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2017年2月 7日 (火)

二月歌舞伎座夜の部

26日 猿若祭二月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
初日・二日目は家庭の事情で出られず断念。とりあえず後のほうを取ったのだけど、やっぱり早く見たいから自分としては最早のこの日に。
「門出二人桃太郎」
170207iwaimaku 幼い兄弟の可愛さ、まわりを固める大人たちの豪華さ、さすが中村屋。
花道はバッチリだが上手側が見切れる席のため、時さまのおばあさんが流れてくる桃をすくい上げる場面が見えなかった。時さまのおばあさんも芝翫さん(まだハッシーって言っちゃう)のおじいさんもよく似合っていた。
子供たちが出てくると万雷の拍手で、セリフ11つに拍手が起こるのでセリフにかぶって聞き取れないことも。勘三郎さんへの思いと、2人があんまり可愛いから熱狂しちゃうよね。
勘太郎クンには感心した。七緒八で出た平成中村座の豆腐買娘の時(20155月)には、声が小さいとか「なかむらや」の掛け声の時おじじの方を見ていないとか、いろいろ注意されていたのに、今回は声もしっかり出ていたし、動きもきっちりできていた。見得がめっちゃ可愛いし、花道の引っこみもよかった。弟の長三郎クンをリードしているのにも感心した。前回は1人だったけれど今回は2人、おにいちゃんとして自分が頑張って、さらには弟を引っ張っていかなければ、という意識もあるのだろう。私も長女だからわかる部分がある。しかし2年も経たないうちにこれだけ成長するんだ。いや、2年って子供にとっては十二分に成長できる期間なんだ。
長三郎クンは小さい身体でおにいちゃんにくっついていながら、自分でもしっかり動いている。おにいちゃんの顔を見ながらセリフを言うのが本当にかわいらしい。
勘九郎さんはもちろんだが、七之助さんの2人に寄せる気持ちが見えるようでちょっとうるっときた。考えてみれば、この2人だってこういう時代があっての今なんだなぁ。
家来は染五郎・犬、松緑・猿、菊之助・雉と、もう歓喜。染五郎さんの化粧がコミカルで、「らしい」と思った(初演時の幸四郎さんの化粧はどうだったのだろう)。3人の踊りは合っていないけれど、3人で踊っているだけで嬉しかった。
それから菊五郎・魁春・梅玉・雀右衛門の豪華4人が桃太郎誕生のお祝いに花道から現れ、口上。菊五郎さんの口切で、魁春→彌十郎→雀右衛門→梅玉→染五郎→松緑→菊之助→時蔵→芝翫→七之助→勘九郎→勘太郎→長三郎。みんな型通りの挨拶の中で梅玉さんと染五郎さんがプチエピソードを入れていた。梅玉さんは「30年前、勘九郎・七之助が桃太郎をやったが当時の2人は可愛かった。今は憎らしいほど…」(終わりのほうは笑いと拍手で聞こえなかった。梅玉さんはソフトな早口で面白いことぶちこんでくるよね~。歌舞伎夜話聞きたかったけれど、その日は出られず諦めた)、染五郎さんは「前回の桃太郎では父幸四郎が犬をやり、58年前の先代勘三郎の初舞台では祖父がおじいさんをやった」(三代続くご縁! 歌舞伎だねえ)。
大薩摩は里長さん。
鬼が誰だかわからなかったら亀蔵さんと錦吾さんだったのね。最後、降参のしるしに宝をあげましょうと差し出す宝の多いこと‼ それまで微笑ましく見ていたこの芝居だったが、ここで突然、桃太郎噺に隠された意味(周知の意味か)を考えてしまった。ま、ヤボな話はやめておこう。
誰もが思うことだろうが、勘三郎さんに2人の門出を見てほしかった。親子3代での「桃太郎」を見せてほしかった。勘三郎さんの写真を目にするたびに、どうしてこの世にいないんだろう、って今でも泣けてくるよ。

