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2017年5月30日 (火)

五月大歌舞伎夜の部

527日 五月大歌舞伎千穐楽夜の部(歌舞伎座)
やっと倅マン見られるよ。眞秀クン初お目見えはマスコミで話題だけれど、新・亀三郎誕生だって歌舞伎ファンにとってはとても大事。だから楽しみにこの日を待っていた。以下、思い出すままに。
「壽曽我対面」
・浅葱幕のお約束事はなく、いきなり振り落されると、工藤祐経(菊五郎)もすでに高座に着いている。途中から見せられたためなんか中途半端な気分がしたが、芝居が進むにつれ、面白くなってきたからそれも忘れた。
・楽善さん(小林朝比奈)のセリフがいい。こんなでっかい朝比奈は初めてかも。
・菊五郎さんの工藤もデカくて、ちょっとどきどきするような色気があった。
・一段といい声が聞こえるなと思ったら新・亀蔵さん(近江小藤太)だった。
・十郎・五郎登場の時の並び大名の「あーりゃーこーりゃー」の声がすごく大きい。襲名祝いの威勢かな。
・新・彦三郎さんの五郎は、祐経への恨み、怒りがすさまじい。若さが溢れている。
・時蔵さんの十郎は五郎が盃を取ろうと構えている間、いざという時に備えた緊張感に兄らしさがあった。
・権十郎さん(鬼王新左衛門)が幼い新・亀三郎クンの手を引いて花道から登場すると、微笑ましさと気分の盛り上がりでちょっと興奮した。本舞台で、亀三郎クンが客席の方を向いて座ると、権十郎さんが向きを少し舞台寄りに直す。一緒にセリフを言う亀三郎クン、しっかりしていてかつ可愛い。大叔父さんも可愛くてしょうがないだろうなあ。

工藤が富士の巻狩りの切手を兄弟に与え、「さらば」で芝居が終わると、菊五郎さんが高座から降りて舞台中央へ進み、並び大名と梶原(家橘・橘太郎)を除く全員が並んで座る。口上だ。
・菊五郎:今回の團菊祭を父・梅幸23回忌、大叔父(?)羽左衛門17回忌にしてはどうかと松竹から勧められた。70年来の友人彦三郎さんが初代楽善、江戸歌舞伎の大事な名前彦三郎は亀三郎さんが、そして亀寿さんは亀蔵になる。いまひとつのご紹介は彦三郎さんの長男侑汰クンが亀三郎になったこと。
・以下、時蔵、萬次郎、梅枝、竹松、松也、権十郎さんがお祝いの口上を、楽善さん、彦三郎さん、亀蔵さんが挨拶と感謝を述べた。幼い亀三郎クンは名乗りを上げ「よろしくお願いいたします」と大きな声で立派に口上を務めた。最後に客席を見上げてお辞儀する姿が堂々としていて感心した。


「伽羅先代萩」
「御殿」
・千松に張り合って鶴千代が自分の方が強いとアピールし、政岡(菊之助)が褒めると千松が俯くのがいじらしい。飯炊きがないため空腹のまま千松が死ぬことになり、よけい哀れである。
・千松が刺された時、一瞬政岡は何が起きたかわからないというふうに見えた。事態を呑みこむと、鶴千代を打掛の中で守り、八汐が千松から離れると鶴千代を座らせ、そして自ら鶴千代を奥の間に連れて行く。と、ここのあたりはいつもどうだったんだっけ。たしか鶴千代を沖の井に預けるバージョンや、すぐに引っこませるバージョンもあったような…(さんざん見ているのに覚えていない、情けない)。
・政岡は、千松がいたぶられている間、ずっと緊張感を保って、悲しみをこらえているのが伝わってきた(でも、栄御前には平然としているように見えるのだ)。1人になった後の嘆きは気も狂わんばかり。でも、なんか前回初演時のほうが感動が大きかったような気がする。
「床下」
・海老蔵さん(仁木弾正)は古怪とはいかないが、内向きの暗さに不気味な雰囲気が流れていた。額の傷が中途半端に薄く、それはつぎの「問注所」ではもっと薄くなっていて、どういう意図でそうしたのかなと思った。傷があった方が弾正の不気味さが強調されるような気がするのだけど。
・松緑さん(男之助)は千穐楽を含めた最後の3日間、一本隈にしたそうだけど、気がつかなかった。最初で最後という機会に巡り会えたのに気がつかないとは‼
「対決・刃傷」
・何と言っても、梅玉さんの勝元である。かっこいい。まっすぐで爽やかな捌き役の面をもちながら、自分で筋書きを描いてその通りことを進めているような老獪さも感じられ、弾正より一枚も二枚も上手。相手に時間を与える緩、畳み掛けて答えを強要する急、まさに緩急自在で見ていて気持ちいい。でも、やっぱり「歩くもままならぬ」と乗り物まで用意してやった外記(市蔵)を無理矢理舞わせるのは納得いかない(これは見るたび永遠にそうだろう)。最後、外記は息絶えたかのように見えた。
・海老蔵さんはここでは悪を強調するあまりか、ちょっとならず者っぽく見えた。右之助さん(鬼貫)、九團次さん(官蔵)ともワル側は人相悪い。しかし、弾正は大きな悪人のくせに、案外セコいところがある。印形をごまかしたり、卑怯にも外記を襲ったり…。海老蔵さん、疲れているだろうから、体をこわされたりしませんように。
・市蔵さんが気骨の老忠臣を好演していた。老骨に鞭打って弾正と互角に渡り合うのだから強いんだよね、外記は。そういう外記の面を市蔵さんがきちんと見せていたと思う。

「弥生の花浅草祭」
・楽しかった。亀蔵さんと松緑さんの息の合った踊りをたっぷり楽しんだ。どの踊りでも、松緑さんが亀蔵さんを盛り立てているような感じで、心が温かくなった。
・亀蔵さんの神功皇后は勇ましいというよりふっくらした感じの踊りで、女性らしくてよかった。悪玉の松緑さんが柔らかく踊っているのに対し、善玉の亀蔵さんはキレッキレ。動きが大きい。通人で再びふっくらした踊りになった。
・「石橋」、すごかった。毛振りは3分以上もやっていたように感じた。あんまり長くて、2人とも首が壊れちゃうんじゃないかと心配になったほど。2人ともとてもきれいな毛振りで、客席はその美しさと勇猛さと長さに興奮のるつぼと化した。
・どうしても最後の毛振りの印象が強くなってしまうけれども、他の踊りもすべて魅力的で、このコンビの踊り、又見たいなと思った。

<上演時間>「対面」45分(16301715)、幕間30分、「先代萩 御殿・床下」67分(17451852)、幕間10分、「先代萩 対決・刃傷」62分(19022004)、幕間10分、「浅草祭」48分(20142102

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