« 自炊自賛 | トップページ | 祈り »

2017年3月10日 (金)

ムハに魅入られる

310日 ミュシャ展(新国立美術館)
170310mucha1 ムハ――ミュシャ。チェコ語ではムハと読むとは知らなかった(ミュシャはフランス語読み)。でも今さらムハと言われても、ちょっとピンとこないな。
さて、このミュシャ展、8日に始まったばかりで、私にしては珍しく早く行ったのは、オープニングに行った人の感想を聞いて、これは日が経つと混みそうと思ったから。そのうちテレビでも取り上げるだろうし(すでに7日のNHKで紹介されていた)。

ミュシャといえば、何年前だろうか、松竹座に行った帰りに堺のアルフォンス・ミュシャ館に寄って、切手やお札のデザインまでしていた人なんだと認識を新たにしたものだが、今回は完全にミュシャのイメージを覆させられた。
展示は、まず今回の超目玉である20点の「スラヴ叙事詩」から。スラヴ叙事詩が全20点、海外に出るのは初めてなんだそうだ。その超目玉をもったいぶらずに展示の最初にもってくるという気概が嬉しい。これを見てもらいたかったんだ、という気持ちが伝わってくる。しかも、撮影可能エリアっていうのがあって、そこでは「スラヴ抒事詩」のうち5点が撮影できるという太っ腹。今日は程よい混み方だったから(すいてそうな時間を狙った)、11枚の絵をそばまで行ってじっくり見ることもできたし、遠く離れて眺めることもできたし(何しろ、大きいから)、写真もそこそこの余裕で撮ることができた。

「スラヴ叙事詩」、とにかく11枚がデカい‼ どうやって運んだんだというほどデカい(先日のNHKによれば、丸めたカンバスを1枚ずつ1つのコンテナに入れて3回に分けて空輸したとのこと。1つのコンテナの重さは400㎏にもなった)。この連作絵画を見ると、ヨーロッパの歴史は支配と被支配、戦いの連続だったんだなあと思う(フス戦争――思い出した)。その渦の中にいる人々の悲しみ、恐れ、喜び、希望、力強さ、そういうものが押しつけがましくなく、それでいて圧倒的に強く心に沁み込んでくる。多分、祖国への愛の強さにプラスして冷静に歴史を見つめる姿勢があったのではないだろうか、と感じた。50歳から16年かけてこれだけの大作を細部に至るまで丁寧に描いたミュシャに感動するとともに、これまで知っていたミュシャとはまったく違う(まったくというのは言い過ぎかな)この20作に魅入られたわ。
とはいえ、やっぱり自分の中にあったミュシャらしいリトグラフや絵画もやっぱり素敵で、思わず見入ってしまう(そういう絵の大半は堺からの出展であった)。
彫刻も1点。「ラ・ナチュール」。美しい。それから「ウミロフ・ミラー」が面白い。歌手ボザ・ウミロフのアメリカの自宅マントルピースに飾るための鏡だそうで、鏡だから当然ながら作品を見る自分が映り、自分も作品の一部になった気分。
チェコスロヴァキアは1918年独立宣言をする。独立宣言が行われたプラハ市民会館の壁画には力強さが漲っている。ここにもミュシャの魅力が溢れている。「スラヴ叙事詩」だけで満足と書いたが、いやいや、もっと欲張るべき。
この素晴らしい展覧会、必見ですぞ。なお、スラヴ叙事詩を見る際には双眼鏡があったほうがいいかも。私はたまたまカバンに入れっぱなしになっていたオペラグラスがあって、さっきまでは少しでも荷物を軽くしたいのに失敗したと後悔していたのが大逆転。

追記1階の草間彌生展は入口が長蛇の列で驚いたが(混んでいるとは聞かされていた。そのうち見に行くつもりだけど、覚悟しておかないとな)、2階のミュシャ展はグッズ売り場のレジに二重に行列ができていてビックリ。びびって何も買わずに出てきた。

170310mucha2
「スラヴ叙事詩」より「スラヴ民族の賛歌」
上の絵は「東ローマ皇帝として戴冠するセルビア皇帝ステファン・ドゥシャン」

|
|

« 自炊自賛 | トップページ | 祈り »

展覧会」カテゴリの記事

コメント

今日、六本木で3時過ぎには予定が終わったので、一瞬行こうかな、と思ったのですが(チケットはスマホの中)、双眼鏡もないし、後日ということにしました。荒天の日とか狙い目かしら。ぐずぐずせずに行かなくちゃ。楽しみ!
来年、チェコ建国100年かつプラハの春から50年、なんですよね。なんとか元気でいて再訪できたら、と思ってます。前回は駆け足旅行で、聖ヴィート大聖堂のステンドグラスと市民会館の壁画くらいしか、ミュシャのものは見てないのです。ポスターなどのイメージが強すぎて、まっいいか、でした。
あっ、そういえば今年はロシア革命から100年。そこからの世界の動きを考えると、目眩がしそうです。(と話がそれてしまった)

投稿: きびだんご | 2017年3月14日 (火) 00時23分

きびだんご様
やっぱり、いらっしゃいますよね‼ きびだんご様がこの展覧会をスルーするはずはないと思っていました。
そうなんです、来年がチェコ建国100年。そういえばプラハの春から50年でしたか。今年がロシア革命100年ということも失念していました。ほんと、世界の動きは激しいですね(記憶に新しいベルリンの壁崩壊から再来年でもう30年とは‼)。これからの世界はどうなっていくのでしょう、毎年初詣で世界平和を祈っているのに、不安がいつも胸に渦巻いています。

投稿: SwingingFujisan | 2017年3月15日 (水) 00時01分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 自炊自賛 | トップページ | 祈り »