「尼ヶ崎閑居」
さっきまで立見もいっぱいだった幕見席がガラガラとは言わないけれど、かなり空席が目立つ。
この演目も配役もまったく意識していなかったから、鴈治郎さんが出てきた時には本当にびっくりし、私がもつ十次郎のイメージとは大違いで大いにとまどった。アップで見なければ少しは違うかなとオペラグラスを使わないでいたが、元々眠くなりがちな演目だし、ついついうとうと時間が増えてしまった。十次郎は赤の着付けに紫の裃姿の時はまだしも、鎧姿にはちょっと…。
芝翫さんの光秀は確かに立派。ただ、竹で久吉と間違えて母を刺す場面はちょっと唐突感があった(ところどころ寝ていたからかもしれないけど)。
そういうわけで、本当に申し訳ない、書くべき感想が大してないのです。再見の際にリベンジできるかどうか、自信ない。
「梅ごよみ」
玉三郎さんと勘九郎さん(当時)で見た記憶はあり、あああれが「梅ごよみ」だったのかとついこの前意識した。上演は、私が歌舞伎を見始めた年の12月のことだった。玉三郎・勘九郎の2人の深川芸者が1人の男をめぐってガンガンやり合っていたこと(男みたいな言葉遣いの深川芸者のカッコよさ)、春猿さんが絡んでいたこと、色男は段治郎さんだったこと(段治郎さんはその年の7月「桜姫」で玉様の相手役に抜擢されて、再びの共演だった。もう段治郎さんを歌舞伎で見ることはできないんだなあと改めて残念に思った)、そして意外なラスト、この4点はけっこうしっかり覚えていたが、サイドストーリーというか肝心なことというか、悪人たちの話はまったく飛んでいた。
玉さまと勘三郎さん(ここは勘三郎の名で)の息の合った喧嘩っぷりとは比べられないかもしれないが、菊之助さんと勘九郎さんもなかなかで、文句なく面白かった。下駄打ちは「加賀見山」だね。菊ちゃんの仇っぽい美女役は久しぶりかも(1月は仇っぽいという感じじゃなかった)。何度もアップで見ちゃった。声は1月に少し変わったんじゃないかと懸念したが、今回は又鈴を転がすような声になっていた。深川芸者の心意気と男をとろけさすような色気、そしてどこかちょっと寂しげな感じ、菊ちゃんの魅力を堪能した(「しらぬい譚」をテレビで見たら、七草四郎が花形の鏡を受け取って花道を引っこむ時、菊ちゃん、ほくそ笑んでいた。ワルそうでいながらふっくらとした笑みがとてもよかったわ。3階席からは気がつかなかった)。
仇吉が丹治郎を見染める場面の舞台は実に見事だった。舞台一面川になった瞬間、「おお」と感動した。

勘九郎さんもとてもきれいで(おとうさんも同じ米八をやったのよね)、柔らかさがやや少ない分、深川芸者らしさがよく表れていたと思う。
染五郎さんはあっちの女を立てればこっちの女が立たずのモテモテ丹治郎にぴったり。モテすぎて女どうしの喧嘩におろおろし逃げ出すのが染五郎丹治郎らしくて可笑しい。
仇吉(菊之助)に加担する芸者の歌女之丞さんがちょっと蓮っ葉な感じで悪知恵をきかせ、うまい。
松之助さんを久ぶりに見たような気がして嬉しかった(11月の忠臣蔵に出ていたようだが、意識しなかった)。
児太郎クンの役(お蝶)が前回は春猿さんだったのね。児太郎クンってほんと背が高いんだ。染五郎さんより大きく見えた。途中までお蝶の人物像がはっきりしなくて混乱した。その原因の1つとして客席のお喋りがあるように思う。今回は3階席にお喋りをする人たちが何組かいて、小声ではあるんだろうけど、たびたび喋るし、すごく響くのよね、で、舞台の声を邪魔するし、舞台に集中できないし。お喋りをする人たちの共通点として、演奏中に声が高くなる(演奏も歌舞伎のうちなんだけど)、登場人物がやや小さめの早口の声で今どんな状況にあるかを喋っている時に喋る(とくに幕開き直後)。ここ、案外肝心のこと言っているから、聞き逃したくないんだよね。自分も意識しないところで迷惑をかけているかもしれないと思うから、たいがいのことにはガマンできるんだけど、今回はかなりストレスがたまった。
それでも全体に面白かったからいいか。でも9時近くの終演はやっぱり遅いかな。もう終わりそうだなという頃になるとあちこちで帰り支度を始める人たちが目立った。
ところで、幕見席はもっとガラガラに。時間が遅いこともあるだろうが、ちょっと残念。
<上演時間>「桃太郎」38分(16301708)、幕間25分、「尼ヶ崎閑居」73分(17331846)、幕間30分、「梅ごよみ」序幕9分(19161925)、幕間5分、二幕目・三幕目80分(19302050

