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2017年6月18日 (日)

六月歌舞伎鑑賞教室:「毛抜」

615日 歌舞伎鑑賞教室(国立劇場大劇場)
6
16日 外国人のための歌舞伎鑑賞教室(同上)

15
日は眠くて眠くて…。場内もあまり盛り上がらず、ここぞという時にも拍手は起こらず、役者さんもさぞ拍子抜けだったことだろう。学生にそれを求めるのは無理としても、私も含めた大人の観客が拍手すればよかった。なんか、率先して拍手する空気でもなかったのよね。
一転して16日は笑いも拍手も、そうでなくっちゃという感じで、舞台と客席との一体感が生まれたような気がした。
「毛抜」は私が見始めてから鑑賞教室では3回上演されている。歌舞伎初心者にわかりやすい演目で鑑賞教室向けなんだろう。
「毛抜」
3
回のうち2回は錦之助さん。前回は12年も前の2005(平成17)年のことで、まだ信二郎時代だった。当時のプログラムを見たら、秦秀太郎と八剣数馬の真剣勝負を止めるのは腰元若菜だった(愛之助さんが鑑賞教室でやった時も若菜だった)。調べてみると、若菜が出る時と出ない時とあったが、去年の浅草も歌舞伎座も若菜は出ず、止め役は巻絹だったので、若菜のことはすっかり忘れていた。
ついでながら、3回のプログラムの表紙の弾正はすべて同じポーズで(目の寄せ方が違う)、題名の下には大きな毛抜きが<踊って>いて、前2回は弾正のみ、今回は巻絹が隣に立っている。
弾正のあの大らかさは何と言っても團十郎さんで、本当に惜しい役者さんを失ったと改めて悲しくなった。でも錦之助さんも明るく大らかで、真面目な面とともに愛嬌も感じられたし、前回は團十郎さんに教わったままという感じだったが、今回は発声も含めて錦之助色が出ていて安定感もあった。「外国人のための」では、錦の前の髪の毛が逆立ったのを見て驚く弾正に笑いと少し拍手が来て、秀太郎の手を取りなでると笑い、秀太郎に振られると又笑い、巻絹を口説いて振られる場面でも笑い。「面目次第もござりませぬ」では15日には無反応だったが、16日は拍手と笑いが起きたのでほっとした。錦之助さんも16日のほうがノっていたかもしれない。浅草歌舞伎でよくカメちゃんなんかが言ってたけど、役者と客席はキャッチボールだってこういうことよね。客席のウケがよいと、弾正の痛快さも際立って、カッコよく見える。

彦三郎さんの八剣玄蕃が、声よく(本当に聞き惚れてしまう)べりべりとした悪役でとても素敵だった。この玄蕃を見ていると、「毛抜」にとって玄蕃がいかに大事な存在か、悪役によって面白さが倍増するということがよくわかる。ヘタをすると玄蕃のほうがカッコよく見えてしまうんじゃないかというくらいだったが、錦之助さんの大きさがそこを抑えた。万兵衛(橘三郎)と玄蕃のアイコンタクトが面白かった。万兵衛がやり込められる場面は一番好き。万兵衛には思い切り凄んだり脅したりしてほしい。橘三郎さんのいかにもワルそうな万兵衛が大慌てしたのを見てすっとした。
孝太郎さんの巻絹は、弾正を振る場面が見せ場ではあると思うが、そちらより錦の前を思う気持ち(細やかな気遣いが感じられた)やお家大事の言動のほうに好感がもてた。
錦の前の梅丸クンがかわいい。ほんっとにかわいい。髪の毛が立たなくなったときの喜びが本当に嬉しそうで、思わず「よかったね」と言いそうになったほど。
秀調さん(秦民部)、友右衛門さん(小野春道)は手堅い。秦民部の鬘ってあんなだっけと後で他の写真を見たらあんなだった。そういえば、「外国人のための」では、最初の方の玄蕃と秦民部の「さあさあ」に笑いがきていたな。
右近クンの小野春風は、ふわっとしていて名前通り春風みたいだなと思った。浅はかで頼りないけれどそこは自覚しているようで、自分のせいで大変なことになっているから自害する、というのもなんとなくふわっとしていて、そこが魅力。
隼人クンは私は秀太郎のような役より骨太な方が好きだが、柔らかさは感じられた。今回は親子でお馬の稽古、が個人的にはウケた。廣太郎クンには若い勢いがあった。でも、隼人クンの兄が秀調さんで、廣太郎クンの父親が彦三郎さんって、年齢的には兄と父が逆だよね~。
八重之さんが磁石を抱えて落ちてきた時、みんな「歌舞伎のみかた」を思い出したかしら。

ラスト、弾正花道での「御見物のいずれも様のおかげにて~~」を錦之助さんが「thank you, thank you」とやったので大ウケ。その後、インターナショナルプレイ(違ってるかも。拍手と歓声が大きくて、言葉ははっきり聞き取れなかった)だからと6カ国語(仏、独、中、韓、西、伊:スペイン語があったかどうかは自信ないが、イヤホンガイドの言語に入っていたからあっただろうと勝手に推測)の「ありがとう」でご挨拶。この演目ならではの終わり方で大いに盛り上がり、こちらも気分よく帰路につけた。
<上演時間>「歌舞伎のみかた」30分(14301500)、幕間20分、「毛抜」70分(15201630

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