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2017年11月17日 (金)

フランスの伝統工芸:「フランス人間国宝展」

1110日 「フランス人間国宝展」(東京国立博物館表慶館)
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運慶を再見しようと16時過ぎにトーハクへ(金曜日なので21時までやっている)。しかし入場50分待ちですと‼ では先にフランス人間国宝展を見よう。ということで表慶館へ戻る。
さほど関心があったわけではなかったのだが、見てよかった。15人のフランス人匠(メートル・ダールは13人で、2人はメートル・ダールに近いと言われている)は私が日本の伝統工芸の人間国宝にもっている狭いイメージと違って、1947年~1977年生まれと若い。それぞれの作品は興味深く、これもまた私のもっているイメージとしての日本の感覚とは違うが、職人技という点では世界共通のものがあるんじゃないかと思った。
「陶器」のジャン・ジレル(1947)は曜変天目の再現研究をしているそうで、暗い室内の壁には風景が焼き付けられた陶板が掛けられ、中央の大きな机にずら~っと並べられた茶碗は11点に小さな光が当てられ、圧巻であった。
「鼈甲細工」のクリスティアン・ボネ(1949)の作品は主に眼鏡。サン=ローラン、ル・コルビュジエ、オナシス、I.M.ペイ(この人だけ知らなかった。中国系アメリカ人建築家だそうだ)に提供した眼鏡(復刻)には、それぞれの顔が思い浮かんでちょっとテンション上がった。
「革細工」のクフ王19の名がつけられた美しいバッグはピラミッドから着想を得たという。私はバッグが好きだから欲しいけれど、高すぎて手が出ないよね~。作者のセルジュ・アモルソ(1950)はケリー・バッグを手掛けたそうだ。
「金銀細工」のロラン・ダラスブ(1959)のグラスや皿などは繊細で、微妙なバランスが美しいが、実用性は薄いかも。と言うより、もったいなくて使えない。
リゾン・ドゥ・コーヌ(1948)の「麦わら象嵌細工」。初めて聞く技術だ。ライ麦の藁を乾燥させ、中を開いて平らにして土台の上に1枚ずつ貼るのだそうだ。展示作品はコナラの木に麦藁を貼ったルクソール(サイドボードのようなものかな)1点のみ。解説を読んで想像していた物とは全然違い、麦藁を開くとこうなるのか、と初めて知った。根気のいる作業だろうなあ。

「壁紙」はどこにあるの?と一瞬わからなかった。展示室全体が模様入りの白い和紙で覆われ、照明が徐々に変わることによって時間の推移を感じる。ここまでの展示室が薄暗かったので、明るい白が新鮮に感じられた。作者はフランソワ=グザヴィエ・リシャール(1972)。
ナタナエル・ル・ベール(1976)の「真鍮細工」は作品名と実物の関係がよくわからず、具体的に理解できたのは「テーブル 春の月」と「テーブル シャイアン族」。それでも、作品名と作品が一致せず、リストを何度も見直してしまった。「春の月」はなんか、スゴイって感じ。
ミシェル・ウルトー(1966)の傘は映画に出てくるよう。生地はシルクが主で柄は黒檀だったり金属だったり。やっぱりもったいなくて使えないけれど、持っていたら雨の日でも楽しいだろうな。
シルヴァン・ル・グエン(1977)の「扇」は折紙にヒントを得た作品もあった。折り目の中から繊細な花や複雑な意匠が現れて面白い。
ピエトロ・セミネリ(1968)の「折り布」(そういう技術があることも初めて知った)はプリーツの技術に折紙の技術を応用している。日本の折紙が扇同様に影響を与えているのは嬉しい。
日本との関係と言えば、エンボス加工のロラン・ノグ(1968)は、2015年に日本の特殊紙パチカを用いて視覚障害者のための建築解説本を作ったそうだ。エンボス加工は名称しか知らなかったが、こういうものか、と納得。
ネリー・ソニエ(1964)の羽根細工は珍しいと思った。大きな作品も見事だが、私は小さな丸いガラス窓の奥の3連の作品「ツグミと鯉 分け与える」が好き。鯉→ツグミ→鯉とツグミが出会い木の実を分け合っている愛すべき作品だ。
エマニュエル・バロワ(1964)の「ガラス」は、細長いガラスの帯のようなものが連なって、歩くにつれ光の当たり具合のせいか、見え方が違ってくる。揺れ動くガラスのカーテンかしら。日本までよく運んだなあ。あるいはこちらで組み立てたのだろうか。
その他ファニー・ブーシェ(1976)の銅板彫刻、ジェラール・デカン(1951)の紋章彫刻も素晴らしかった。
絶対に見て損はない。運慶に振られたら、いや振られなくてもぜひ。

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