけど、もう終わっていた。大急ぎで開演5分前に着席してふと前を見たら、宙乗りのワイヤーが花道から上手側へ斜めに張られているのに気がついた。距離は多少あるけど、ほぼ目の前を通ってくれるなと期待が高まった。
発端「若菜姫術譲りの場」
開幕すると場内は真っ暗。道成寺の鐘みたいなのが中央で斜めに置かれていて(海に沈んでいるらしい)、そこへ菊之助さん(海女・すずしろ)がロープで降りてきた。これもすずしろが海に潜ってきたということらしい。海とは気がつかなかった。
すずしろの体は山の中に移っており、土蜘蛛の精(彦三郎)から、すずしろは本当は豊後・大友宗麟の忘れ形見・若菜姫であり、大友家は筑前・菊地政行の策略で滅亡したことを聞かされる。そして土蜘蛛の精から妖術を受ける。
全体に物語はとてもわかりやすいのだけれど、この発端はやはり聞いておきたい。きっちり語っていた彦三郎さんはこの場だけの出演。
真っ暗な10分ほどが終わると、遅刻した客があちこちで席に着き始めた。
序幕「博多柳町独鈷屋の場」
問題の菊地家当主(政行の息子・貞行)は先代萩みたいに悪い家老・大友刑部(亀蔵)に唆されて廓通い。この貞行は忠臣・鳥山秋作(松緑)の諫言に不機嫌になったり、仕官したいという七草四郎(天草四郎か、七草粥かとツッコミ)という若者を秋作と戦わせて負けた四郎に仕官を許し秋作には蟄居を命じるというダメダメな殿。でも、この殿さま、亀三郎さんなのだ。ダメ殿でもいい役で嬉しい。声がよくてセリフがはっきりしているからほんと聞きやすい。
さて、この七草四郎も菊之助さん。ここから「十二夜」ばりの男女いったりきたりがあるかと期待したが、残念ながらそれはなかった。
菊地貞行ご執心の傾城・綾機の右近クン(もちろん尾上右近ね)がとてもきれい‼
二幕目「博多菊地館の場」「同 奥庭の場」
秋作の父・豊後之助(菊五郎)が刑部のたくらみと四郎の怪しさを見ぬき、貞行に先君の諌めを語って改心させる。父親の兜を目の前に出されたとはいえ、ずいぶん簡単に改心しちゃったなと思ったが、それだけ菊五郎さんに説得力があったんだろう。菊五郎さんはこの後、いつものように世話の場で何かやるかなと思ったら、終始豊後之助というきれいな重鎮の役だった。
足利義輝の娘狛姫に取りついた怪猫退治に必要な<花形の鏡>を四郎が室町幕府に届けることになっていたが、改心した貞行が秋作の蟄居を許し、その役を秋作に託す。秋作は四郎(実は若菜)と戦ったが、蜘蛛の糸に引っかかりその毒にやられてしまった。
若菜は蜘蛛の妖術で空へ消えて行く。もう宙乗りか‼ 菊ちゃんは1階・2階席のほうばかり見て、ちっともこっちを見てくれなかった。せっかく3階で目の前にワイヤーがあるのに。けっこう下に下がったりしていたので、2階席が一番よく見えたかも。

三幕目「博多鳥山邸奥座敷の場」
病で動けない秋作の介護をしているのは乳母の秋篠(時蔵)。その秋篠が秋作に恋心を打ち明ける。秋作には許婚の照葉(照手? 梅枝)がいるのに、その照葉と争い、照葉を押しのけて「私を女房にして~」と秋作に猛アタックする秋篠。客席は大笑い。もう、これは玉手御前でしょ、って最初からわかるからそうは笑えないけど、年増女のアタックぶりがあまりにストレートだから確かにコミカルに見えてしまう。私にとっては時蔵・梅枝親子が1人の男を取り合っているっていうのがキモだったけど。
酉の年、酉の日、酉の時刻に生まれた女(私の母、少なくとも年は酉)の肝臓の生血を飲めば治るということで、秋篠の犠牲で秋作の病は治る。治るどころか、力いっぱい元気になって、手水鉢を素手で割って見せる(素手だけど、石切かとツッコミ)。松緑さんのさっぱり、きっぱりしたニンが活きている、
四幕目「錦天満宮鳥居前の場」「室町御所の場」
第一場は筋に触れると長くなるので、世話のこの幕では菊十郎さんが参詣人の1人として元気な姿を見せていたことと、出ましたピコ太郎!!ってことだけに触れておこう。ピコ太郎は亀蔵さんだったけど、あんまりそっくりだったので、最初誰だかわからなかった。オペラグラスでしっかり除いて「ああ」とわかった次第。もうちょっと長くやってくれてもよかったな。案外、すぐに引っこんでしまったんだもの。筋書きを見たら「謎の参詣人」となっていた。
四幕目第一場と大詰は筋書きに変更があり、その部分を書いた紙が1枚入っていた。台本を買いに行ったら13日にならないと入らない、と言われたのは変更のせいだったか。
第二場は怪猫大暴れの場。足利狛姫(右近)の姿を借りた若狭国多田岳の山猫の精が、老女南木(萬次郎)を弄びついには命を奪うのは無量寺の化け猫のパロディ。萬次郎さんが吹替えと入れ替わるのが薄い御簾を通して見えちゃった。猫の精は右近クン2役。化粧が怖くなくて、むしろ髭がユーモラスな感じだった。猫四天と秋作との戦いは見応えあって楽しかった。危機一髪、最後に秋作が大猫をやっつける。
大詰「島原の塞の場」
海賊を味方につけた若菜軍と菊地軍の戦い。菊ちゃんが再び宙乗りで現れたのでビックリした。二幕目のあれで終わりかあとちょっと物足りなく思っていたから、嬉しかった。今度は宙乗り小屋から花道に向かっての逆方向で、途中吊られたままでのセリフもあった。
結局のところ、貞行が若菜に過去を謝罪し、足利義輝(時蔵)が大友家復興と所領安堵を約束して大団円。なのに、両家は後日雌雄を決するために再び戦場で相まみえるんだと。その必要ある? とツッコミ。
手拭撒きは3階最後列には無関係。単純に遠投を楽しんだ。
今年は菊五郎さん、時蔵さんの出番が少なかった。とはいえ、菊五郎さんは要所要所を締めていて、さすがの存在感であった。チャリ場で活躍することの多い團蔵さんは今年は真面目な役だけだった。そういえば、チャリというチャリはなくて、ピコ太郎だけだったかも。それでも十分面白かった。
<上演時間>「発端・序幕」35分(12001235)、「二幕目」40分(12401320)、幕間35分、「三幕目」25分(13551420)、幕間15分、「四幕目」40分(14351515)、幕間10分、「大詰」15分(15251540

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