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2017年7月28日 (金)

七月歌舞伎座夜の部

723日 七月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
やっと夜の部の感想。千穐楽を過ぎてしまった。
筋書きを買ったら、「花競木挽賑」に普段は見られない若手がたくさん(最年少・男寅クンまで)出ていたので嬉しかった。座席は宙乗り小屋の近くを取ったら、幕見席がふさがれていたので、後ろに気兼ねなく見ることができた。
「駄右衛門花御所異聞」
全体的な印象としては、いろんな歌舞伎から有名な場面を集めたパロディー集みたいな感じで、テンポよく、早替りを含めた海老蔵さんの大奮闘を楽しめた。
発端で巳之助、新悟、亀鶴、中車の4人が揃ったのが私的にはポイント(筋書きに写真載ってるね!)。
船で登場した海老蔵さんを見た時、久しぶりに花道脇で海老ちゃん独り占め状態になってみたいと思った。毎日心身を削るようにしての昼夜奮闘にもかかわらず、客には辛さは見せず(妻のお才に巡り合っての「持つべきものは地女房じゃなあ」とか、お才の死に際しての「来世はまたもや夫婦に」のセリフは切なすぎて、こっちがつらい、泣けた)、駄右衛門の大きさ、玉島幸兵衛の苦悩(兄は切腹、弟は斬られじゃこの兄弟かわいそう過ぎると思ったら秋葉権現のお守りのおかげで生き返ってほっとした)、秋葉権現の威厳、と海老蔵さんの魅力を十二分に伝えてくれた。

宙乗りが近くで見える席にして正解。勸玄クンを抱える姿に大きな愛情があふれ(海老蔵もおとうさんなんだ、と実感した)、勸玄クンはお父さんに抱かれて安心して自らを開いているような…感動の涙で2人の姿がぼやけかけ、慌てて拭く。勸玄くん、花道での「勸玄狐、おん前に」は拍手がおさまりかけてから叫ぶように言う余裕。ぴょんぴょん飛びながら本舞台へ向かう可愛らしさ。宙乗りでは客に手を振り、投げキッスを送り、何か大きな声で叫んでいた。海老蔵さんがブログに、勸玄クンもセリフを言いたいと言っていると書いていたのを思い出し、ああ、セリフを言ってるんだと思った。拍手と歓声が凄くて聞き取れなかったけれど、度胸も満点、将来が楽しみだ。
男女蔵さんはシワを描いたとくに横顔が左團次さんにそっくり。悪役側としてもっと活躍するのかなと思ったら案外あっさり斬られてしまったわ。
児太郎クンも遠目では福助さんによく似ている(顔がというより、動きも含めた姿が)。児太郎クンの悪女はとてもカッコよかった。余裕たっぷりのワルぶり、金の亡者ぶり、しかし本当は夫を思うあまりのそれであった。という心の表し方がよく、また後ろ姿がちゃんといい女に見えたことに感心した。夫に斬られる表情があまりに切なく、お才も生き返ってほしいと期待した。この好感度のまま過剰演技にならないように、と願う。

巳之助クン(月本始之助)は兄(月本円秋)に対するすまなさがにじみ出ていて、こういう若殿役も合っている。二幕目の道行は新悟クン(傾城花月)と二人、飽きさせなかった。たいてい寝ちゃうのに、しっとりと美しく初々しく、本当に愛し合って一緒になった二人を応援したくなった。新悟クンにははかなげでいながら愛を貫く強さがあった。道行の時のオレンジ色の着物が一番似合うと思った。幕外の引っこみの時、巳之助クンも決して小さくはないだろうが、新悟クンかなり膝を折っているなと気がついた。この場面では、捕り手のセリフも女方ではないが芯が大事なんだろうな、と先日の歌舞伎夜話での話を胸に聞いていた。
中車さんは昼の部でも感心したが、夜の部でもセリフも動きも見得も自然に見えて、再び感心した。蔭腹を切っての覚悟がしっかりしていて、それゆえにゾンビとなった逸当は怖かった(あらら、甦った、とびっくりしたわ)。
右團次さん(円秋)の思慮深さと当主らしさに「空ヲ刻ム者」の九龍や「ワンピース」の白ひげと重なるものを感じた。忠臣蔵パロディの切腹場面では、ついつい「(逸当)早く、早く」とこちらも気が急いた。
齊入さんはとてもきれいな、でもいかにも力のない将軍さまだった。
大詰、おいおい始之助(巳之助)、喜んで将軍のお姫様(児太郎)をもらっちゃうのかい。あんなに愛し合っていた花月はどうなるの。これは姫君は正妻、新傾城花月は側室という玉島逸当の計画通りなんだけど、始之助、姫の美しさによろめいたか…。な~んてね。

