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2017年7月 8日 (土)

胸きゅん甦る:「冒険者たち」

77日 映画「冒険者たち」(文化村ル・シネマ)
以前、コメント欄でカトウ様に教えていただいたル・シネマのアラン・ドロン特集。なかなか上映日程とこちらの日程を合わせるのがむずかしいなあとため息をついていたところ、幸いピンポイントでこの日の初回、1020の「冒険者たち」を見る計画が立った。もっとも、当日早起きができたら、という条件付きで。見たい気持ちが勝ったのかな、ばっちり早起きできて、寝ちゃうかもしれないという自信のなさも克服して、しょっぱなにあの口笛のメロディーが流れたとたん、胸きゅんが甦った。

見ているうちに思い出したり、完全に忘れていたり、が多々あった。忘れていたのは前半部分が多い。レティシアとローランが知り合うきっかけは完全に忘れていた(後の展開に、この場面は絶対必要だったなと思う)。レティシアが個展で着ていたメタルのドレスは、ああそうそう、このドレス素敵だったな、彼女にしか着こなせない、って思ったことを場面ごと思い出した。パコ・ラバンヌの甲冑ドレスだそうだ。ジョアンナ・シムカスはすごく美人というわけではないが、まさにレティシアそのもの。レティシアの魅力はすなわちジョアンナ・シムカスの魅力だ。シドニー・ポワチエと結婚したため早く引退した彼女の映画をこの1本しか見ていないのは残念だ。
後半部分、パイロット(セルジュ・レジアニ)の存在はすっかり忘れていた。財宝の在り処を知っている大事な人物なのに。イヤな奴だと思っていたが、財宝を横取りしようと狙うヤツらにマヌーを売らなかったので見直した(バレバレだったけどね)。このパイロット、生命力が強いというか、飛行機の遭難でも生き残ったし、3人の船に泳いで乗り込んできたし、ローランとマヌーに救命ボートで大海に放り出されても生きていたし。でも最後はヤツらに…。
財宝探しってたいがい情報がガセだったりしてうまくいかないものだけど、この4人(3人に途中からパイロットが加わる)はあっさり見つけてしまう。そして4人で均等に分ける(パイロットは海に潜っていないレティシアに分け前を与えるのは不満そうだったが、ローランがレティシアもちゃんと協力していることを理由に)。レティシアは自分の分け前をローランのと一緒にする。そしてマヌーも。この場面、好き。


3人の間に男女のドロドロがないのがとてもいい。さわやかな関係というのでもなく、レティシアをめぐる複雑な感情も垣間見える。マヌーもローランもレティシアのことが大好き、レティシアも2人のことが大好き。本当はレティシアはローランに愛情をもっている。ローランもレティシアに愛を感じている。でもローランとマヌーの間にある友情…いや友情を超えている。互いを尊重し、人生を共にする仲間…が一線を越えさせない。ローランもマヌーも互いがいない人生なんてつまらない、って絶対に思っている。マヌーが絶命する間際、「彼女はおまえと暮らしたいって言ってたぞ」とささやくローラン。「このうそつき」と笑顔で帰らぬ人となるマヌー。ヘタをすれば安っぽくなりそうな2人のセリフが名場面として胸を打つのは、アラン・ドロンとリノ・ヴァンチュラの功績でもあり、またこれまでの3人の心の積み重ねを見ているからだ。

ギャング映画やフィルム・ノワールで暗い悪徳の陰を見せているアラン・ドロンとリノ・ヴァンチュラが、この映画ではまったく違う一面で魅了する。アラン・ドロンは若く、もちろん素敵、かっこいい。でも「冒険者たち」最大の魅力はやっぱりリノ・ヴァンチュラだろう。他人が見たらばかばかしいほど何かに夢中になるおじさんの姿、でもただのめり込むんじゃなくてちゃんと計画も立て研究もしている。ちょっと田中邦衛似な風貌もローランという役にぴったり合って、レティシアが彼を選ぶのもわかるのだ。しかし財宝を手にした代償として大事な人を2人とも失ったローラン…。ラスト、孤島に立ちすくむローランの姿がいつまでも胸に迫って残る。

「冒険者たち」は私が一番好きな映画だ‼ 
でも、他の映画も又見たくなってきた。3時間と長いけど「山猫」、見たい。

<上映時間>124

追記1:チケット売り場で、カーディガンを手前の棚に置いてきたらしく、映画館の人が後を追いかけて届けてくれた。カーディガンのことはすっかり頭になく、びっくりした。ありがたい、感謝です。そして、座席について上映を待っている時、映画館の別の人が、扇子をもって「お客様のではないですか」と。これもチケット売り場に置いてきたらしい。私の座席番号を覚えていて届けてくれたのだ。扇子こそ、なくしていたかもしれない。映画館の親切な対応に感謝すると同時に、2つも頭から離れていた持ち物がある自分が情けなくなった。
追記2:チケットを買ったら、スターチャンネル提供、アラン・ドロンのクリアケースをくれた。麗しきドロン4態。記念品ではあるけれど、嬉しい記念品だ。スターチャンネルでは53週にわたり、53本のドロン出演作品を放送しているそうだ。残念ながら私は加入していない。


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コメント

冒険者たちは傑作だと思います。JPベルモントがジョアンナ シムカスと共演したHo(オー)がありますがシムカスはとても綺麗ですがリノ ヴァンチェラはいないので深みに欠けます。ドロンも太陽がいっぱい以外はジャンギャバン、JPベルモント等個性的な俳優と共演した方が光ります。

投稿: カトウ | 2017年7月 9日 (日) 15時55分

カトウ様
いただいたコメントの公開が遅くなってすみません。
先日はこの特集のことを教えてくださってありがとうございました。教えていただかなかったら気がつかないで見逃していたと思います。スクリーンを見ながら、自分の昔がちょっと甦ってきたり…。
アラン・ドロン、たしかにおっしゃるように個性的な俳優との共演で光りますね。本人が美しすぎるからなんでしょうか。ブロンソンと共演した「さらば友よ」もよかったなあと思い出しました。

投稿: SwingingFujisan | 2017年7月11日 (火) 10時31分

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