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コメント

以下が「太十」の感想です。
はやり、途中から見せるのは乱暴ですよね!
光秀も竹藪から出るのが初めてのようになっていますけど、旅僧を追いかけてきているわけですので、その場面もないと本当はわかりにくい。役者の都合でいろいろと改悪されている点もあります。
(一方で三日月形の傷跡は七代目團十郎の工夫、大見得で笠を下に引いて少し戻してから上に上げる工夫は七代目中車とのことですので役者側も作品に貢献しているわけですので良い悪いを言っているわけではないですが)
鎧姿になるのは誰も一緒かと思います。
衣装を変える時間が歌舞伎には必要なので、初菊が時間をかけて兜を重たそうに持って入るわけですね(所謂「兜引き」)。

<初演時に比べれば、「大落とし」を始めとして役者ぶりが大きくなって素敵な光秀である。残念なのは「夕顔棚」をカットし「残る莟の花一つ」から始まる事。時間の関係もあるだろうが、いきなり旅僧(実は久吉)が風呂の湯が沸いたと登場するのは唐突だし、そもそも光秀が忍んで来る事を皐月が悟る伏線を見せないと劇的効果が半減する。鴈治郎の十次郎はもう少し抜き衣紋をして柔らか味を出したいが、そこは「二十四孝」の勝頼とは違うという解釈だろう。秀太郎の皐月、魁春の操、錦之助の久吉と適役揃い。初菊の孝太郎はやや硬質な藝質が役にそぐわないように感じた。>

「梅ごよみ」は私の中では孝玉に勘九郎(当時)がインパクト大きく残ります。
なので、太十の初菊を児太郎にして、孝太郎のお蝶の方が良かったなと思ったりしました。

「門出」は三十年前に父と叔父が五歳と三歳で演じて、またそれを再現できる(それも三九〇年という年に)というのが、勘太郎も長三郎も強い星に生まれたと思いますね!!
「豆中村屋」を観たいというビギナーファンが多くつめかけているいるとすれば、「太十」は、リピーターを増やす意味でもわかりやすい見せ方を考えて欲しかったと改めて思いましたね。

投稿: うかれ坊主 | 2017年2月 8日 (水) 17時49分

うかれ坊主様
「太十」は今月唯一の義太夫物ですからちゃんと見るつもりでいたのですが…。やはり全体にわかりにくい見せ方になっていたんですね。上演時間の関係もあるのでしょうが、いいものであれば長さを感じさせないと思うので、そこは丁寧にしてほしかったですね。
芝翫さんは大きな役が似合いますね。
初菊、そうですね、児太郎さんの方がよかったかもしれません。十次郎も初菊もイメージと違って乗れませんでした(私の中では梅枝クンの兜引きが一番よかったかな)。

スタジオパークで30年前の映像を見て、<歌舞伎>というものの面白さをあらためて感じました。

投稿: SwingingFujisan | 2017年2月 9日 (木) 00時30分

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