・序幕ラスト、ニセ上使の駄右衛門が面灯りで悠々と引っこむ時、宙乗り小屋から桜吹雪が噴き出した。
・二幕目一場、捕り手2人の腰に芯の新蔵さんが乗って若い2人を見送る形。
・二幕目三場、火の精の動きがすっごい。バク転、側転、そのスピード凄すぎる。美しい。素晴らしい‼

最後に、海老蔵さん、本当にお疲れ様でした。昼夜とも楽しかった。

<上演時間>「発端・序幕」60分(16451745)、幕間30分、「二幕目」85分(18151940)、幕間20分、「大詰」30分(20002030


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コメント

SwingingFujisanさんも23日夜でしたか!
わたしもこの日に昼夜で一気に観ました。
桜花を一枚拾ってプログラムに差しました。
「道行」はよきカップルで、このふたりの「お軽勘平」が観たくなりました。
この道行と偽上使のところは「忠臣蔵」のパロディでもあり、「お才の茶屋」は「伊勢音頭」でしたし、大詰は「金閣寺」のそれでしたね。また駄右衛門の御簾切りは机龍之介でしょうか。
原作はよくわかりませんが、趣向でつなぎ合わせたパッチワークのようでほとんど「新作」のようでした。
わたしには、宙乗り前のアクロバティックで過剰な演出は不要に思われました。

<おまけ>7月の歌舞伎座を休演した獅童さんの会見がありましたね。
11月のすし屋で権太で舞台復帰とか。
3日には地元近くの神奈川県大和市に来てくれるの拝見したいと思います!(無理せずにと、ひたすら願うのみです)
八幡屋の梶原に米吉のお里も愉しみですし、片岡亀蔵さんの醜女もどこまでやってくれるのか!見たいような見たくないようなところです。
そう言えば「釣女」は歌舞伎座で久しくかからなくなりましたね・・・演舞場・明治座ではやっていますけど。
女性蔑視という配慮でもあるとしたら「野暮」な気がしますが・・・
古い話でまたと言われそうですが、17世勘三郎の醜女は、ユーモラスでペーソスもあって絶品でした。劇場全体がそのしぐさに沸き上がった懐かしい思い出があります。

投稿: うかれ坊主 | 2017年7月29日 (土) 10時50分

うかれ坊主様
こんにちは。コメントありがとうございます。公開が遅くなってすみません。
23日は夜の部もご覧でしたのね。桜の花をプログラムに差すのはいいアイディアですね。私はいつも何かに適当に入れて何だかわからなくなるので今回は拾いませんでした。
こういう演目は、ここはあれのパロディ、とにやにやしながら見る楽しみがありますね。

獅童さんの巡業、演目も配役も魅力なので私も見たいのですが、近場がないうえに、あまりに先のことで…。
「釣女」は面白いですよね。何回か見たことがありますが、女性蔑視などとは考えたこともありませんでした。醜女は吉右衛門さんのも三津五郎さんのも見ていますが、とても楽しかった。十七世勘三郎さんはそうでしょうねえ。わかるような気がします。前回醜女だった亀鶴さんが今度は太郎冠者ということで、予定が立てられる時期にチケットが残っていたら入間か千葉に見に行きたいと思います。歌舞伎座でかからない事情はわかりませんが、他の劇場ではかかっているのですから。

投稿: SwingingFujisan | 2017年7月30日 (日) 19時05分

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